2021年 11月 03日
無量義経 徳行品第一 漢訳 蕭齊(しゅくせい)天竺三藏 曇摩伽陀耶舍(どんまかだやしゃ)訳す 是の如きを我聞きき。一時、仏、王舎城、耆闍崛山(ぎしゃくっせん)の中に住したまい、 大比丘衆万二千人と倶なりき。菩薩摩訶薩八万人あり。天、龍、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅迦あり、諸の比丘、比丘尼及び優婆塞、優婆夷も倶なりき。大転輪王、小転輪王、金輪、銀輪、諸輪の王、国王、王子、国臣、国民、国士、国女、国大長者、各眷属百千万数にして自ら囲遶せると与に、仏の所に来詣して頭面に足を礼し、遶(めぐ)ること百千帀(ひゃくせんそう)して、香を焼き華を散じ、種種に供養すること已って、退いて一面に坐す。 其の菩薩の名を、文殊師利法王子、大威徳蔵法王子、無憂蔵法王子、大弁蔵法王子、弥勒菩薩、導首菩薩、薬王菩薩、薬上菩薩、華幢(けどう)菩薩、華光幢菩薩、陀羅尼自在王菩薩、観世音菩薩、大勢至菩薩、常精進菩薩、法印首菩薩、宝積菩薩、宝杖菩薩、越三界菩薩、毗摩颰羅(びまばつら)菩薩、香象菩薩、大香象菩薩、師子吼王(ししくおう)菩薩、師子遊戯世(ししゆげぜ)菩薩、師子奮迅菩薩、師子精進菩薩、勇鋭力菩薩、師子威猛伏菩薩、荘厳菩薩、大荘厳菩薩と曰う。是の如き等の菩薩摩訶薩八万人と倶なりき。 是の諸の菩薩、皆是れ法身の大士ならざることなし。戒、定、慧、解脱、解脱知見の成就せる所なり。其の心禅寂にして、常に三昧に在って、恬安憺怕(ていなんたんぱく)に無為無欲なり。顚倒(てんどう)乱想、復入ることを得ず。静寂清澄に志玄虚漠(しげんこまく)なり。之を守って動ぜざること億百千劫、無量の法門悉く現在前せり。大智慧を得て諸法に通達し、性相の真実を暁了し分別するに、有無、長短、明現顕白なり。 又善能く諸の根性欲を知り、陀羅尼、無礙(むげ)弁才を以って、諸仏の転法輪、随順して能く転ず。微渧先(みたい・ま)ず堕ちて以って欲塵を淹(ひた)し、涅槃の門を開き解脱の風を扇いで、世の悩熱を除き法の清涼を致す。次に甚深の十二因縁を降らして、用って無明、老、病、死等の猛盛熾然(みょうじょう・しねん)なる苦聚(くじゅ)の日光に灑(そそ)ぎ、爾して乃ち洪(おおい)に無上の大乗を注いで、衆生の諸有の善根を潤漬(にんし)し、善の種子を布いて功徳の田に遍じ、普く一切をして菩提の萌(め)を発さしむ。智慧の日月方便の時節、大乗の事業を扶蔬(ふそ)増長して、衆をして疾く阿耨多羅三貎三菩提を成じ、常住の快楽微妙(けらく・みみょう)真実に、無量の大悲、苦の衆生を救わしむ。是れ諸の衆生の真善知識、是れ諸の衆生の大良福田、是れ諸の衆生の請せざるの師、是れ諸の衆生の安穏の楽処、救処、護処、大依止処(だいえししょ)なり。処処に衆生の為に、大良導師、大導師と作る。能く衆生の盲いたるが為には而も眼目を作し、聾(りょう)、劓(ぎ)、瘂(あ)の者には耳、鼻、舌を作し、諸根毀欠せるをば能く具足せしめ、顚狂荒乱なるには大正念を作さしむ。船師、大船師なり。群生を運載し、生死の河を度して涅槃の岸に置く。医王、大医王なり、病相を分別し薬性を暁了して、病に随って薬を授け、衆をして薬を服せしむ。調御、大調御なり、諸の放逸(ほういつ)の行なし。猶お象馬(ぞうめ)師の能く調うるに調わざることなく、師子の勇猛なる、衆獣を威伏して沮壊(そえ)すべきこと難きがごとし。 菩薩の諸波羅蜜に遊戯し、如来の地に於いて堅固にして動ぜず、願力に安住して、広く仏国を浄め、久しからずして阿耨多羅三貎三菩提を成ずることを得べし。是の諸の菩薩摩訶薩皆斯くの如き不思議の徳あり。 其の比丘の名を、大智舎利弗、神通目犍連(じんつう・もっけんれん)、慧命須菩提(えみょう・しゅぼだい)、摩訶迦旃延(まか・かせんねん)、弥多羅尼子(みたらにし)、富楼那(ふるな)、阿若憍陳如(あにゃきょうじんにょ)、天眼阿那律、持律優婆離(じりつ・うばり)、侍者阿難、仏子羅雲、優波難陀、離波多(りはた)、劫賓那(こうひんな)、薄拘羅(はくら)、阿周陀、莎伽陀(しゃかだ)、頭陀大迦葉(ずだ・だいかしょう)、優楼頻螺(うるびんら)迦葉、迦耶(がや)迦葉、那提(なだい)迦葉という。是の如き等の比丘万二千人あり。皆阿羅漢にして、諸の結漏を尽くして復縛著(また・ばくじゃく)なく、真正解脱なり。 爾の時に大荘厳菩薩摩訶薩、遍く衆の坐して各定意(おのおの・じょうい)なるを観じ已って、衆中の八万の菩薩摩訶薩と倶に、座より而も起って仏所に来詣(らいけい)し、頭面に足を礼し遶ること百千帀して、天華、天香を焼散し、天衣、天瓔珞、天無価宝珠、上空の中より旋転して来下し、四面に雲のごとく集って而も仏に獻(たてまつ)る。