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日蓮大聖人『御書』解説

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2021年 11月 01日

妙法蓮華経 見寶塔品第十一  訓読

妙法蓮華経 見寶塔品第十一   漢訳

爾の時に仏前に七宝の塔あり。高さ五百由旬、縦広二百五十由旬なり。地より涌出して、空中に住在す。種種の宝物をもって、之を荘校(しょうきょう)せり。五千の欄楯(らんじゅん)あって、龕室(がんしつ)千万なり。無数の幢旛、以って厳飾と為し、宝の瓔珞を垂れ、宝鈴万億にして、其の上に懸けたり。四面に皆、多摩羅跋栴檀(たまらばつせんだん)の香を出して、世界に充徧せり。其の諸の旛蓋は、金、銀、瑠璃、硨磲、碼碯、真珠、玫瑰(まいえ)の七宝を以って合成し、高く四天王宮に至る。三十三天、天の曼陀羅華を雨して、宝塔に供養す。余の諸天、龍、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅迦、人非人等の千万億衆は、一切の華香、瓔珞、旛蓋、伎楽を以って、宝塔に供養して、恭敬、尊重、讃歎したてまつる。
爾の時に宝塔の中より、大音声を出して歎じて言わく、
善い哉善い哉釈迦牟尼世尊、能く平等大慧、教菩薩法、仏所護念の妙法華経を以って、大衆の為に説きたもう。是の如し、是の如し。釈迦牟尼世尊、所説の如きは、皆是れ真実なり。
爾の時に四衆、大宝塔の空中に住在せるを見、又塔の中より出したもう所の音声を聞いて、皆法喜を得、未曾有なりと怪しみ、座より而も起ちて恭敬合掌し、却って一面に住す。
爾の時に菩薩摩訶薩有り、大楽説(だいぎょうせつ)と名づく。一切世間の天、人、阿修羅等の心の所疑を知って、仏に白して言さく、
世尊、何の因縁を以ってか、此の宝塔有って、地より涌出せる。又其の中より、是の音声を発したもう。
爾の時に仏、大楽説菩薩に告げたまわく、
此の宝塔の中に、如来の全身有(いま)す。乃往(ないおう)過去に、東方の無量千万億阿僧祇の世界に、国を宝浄と名づく。彼の中に仏有す。号を多宝と曰う。其の仏、本(もと)菩薩の道を行ぜし時、大誓願を作したまわく、
若し我、成仏して滅度の後、十方の国土に於いて、法華経を説く処有らば、我が塔廟、是の経を聴かんが為の故に、其の前に涌現して、為に証明と作って、讃めて善い哉と言わん。
彼の仏成道し已って、滅度の時に臨んで、天人大衆の中に於いて、諸の比丘に告げたまわく、
我が滅度の後、我が全身を供養せんと欲せん者は、応に一の大塔を起つべし。
其の仏、神通願力を以って、十方世界の在在処処に、若し法華経を説くこと有らば、彼の宝塔、皆其の前に涌出して、全身塔の中に在して、讃めて善い哉善い哉と言(のたも)う。大楽説、今多宝如来の塔、法華経を説くを聞きたまわんが故に、地より涌出して、讃めて善い哉善い哉と言う。
是の時に大楽説菩薩、如来の神力を以っての故に、仏に白して言さく、
世尊、我等願わくは、此の仏身を見たてまつらんと欲す。
仏、大楽説菩薩摩訶薩に告げたまわく、
是の多宝仏深重の願有す。若し我が宝塔、法華経を聴かんが為の故に、諸仏の前に出でん時、其れ我が身を以って、四衆に示さんと欲すること有らば、彼の仏の分身の諸仏、十方世界に在して説法したもうを、尽く一処に還し集めて、然して後に、我が身乃ち出現せんのみ。大楽説、我が分身の諸仏、十方世界に在して、説法する者を、今応当に集むべし。
大楽説、仏に白して言さく、
世尊、我等亦願わくは、世尊の分身の諸仏を見たてまつり、礼拝し供養せんと欲す。
爾の時に仏、白毫の一光を放ちたもうに、即ち東方、五百万億那由佗恒河沙等の、国土の諸仏を見たてまつる。彼の諸の国土は、皆頗棃(はり)を以って地と為し、宝樹、宝衣、以って荘厳と為して、無数千万億の菩薩、其の中に充満せり。徧く宝幔(ほうまん)を張って、宝網を上に羅(か)けたり。彼の国の諸仏、大妙音を以って、諸法を説きたもう。及び無量千万億の菩薩の、諸国に徧満して、衆の為に法を説くを見る。南西北方、四維(しゅい)上下、白毫相(びゃくごうそう)の光の、所照の処も亦復是の如し。
爾の時に十方の諸仏、各衆の菩薩に告げて言わく、
善男子、我今応に、娑婆世界の釈迦牟尼仏の所に往き、並びに多宝如来の宝塔を供養すべし。
