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日蓮大聖人『御書』解説

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2021年 11月 02日

妙法蓮華経 安楽行品第十四 (1)  訓読

妙法蓮華経 安楽行品第十四   漢訳

爾の時に、文殊師利(もんじゅしり)法王子菩薩摩訶薩(ぼさつ・まかさつ)、仏に白(もう)して言(もう)さく、
世尊、是の諸の菩薩は甚だ為れ有り難し。仏に敬順したてまつるが故に、大誓願を発す。後の悪世に於いて、是の法華経を護持し、読誦し、説かん。世尊、菩薩摩訶薩、後の悪世に於いて、云何が能く是の経を説かん。
仏、文殊師利に告げたまわく、
若し菩薩摩訶薩、後の悪世に於いて是の経を説かんと欲せば、当に四法に安住すべし。一には菩薩の行処、親近処に安住して、能く衆生の為に是の経を演説すべし。文殊師利、云何なるをか菩薩摩訶薩の行処と名づくる。若し菩薩摩訶薩、忍辱(にんにく)の地に住し、柔和善順にして、卒暴ならず。心亦驚かず。又復法に於いて行ずる所無くして、諸法如実の相を観じ、亦不分別を行ぜざる。是れを菩薩摩訶薩の行処と名づく。云何なるかを菩薩摩詞薩の親近処と名づくる。菩薩摩訶薩、国王、王子、大臣、官長に親近せざれ。諸の外道、梵志(ぼんじ)、尼揵子(にけんじ)等、及び世俗の文筆、讃詠(さんよう)の外書を造る、及び路伽耶陀(ろがやだ)、逆路伽耶陀(ぎゃくろがやだ)の者に親近せざれ。亦諸の有(あら)ゆる凶戯(くけ)、相扠(そうしゃ)、相撲(そうぼく)及び那羅等の種種の変現の戯(たわぶれ)に親近せざれ。又、旃陀羅(せんだら)及び猪羊(ちょよう)、雞狗(けいく)を畜い、畋猟(でんろう)し漁捕(ごふ)する諸の悪律儀に親近せざれ。是の如き人等、或時に来らば、則ち為に法を説いて悕望(けもう)する所無かれ。又、声聞を求むる比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷に親近せざれ。亦、問訊(もんじん)せざれ。若しは房中に於いても、若しは経行の処、若しは講堂の中に在っても、共に住止せざれ。或時に来らば、宜しきに随って法を説いて求する所無かれ。文殊師利、又菩薩摩訶薩、応に女人の身に於いて、能く欲想を生ずる相を取って、為に法を説くべからず。亦見んと楽(ねが)わざれ。若し他の家に入らんには、小女、処女、寡女(けにょ)等と共に語らざれ。亦復、五種不男の人に近きて、以って親厚を為さざれ。独り他の家に入らざれ。若し因縁有って、独り入ることを須(もち)いん時には、但一心に仏を念ぜよ。若し女人の為に法を説かんには、歯を露(あらわ)にして笑まざれ。胸臆(くおく)を現わさざれ。乃至法の為にも、猶親厚せざれ。況や復余の事をや。楽いて年小の弟子、沙弥、小児を蓄えざれ。亦、与に師を同じうすることを楽わざれ。常に坐禅を好んで、閑かなる処に在って心を修摂(しゅしょう)せよ。文殊師利、是れを初(はじめ)の親近処と名づく。復次に菩薩摩訶薩、一切の法を観ずるに、空なり、如実相なり。顚倒(てんどう)せず、動ぜず、退せず、転ぜず。虚空の如くにして所有の性無し。一切の語言の道断え、生ぜず、出せず、起せず。名無く、相無く、実に所有無し、無量、無辺、無礙(むげ)、無障なり。但、因縁を以って有り。顚倒(てんどう)に従って生ず。故に説く。常に楽って是の如き法相を観ぜよ。是れを菩薩摩訶薩の第二の親近処と名づく。
爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈(げ)を説いて言わく、