天厨(てんちゅう)の天鉢器(てんばっき)には天の百味充満盈溢(よういつ)せる、色を見香を聞(か)ぐに自然に飽足す。天幢、天旛、天軒蓋、天妙楽具処処に安置し、天の伎楽を作して仏を娯楽せしめたてまつり、即ち前んで胡跪(こき)し合掌し、一心に倶共に声を同じうして、偈を説いて讃めて言さく、 大なる哉大悟大聖主 垢(く)なく染(ぜん)なく所著(しょじゃく)なし 天人象馬の調御師 道風徳香一切に薫じ 智恬(しず)かに情泊(しず)かに慮凝静(りょ・ぎょうじょう)なり 意滅し識亡して心亦寂なり 永く夢妄の思想念を断じて 復諸大陰入界なし 其の身は有に非ず亦無に非ず 因に非ず縁に非ず自他に非ず 方に非ず円に非ず短長に非ず 出に非ず没に非ず生滅に非ず 造に非ず起に非ず為作に非ず 坐に非ず臥に非ず行住に非ず 動に非ず転に非ず閑静に非ず 進に非ず退に非ず安危(あんき)に非ず 是に非ず非に非ず得失に非ず 彼に非ず此に非ず去来に非ず 青に非ず黄に非ず赤白に非ず 紅に非ず紫種種の色に非ず戒 定 慧 解 知見より生じ 三昧 六通 道品より発し 慈悲十力無畏より起り 衆生善業の因縁より出でたり 示して丈六紫金(しこん)の暉(ひかり)を為し 方整照曜(ほうしょう・しょうよう)として甚だ明徹なり 毫相(ごうそう)月のごとく旋(めぐ)り項(うなじ)に日の光あり 旋髪紺青(せんぼつ・こんじょう)にして頂きに肉髻(にっけい)あり 淨眼明鏡のごとく上下に眴(まじろ)ぎ 眉校紺舒(こんじょ)に方しき口頬(くきょう)なり 唇舌赤好(しんぜつ・しゃっこう)にして丹華の若く 白歯(びゃくし)の四十なる猶お珂雪(かせつ)のごとし 額広く鼻修(なが)く面門開け 胸に万字を表して師子の臆(むね)なり 手足柔輭にして千輻を具え 腋掌合縵(やくしょうごうまん)あって内外に握れり 臂修肘長(ひしゅちゅうじょう)にして指直く繊(ほそ)し 皮膚細輭(ひふ・さいなん)にして毛右に旋(めぐ)れり 踝膝(かしつ)露現し陰馬蔵(おんめぞう)にして 細筋鏁骨鹿膊脹(さいこん・さこつ・ろくせんちょう)なり 表裏映徹(ようてつ)し浄くして垢(あか)なし 濁水も染むるなく塵を受けず是の如き等の相三十二あり 八十種好見るべきに似たり 而も実には相非相の色なし 一切の有相眼の対絶せり 無相の相にして有相の身なり 衆生身相の相も亦然なり 能く衆生をして歓喜し礼して 心を投じ敬を表して慇懃なることを成ぜしむ 是れ自高我慢の除こるに因って、 是の如き妙色の軀(み)を成就したまえり 今我等八万の衆 倶に皆稽首して咸く 善く思想心意識を滅したまえる 象馬調御無著の聖に帰命したてまつる 稽首して法色身 戒定慧解 知見聚(ちけんじゅ)に帰依したてまつる 稽首して妙種相に帰依したてまつる 稽首して難思議に帰依したてまつる 梵音雷震のごとく響き八種あり 微妙清浄にして甚だ深遠なり 四諦 六度 十二因縁 衆生の心業に随順して転じたもう 若し聞くことあるは意開けて 無量生死の衆結断せざることなし 聞くことあるは或は須陀洹(しゅだおん) 斯陀(しだ) 阿那 阿羅漢 無漏無為の縁覚処 無生無滅の菩薩地を得 或は無量の陀羅尼 無礙の楽説大弁才を得て 甚深微妙の偈を演説し 遊戯して法の清渠(しょうこ)に澡浴し 或は躍り飛騰して神足を現じ 水火に出没して身自由なり 如来の法輪相是の如し 清浄無辺にして思議し難し 我等咸く復共に稽首して 法輪転じたもうに時を以ってするに帰命したてまつる 稽首して梵音声に帰依したてまつる 稽首して縁 諦 度に帰依したてまつる 世尊往昔の無量劫に 勤苦に衆の徳行を修習して 我人天龍神王の為にし 普く一切の諸の衆生に及ぼしたまえり 能く一切の諸の捨て難き 財宝妻子及び国城を捨てて 法の内外に於いて悋(おし)む所なく 頭目髄脳悉く人に施せり 諸仏の清浄の禁を奉持して 乃至命を失えども毀傷したまわず 若し人刀杖をもって来って害を加え 悪口罵辱(あっくめにく)すれども終に瞋(いか)りたまわず 劫を歴て身を挫(くだ)けども惓惰(けんに)したまわず 昼夜に心を摂めて常に禅にあり 遍く一切の衆の道法を学して 智慧深く衆生の根に入りたまえり 是の故に今自在の力を得て 法に於いて自在にして法王と為りたまえり 我復咸く共倶に稽首して 能く諸の勤め難きを勤めたまえるに帰依したてまつる
by johsei1129
| 2021-11-03 10:12
| 法華経28品 並開結
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