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日蓮大聖人『御書』解説

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2021年 11月 03日

無量義経 十功徳品第三 (2)  訓読

   漢訳

善男子、第七に是の経の不可思議の功徳力とは、若し善男子、善女人、仏の在世若しは滅度の後に於いて、是の経を聞くことを得て、歓喜し信楽(しんぎょう)し希有(けう)の心を生じ、受持し読誦し書写し解説し説の如く修行し、菩提心を発し、諸の善根を起し、大悲の意を興して、一切の苦悩の衆生を度せんと欲せば、未だ六波羅蜜を修行することを得ずと雖も、六波羅蜜自然に在前し、即ち是の身に於いて無生法忍を得、生死、煩悩一時に断壊(だんね)して、菩薩の第七の地に昇らん。
譬えば健(すこや)かなる人の、王の為に怨を除くに、怨既に滅し已りなば王大に歓喜して、賞賜(しょうし)するに半国の封悉く以って之を与えんが如く、持経の善男子、善女人も亦復是の如し。諸の行人に於いて最も為れ勇健なり。六度の法宝求めざるに自ら至ることを得たり。生死の怨敵自然に散壊し、無生忍の半仏国の宝を証し、封の賞あって安楽ならん。善男子、是れを是の経の第七の功徳不思議の力と名づく。

善男子、第八に是の経の不可思議の功徳力とは、若し善男子、善女人、若しは仏の在世若しは滅度の後に、人あって能く是の経典を得たらん者は、敬信すること仏身を視たてまつるが如く等しくして異ることなからしめ、是の経を愛楽(あいぎょう)し、受持し読誦し書写し頂戴し、法の如く奉行し、戒、忍を堅固にし、兼ねて檀度(だんど)を行じ、深く慈悲を発して、此の無上大乗無量義経を以って、広く人の為に説かん。若し人先より来、都べて罪福あることを信ぜざる者には、是の経を以て之を示して、種種の方便を設け強いて化して信ぜしめん。経の威力を以っての故に、其の人の信心を発し欻然(こつねん)として回(え)することを得ん。信心既に発して勇猛精進するが故に、能く此の経の威徳勢力を得て、得道、得果せん。是の故に善男子、善女人、化を蒙る功徳を以っての故に、男子、女人即ち是の身に於いて無生法忍を得、上地に至ることを得て、諸の菩薩と以って眷属と為りて、速かに能く衆生を成就し、仏国土を浄め、久しからずして無上菩提を成ずることを得ん。善男子、是れを是の経の第八の功徳不思議の力と名づく。

善男子、第九に是の経の不可思議の功徳力とは、若し善男子、善女人、若しは仏の在世若しは滅度の後に、是の経を得ることあって歓喜踊躍(かんぎ・ゆやく)し、未曽有なることを得て、受持し読誦し書写し供養し、広く衆人の為に是の経の義を分別し解説せん者は、即ち宿業の余罪重障、一時に滅尽することを得、便ち清浄なることを得て、大弁を逮得(たいとく)し、次第に諸の波羅蜜を荘厳し、諸の三昧、首楞厳三昧(しゅりょうごんさんまい)を獲(え)、大総持門に入り、勤精進力を得て速かに上地に越ゆることを得、善能(よ)く分身散体して十方の国土に遍じ、一切二十五有の極苦の衆生を抜済して悉く解脱せしめん。是の故に是の経に此の如きの力います。善男子、是れを是の経の第九の功徳不思議の力と名づく。

善男子、第十に是の経の不可思議の功徳力とは、若し善男子、善女人、若しは仏の在世若しは滅度の後に、若し是の経を得て大歓喜を発し、希有の心を生じ、既に自ら受持し読誦し書写し供養し説の如く修行し、復能く広く在家出家の人を勧めて、受持し読誦し書写し供養し解説し、法の如く修行せしめん。既に余人をして是の経を修行せしむる力の故に、得道、得果せんこと、皆是の善男子、善女人の慈心をもって勤(ねんご)ろに化する力に由るが故に、是の善男子、善女人は即ち是の身に於いて便ち無量の諸の陀羅尼門を逮得せん。凡夫地に於いて、自然に初めの時に能く無数阿僧祇の弘誓(ぐせい)大願を発し、深く能く一切衆生を救わんことを発し、大悲を成就し、広く能く衆の苦を抜き、厚く善根を集めて一切を饒益(にょうやく)せん。而して法の沢(うるおい)を演(の)べて洪(おおい)に枯涸(こかつ)に潤おし、能く法の薬を以って諸の衆生に施し、一切を安楽し、漸見超登して法雲地に住せん。恩沢(おんたく)普く潤し慈被すること外なく、苦の衆生を摂して道跡に入らしめん。是の故に此の人は、久しからずして阿耨多羅三貎三菩提を成ずることを得ん。善男子、是れを是の経の第十の功徳不思議の力と名づく。