若し菩薩有って 後の悪世に於いて 
無怖畏の心をもって 此の経を説かんと欲せば
応に行処 及び親近処に入るべし 
常に国王 及び国王子 
大臣官長 凶険の戯者(けしゃ) 
及び旃陀羅(せんだら) 外道梵志を離れ 
亦 増上慢の人 
小乗に貪著する 三蔵の学者に親近せざれ 
破戒の比丘 名字の羅漢 
及び比丘尼の 戯笑を好む者の 
深く五欲に著して 現の滅度を求むる 
諸の優婆夷に 皆親近すること勿れ
是の若き人等 好心を以って来り 
菩薩の所に到って 仏道を聞かんと為ば 
菩薩則ち 無所畏の心を以って 
悕望(けもう)を懐かずして 為に法を説け 
寡女処女(けにょ・しょにょ) 及び諸の不男に 
皆親近して 以って親厚を為すこと勿れ 
亦 屠児魁膾(とにけえ) 
畋猟漁捕(でんろうごふ) 利の為に殺害するに親近すること莫れ
肉を販(う)って自活し 女色を衒売(げんまい)する 
是の如きの人に 皆親近すること勿れ 
凶険の相撲(そうぼく) 種種の嬉戯(きけ) 
諸の婬女等に 尽く親近すること勿れ 
独り屏処(びょうしょ)にして 女の為に法を説くこと莫れ 
若し法を説かん時には 戯笑(けしょう)することを得ること無かれ
里に入って乞食(こつじき)せんには 一りの比丘を将(ひき)いよ 
若し比丘無くんば 一心に仏を念ぜよ 
是れ則ち名づけて 行処近処(ぎょうしょ・ごんしょ)と為す 
此の二処を以って 能く安楽に説け
又復 上中下の法 
有為無為 実不実の法を行ぜざれ
亦 是れ男是れ女と分別せざれ 
諸法を得ず 知らず見ざれ 
是れ則ち名づけて 菩薩の行処と為す
一切の諸法は 空にして所有無し 
常住有ること無く 亦起滅無し 
是れを智者の 所親近処と名づく
顚倒して 諸法は有なり無なり 
是れ実なり非実なり 是れ生なり非生なりと分別す
閑(しず)かなる処に在りて 其の心を修摂(しゅしょう)し 
安住して動ぜざること 須弥山の如くせよ
一切の法を観ずるに 皆所有無し 
猶虚空の如し 堅固なること有ること無し 
不生なり不出なり 不動なり不退なり 
常住にして一相なり 是れを近処と名づく
若し比丘有って 我が滅後に於いて 
是の行処 及び親近処に入りて 
斯の経を説かん時には 怯弱(こうにゃく)有ること無けん
菩薩有る時に 静室に入りて 
正憶念(しょうおくねん)を以って 義に随って法を観じ 
禅定より起って 諸の国王 
王子臣民 婆羅門等の為に 
開化し演暢(えんちょう)して 斯の経典を説かば 
其の心安穏にして 怯弱有ること無けん
文殊師利 是れを菩薩の 
初めの法に安住して 能く後の世に於いて 
法華経を説くと名づく

又、文殊師利、如来の滅後に、末法の中に於いて、是の経を説かんと欲せば、応(まさ)に安楽行に住すべし。若しは口に宣説し、若しは経を読まん時、楽(ねが)って人及び経典の過(とが)を説かざれ。亦、諸余の法師を軽慢せざれ。他人の好悪、長短を説かざれ。声聞の人に於いて、亦名を称して、其の過悪を説かざれ。亦名を称して、其の美きことを讃歎せざれ。又亦、怨嫌(おんけん)の心を生ぜざれ。善く是の如き安楽の心を修するが故に、諸の聴くこと有らん者、其の意に逆わじ。難問する所有らば、小乗の法を以って答えざれ。但、大乗を以って、為に解説して、一切種智を得せしめよ。
爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、

