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日蓮大聖人『御書』解説

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2021年 11月 02日

妙法蓮華経 安楽行品第十四 (2)  訓読

  漢訳
爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、

若し是の経を説かんと欲せば 当に嫉恚慢(しっちまん) 
諂誑邪偽(てんのう・じゃぎ)の心を捨てて 常に質直(しちじき)の行を修すべし
人を軽蔑せず 亦法を戯論(けろん)せざれ
他をして疑悔せしめて 汝は仏を得じと云わざれ
是の仏子法を説かんには 常に柔和にして能く忍び 
一切を慈悲して 懈怠の心を生ぜざれ
十方の大菩薩 衆を愍むが故に道を行ずるに 
応に恭敬(くぎょう)の心を生ずべし 是れ則ち我が大師なりと
諸仏世尊に於いて 無上の父の想を生じ
憍慢(きょうまん)の心を破して 法を説くに障礙(しょうげ)無からしめよ
第三の法是の如し 智者応に守護すべし 
一心に安楽に行ぜば 無量の衆に敬われん

又、文殊師利、菩薩摩訶薩の、後の末世の、法滅せんと欲せん時に於いて、法華経を受持すること有らん者は、在家、出家の人の中に於いて、大慈の心を生じ、菩薩に非ざる人の中に於いて、大悲の心を生じて、応に是の念を作すべし。
是の如きの人は、則ち為れ、大いに如来の方便随宜(ずいぎ)の説法を失えり。聞かず、知らず、覚らず、問わず、信ぜず、解せず。其の人是の経を、問わず、信ぜず、解せずと雖も、我、阿耨多羅三藐三菩提を得ん時、随って何れの地に在っても、神通力、智慧力を以って、之を引いて、是の法の中に住することを得せしめん。
文殊師利、是の菩薩摩訶薩、如来の滅後に於いて、此の第四の法を成就すること有らん者は、是の法を説かん時、過失有ること無けん。常に比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、国王、王子、大臣、人民、婆羅門、居士等に、供養、恭敬、尊重、讃歎せらるることを為ん。虚空の諸天、法を聴かんが為の故に、亦常に随侍せん。若し聚落、城邑、空閑、林中に在らんとき、人有り、来って難問せんと欲せば、諸天昼夜に、常に法の為の故に、而も之を衛護し、能く聴く者をして、皆歓喜することを得せしめん。所以は何ん。此の経は是れ、一切の過去、未来、現在の諸仏の、神力をもって護りたもう所なるが故に。
文殊師利、是の法華経は、無量の国の中に於いて、乃至名字をも聞くことを得べからず。何に況や見ることを得、受持し、読誦せんをや。文殊師利、譬えば、強力の転輪聖王の威勢を以って、諸国を降伏せんと欲せんに、而も諸の小王、其の命に順わざらん。時に転輪王、種種の兵を起して、往いて討伐するに、王、兵衆の戦うに功有る者を見て、即ち大いに歓喜し、功に随って賞賜(しょうし)し、或は田宅、聚落(じゅらく)、城邑を与え、或は衣服、厳身の具を与え、或は種種の珍宝、金、銀、瑠璃、硨磲(しゃこ)、碼碯(めのう)、珊瑚(さんご)、琥珀(こはく)、象馬、車乗、奴婢、人民を与う。唯、髻中の明珠のみ、以って之を与えず。所以は何ん。独り王の頂上に、此の一つの珠有り、若し以って之を与えば、王の諸の眷属、必ず大いに驚き怪まんが如く、文殊師利、如来も亦復是の如し。禅定、智慧の力を以って、法の国土を得て、三界に王たり。而るを諸の魔王、肯えて順伏せず。如来の賢聖の諸将、之と共に戦うに、其の功有る者には、心亦歓喜して、四衆の中に於いて、為に諸経を説いて、其の心をして悦ばしめ、賜うに禅定、解脱、無漏根、力の諸法の財を以ってし、又復、涅槃の城を賜与して、滅度を得たりと言って、其の心を引導して、皆歓喜せしむ。而も為に、是の法華経を説かず。文殊師利、転輪王の諸の兵衆の、大功有る者を見ては、心甚だ歓喜して、此の難信の珠の、久しく髻中(けちゅう)に在って、妄(みだ)りに人に与えざるを以って、今之を与えんが如く、如来も亦復是の如し。三界の中に於いて、大法王たり。法を以って一切衆生を教化す。賢聖の軍の、五陰魔、煩悩魔、死魔と共に戦うに、大功勲有って、三毒を滅し、三界を出でて、魔網を破するを見ては、爾の時に如来、亦大いに歓喜して、此の法華経の、能く衆生をして、一切智に至らしめ、一切世間に怨多くして信じ難く、先に未だ説かざる所なるを、而も今之を説く。文殊師利、此の法華経は、是れ諸の如来の第一の説、諸説の中に於いて最も為れ甚深なり。末後に賜与(しよ)すること、彼の強力の王の、久しく護れる明珠を、今乃ち之を与うるが如し。文殊師利、此の法華経は、諸仏如来の秘密の蔵なり。諸経の中に於いて、最も其の上に在り、長夜に守護して、妄りに宣説せざるを、始めて今日に於いて、乃ち汝等が与に而も之を敷演(ふえん)す。
爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、