善男子、是の如き無上大乗無量義経は、極めて大威神の力ましまして、尊にして過上なし。能く諸の凡夫をして皆聖果を成じ、永く生死を離れて皆自在なることを得せしめたもう。是の故に是の経を無量義と名づく。能く一切衆生をして、凡夫地に於いて諸の菩薩の無量の道牙を生起せしめ、功徳の樹をして鬱茂扶蔬(うつむふそ)増長せしめたもう。是の故に此の経を不可思議の功徳力と名づく。
時に大荘厳菩薩摩訶薩及び八万の菩薩摩訶薩、声を同じうして仏に白(もう)して言(もう)さく、
世尊、仏の所説の如き甚深微妙無上大乗無量義経は、文理真正に、尊にして過上なし。三世の諸仏の共に守護したもう所、衆魔群道、得入することあることなく、一切の邪見生死に壊敗(えはい)せられず。是の故に此の経は乃ち是の如き十功徳不思議の力います。大に無量の一切衆生を饒益し、一切の諸の菩薩摩訶薩をして各無量義三昧を得、或は百千陀羅尼門を得せしめ、或は菩薩の諸地、諸忍を得、或は縁覚、羅漢の四道果の証を得せしめたもう。世尊慈愍して快く我等が為に是の如き法を説いて、我をして大に法利を獲せしめたもう。甚だ為れ奇特に未曽有也。世尊の慈恩実に報ずべきこと難し。
此の語を作し已(おわ)りし、爾の時に三千大千世界、六種に震動し、上空の中より復種種の天華、天優鉢羅華、鉢曇摩華、拘物頭華、分陀利華を雨らし、又無数種種の天香、天衣、天瓔珞、天無価の宝を雨らして、上空の中より旋転して来下し、仏及び諸の菩薩、声聞、大衆に供養す。天厨、天鉢器に天百味充満盈溢(よういつ)せる、色を見香を聞(か)ぐに自然に飽足(ほうそく)す。天幢、天幡、天軒蓋(てんこんがい)、天妙楽具、処処に安置し、天の伎楽を作して仏を歌歎す。
又復六種に東方恆河沙等の諸仏の世界を震動す。亦天華、天香、天衣、天瓔珞、天無価の宝を雨らし、天厨の天鉢器には天の百味、色を見香を聞くに自然に飽足す。天幢、天幡、天軒蓋、天妙楽具、処処に安置し、天の伎楽を作して彼の仏及び諸の菩薩、声聞、大衆を歌歎す。南西北方四維上下も亦復是の如し。
爾の時に仏、大荘厳菩薩摩訶薩及び八万の菩薩摩訶薩に告げて言わく、
汝等当に此の経に於いて応に深く敬心を起し法の如く修行し、広く一切を化して勤心に流布(るふ)すべし。常に当に慇懃(おんごん)に昼夜守護して、諸の衆生をして各法利を獲せしむべし、汝等真に是れ大慈大悲なり。以って神通の願力を立てて、是の経を守護して疑滞(ぎたい)せしむることなかれ。汝、当来世に於いて必ず広く閻浮提(えんぶだい)に行ぜしめ、一切衆生をして見聞し読誦(どくじゅ)し書写し供養することを得せしめよ。是れを以っての故に、亦疾く汝等をして速かに阿耨多羅三貎三菩提を得せしめん。
是の時に大荘厳菩薩摩訶薩、八万の菩薩摩訶薩と即ち座より起って仏所に来詣して、頭面に足を礼し遶ること百千帀(ひゃくせんそう)して、即ち前(すす)んで胡跪(こき)し倶共(とも)に声を同じうして仏に白して言さく、
世尊、我等快く世尊の慈愍を蒙りぬ。我等が為に是の甚深微妙無上大乗無量義を説きたもう。敬(つつし)んで仏勅を受けて、如来の滅後に於いて当に広く是の経典を流布せしめ、普く一切をして受持し読誦し書写し供養せしむべし、唯願わくは憂慮を垂れたもうことなかれ。我等当に願力を以って、普く一切衆生をして此の経を見聞し読誦し書写し供養することを得、是の経の威神の福を得せしむべし。
爾の時に仏讃めて言わく、
善哉善哉、諸の善男子、汝等今者真に是れ仏子なり。弘き大慈大悲をもって深く能く苦を抜き厄を救う者なり。一切衆生の良福田(ろうふくでん)なり。広く一切の為に大良導師と作れり。一切衆生の大依止処なり。一切衆生の大施主なり。常に法利を以って広く一切に施せと。
爾の時に大会皆大に歓喜して、仏の為に礼を作し、受持して去りにき。



by johsei1129 | 2021-11-03 15:57 | 法華経28品 並開結 | Trackback | Comments(0)


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