菩薩は常に楽って 安穏に法を説け 
清浄の地に於いて 牀座(じょうざ)を施し 
油を以って身に塗り 塵穢(じんね)を澡浴し 
新浄の衣を著 内外倶に浄(きよ)くして
法座に安処して 問に随って為に説け
若し比丘 及び比丘尼 
諸の優婆塞 及び優婆夷 
国王王子 群臣士民有らば 
微妙(みみょう)の義を以って 和顔にして為に説け 
若し難問すること有らば 義に随って答えよ
因縁譬喩をもって 敷演(ふえん)し分別せよ 
是の方便を以って 皆発心せしめ 
漸漸に増益(ぞうやく)して 仏道に入らしめよ
嬾惰(らんだ)の意 及び懈怠(けたい)の想を除き 
諸の憂悩を離れ 慈心をもって法を説け
昼夜に常に 無上道の教を説け 
諸の因縁 無量の譬喩を以って 
衆生に開示して 咸く歓喜せしめよ 
衣服臥具 飲食医薬 
而も其の中に於いて 悕望する所無かれ 
但一心に 説法の因縁を念じ 
仏道を成じて 衆をして亦爾ならしめんと願うべし 
是れ則ち大利 安楽の供養なり
我が滅度の後に 若し比丘有って 
能く斯の 妙法華経を演説せば
心に嫉恚(しっち) 諸悩障礙(しょのう・しょうげ)無く 
亦憂愁(うしゅう) 及び罵詈(めり)する者無く 
又怖畏(ふい)し 刀杖(とうじょう)を加えらるる等無く 
亦擯出(ひんずい)せらるること無けん 忍に安住するが故に
智者是の如く 善く其の心を修せば 
能く安楽に住すること 我が上に説くが如くならん
其の人の功徳は 千万億劫に 
算数譬喩をもって 説くとも尽くすこと能わじ

又、文殊師利菩薩摩訶薩、後の末世の、法滅せんと欲せん時に於いて、斯の経典を受持し、読誦せん者は、嫉妬諂誑(しっと・てんのう)の心を懐くこと無かれ。亦、仏道を学する者を軽罵(きょうめ)し、其の長短を求むること勿れ。若し比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷の声聞を求むる者、辟支仏を求むる者、菩薩の道を求むる者、之を悩(なやま)して其れをして疑悔(ぎけ)せしめて、其の人に語って、汝等道を去ること甚だ遠し、終に一切種智を得ること能わじ。所以は何ん。汝は是れ放逸(ほういつ)の人なり。道に於いて懈怠(けたい)なるが故にと言うことを得ること無かれ。又亦、諸法を戯論し、諍競(じょうきょう)する所有るべからず。当に、一切衆生に於いて、大悲の想を起し、諸の如来に於いて、慈父の想を起し、諸の菩薩に於いて、大師の想を起すべし。十方の諸の大菩薩に於いて、常に応に深心に恭敬礼拝すべし。一切衆生に於いて平等に法を説け。法に順ずるを以っての故に、多くもせず少くもせず、乃至、深く法を愛せん者にも、亦為に多く説かざれ。文殊師利、是の菩薩摩訶薩、後の末世の法滅せんと欲せん時に於いて、是の第三の安楽行を成就すること有らん者は、是の法を説かん時、能く悩乱するもの無けん。好き同学の、共に是の経を読誦することを得ん。亦大衆の、而も来って聴受し、聴き已って能く持ち、持ち已って能く誦(じゅ)し、誦し已って能く説き、説き已って能く書き、若しは人をして書かしめ、経巻を供養し、恭敬、尊重、讃歎するを得ん。




by johsei1129 | 2021-11-02 15:18 | 法華経28品 並開結 | Trackback | Comments(0)


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