常に忍辱(にんにく)を行じ 一切を哀愍して 
乃ち能く 仏の讃めたもう所の経を演説せよ
後の末世の時 此の経を持たん者は 
家と出家と 及び非菩薩とに於いて 
応に慈悲を生ずべし 斯れ等 
是の経を聞かず信ぜず 則ち為れ大いに失えり
我仏道を得て 諸の方便を以って 
為に此の法を説いて 其の中に住せしめん
譬えば強力の 転輪の王 
兵の戦って功有るに 諸物の 
象馬車乗 厳身の具 
及び諸の田宅 聚落城邑を賞賜し 
或は衣服 種種の珍宝 
奴婢財物を与え 歓喜して賜与す如し
勇健にして 能く難事を為すこと有るには 
王髻中(おうけいちゅう)の 明珠を解いて之を賜わんが如く
如来も亦爾なり 為れ諸法の王なり 
忍辱の大力 智慧の宝蔵あり 
大慈悲を以って 法の如く世を化す 
一切の人の 諸の苦悩を受け 
解脱を欲求して 諸の魔と戦うを見て 
是の衆生の為に 種種の法を説き 
大方便を以って 此の諸経を説く
既に衆生 其の力を得已んぬと知っては 
末後に乃ち為に 是の法華を説くこと 
王髻(もとどり)の明珠を解きて 之を与えんが如し 
此の経は為れ尊く 衆経の中の上なり 
我常に守護して 妄りに開示せず 
今正しく是れ時なり 汝等が為に説く
我が滅度の後に 仏道を求めん者 
安穏に 斯の経を演説することを得んと欲せば 
応当(まさ)に 是の如き四法に親近すべし
是の経を読まん者は 常に憂悩(うのう)無く 
又病痛無く 顔色鮮白(げんじき・せんびゃく)ならん
貧窮 卑賤醜陋(ひせん・しゅうる)に生れじ
衆生見んと楽(ねが)うこと 賢聖を慕うが如くならん 
天の諸の童子 以って給使を為さん
刀杖も加えず 毒も害すること能わじ 
若し人悪(にく)み罵(ののし)らば 口則ち閉塞(へいそく)せん 
遊行するに畏れなきこと 師子王の如く 
智慧の光明 日の照らすが如くならん
若し夢の中に於いても 但妙なる事を見ん 
諸の如来の 師子座に坐して 
諸の比丘衆に 囲繞(いにょう)せられて説法したもうを見ん
又龍神 阿修羅等 
数恒沙の如くにして 恭敬合掌し 
自ら其の身を見るに 而も為に法を説くと見ん
又諸仏の 身相金色にして 
無量の光を放って 一切を照らし 
梵音声を以って 諸法を演説し 
仏四衆の為に 無上の法を説きたもう
身を見るに中に処して 合掌して仏を讃じ 
法を聞き歓喜して 供養を為し 
陀羅尼を得 不退の智を証す
仏其の心 深く仏道に入れりと知(しろ)しめして 
即ち為に 最正覚を成ずることを授記して 
汝善男子 当に来世に於いて 
無量智の 仏の大道を得て 
国土厳浄にして 広大なること比(たぐい)無く 
亦四衆有り 合掌して法を聴くべしとのたもうを見ん
又自身 山林の中に在って 
善法を修習し 諸の実相を証し 
深く禅定に入って 十方の仏を見たてまつると見ん
諸仏の身金色にして 百福の相荘厳したもう 
法を聞いて人の為に説く 常に是の好き夢有らん
又夢むらく国王と作って 宮殿眷属 
及び上妙の五欲を捨てて 道場に行詣し 
菩提樹下に在って 師子座に処し 
道を求むること七日を過ぎて 諸仏の智を得 
無上道を成じ已(おわ)り 起って法輪を転じ 
四衆の為に法を説くこと 千万億劫を経 
無漏の妙法を説き 無量の衆生を度して 
後に当に涅槃に入ること 煙尽きて燈(ともしび)の滅(き)ゆるが如し
若し後の悪世の中に 是の第一の法を説かば 
是の人大利を得んこと 上の諸の功徳の如くならん




by johsei1129 | 2021-11-02 15:19 | 法華経28品 並開結 | Trackback | Comments(0)


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