時に娑婆世界、即ち変じて清浄なり。瑠璃を地と為して、宝樹荘厳し、黄金を繩と為して、以って八道を界い、諸の聚落、村営、城邑、大海、江河、山川、林薮(りんそう)無く、大宝の香を焼き、曼陀羅華徧く其の地に布き、宝の網幔を以って、其の上に羅け覆い、諸の宝鈴を懸けたり。唯此の会の衆を留めて、諸の天人を移して他土に置く。是の時に諸仏、各一りの大菩薩を将いて、以って侍者と為し、娑婆世界に至って、各宝樹の下に到りたもう。一一の宝樹、高さ五百由旬、枝葉、華果次第に荘厳せり。諸の宝樹の下に、皆師子の座有り。高さ五由旬、亦大宝を以って之を校飾(きょうじき)せり。爾の時に諸仏、各此の座に於いて結跏趺坐(けっかふざ)したもう。是の如く展転して、三千大千世界に徧満せり。而も釈迦牟尼仏の、一方の所分の身に於いて、猶故未だ尽きず。
時に釈迦牟尼仏、所分身の諸仏を容受せんと欲するが故に、八方に各、更に二百万億那由佗の国を変じて、皆清浄ならしめたもう。地獄、餓鬼、畜生、及び阿修羅有ること無し。又諸の天人を移して他土に置く。所化の国、亦瑠璃を以って地と為し、宝樹荘厳せり。樹の高さ五百由旬、枝葉、華果、次第に厳飾せり。樹下に皆宝の師子座有り。高さ五由旬、種種の諸宝、以って荘校と為す。亦大海、江河、及び目真鄰陀山(もくしんりんだせん)、摩訶目真鄰陀山、鉄囲山(てっちせん)、大鉄囲山、須弥山(しゅみせん)等の諸山の王無く、通じて一仏国土と為って、宝地平正なり。宝をもって交露せる幔(まく)、徧く其の上に覆い、諸の旛蓋を懸け、大宝の香を焼き、諸天の宝華、徧く其の地に布けり。釈迦牟尼仏、諸仏の当に、来り坐したもうべきが為の故に、復八方に於いて、各二百万億那由佗の国を変じて、皆清浄ならしめたもう。地獄、餓鬼、畜生、及び阿修羅有ること無し。又諸の天人を移して他土に置く。所化の国、亦瑠璃を以って地と為し、宝樹荘厳せり。樹の高さ五百由旬、枝葉、華果次第に荘厳せり、樹下に皆、宝の師子座有り。高さ五由旬、亦大宝を以って之を校飾せり。亦大海、江河、及び目真鄰陀山(もくしんりんだせん)、摩訶目真鄰陀山、鉄囲山、大鉄囲山、須弥山等の諸山の王無く、通じて一仏国土と為って、宝地平正なり。宝をもって交露せる幔、徧く其の上に覆い、諸の旛蓋を懸け、大宝の香を焼き、諸天の宝華、徧く其の地に布けり。
爾の時に、東方の釈迦牟尼仏の所分の身の、百千万億那由佗恒河沙等の国土の中の諸仏、各各に説法したもう。此に来集したまえり。是の如く次第に、十方の諸仏、皆悉く来集して、八方に坐したもう。爾の時に一一の方の、四百万億那由佗の国土に、諸仏如来其の中に徧満したまえり。
是の時に諸仏、各宝樹の下に在(ましま)して、師子座に坐し、皆侍者を遣わして、釈迦牟尼仏を問訊したもう。各宝華を齎(も)ち、掬(もろて)に満てて之に告げて言わく、
善男子、汝耆闍崛山(ぎしゃくっせん)の釈迦牟尼仏の所に往詣して、我が辞の如く曰(もう)せ、
少病少悩にして、気力安楽にましますや、及び菩薩、声聞衆、悉く安穏なりや不やと。
此の宝華を以って仏に散じ、供養して是の言を作せ、
彼の某甲(それがし)の仏、此の宝塔を開かんと与欲すと。
諸仏使を遣わしたもうこと、亦復是の如し。
爾の時に釈迦牟尼仏、所分身の諸仏、悉く已に来集して、各各に、師子座に坐したもうを見(みそな)わし、皆諸仏の、同じく宝塔を開かんと与欲(よよく)したもうを聞しめして、即ち座より起って虚空の中に住したもう。一切の四衆、起立合掌し、一心に仏を観たてまつる。
是に釈迦牟尼仏、右の指を以って七宝塔の戸を開きたもう。大音声を出すこと、関鑰(けんやく)を却(さ)けて大城の門を開くが如し。即時に一切の衆会、皆多宝如来の宝塔の中に於いて、師子座に坐したまい、全身散ぜざること禅定に入るが如くなるを見、又其の、
善い哉善い哉、釈迦牟尼仏、快く是の法華経を説きたもう。我是の経を聴かんが為の故に、而も此に来至せり。
と言(のたも)うを聞く。爾の時に四衆等、過去の無量千万億劫に滅度したまいし仏の、是の如き言を説きたもうを見て、未曾有なりと歎じ、天の宝華聚(ほうげじゅ)を以って、多宝仏、及び釈迦牟尼仏の上に散じたてまつる。
爾の時に多宝仏、宝塔の中に於いて、半座を分ち、釈迦牟尼仏に与えて、是の言を作したまわく、
釈迦牟尼仏、此の座に就きたもうべし。
即時に釈迦牟尼仏、其の塔中に入り、其の半座に坐して、結跏趺坐したもう。
爾の時に大衆、二如来の、七宝の塔中の、師子座の上に在まして、結跏趺坐したもうを見たてまつり、各是の念を作さく、
仏高遠に坐したまえり。唯願わくは如来、神通力を以って我が等輩(ともがら)をして、倶に虚空に処せしめたまえ。
即時に釈迦牟尼仏、神通力を以って、諸の大衆に接して、皆虚空に在きたもう大音声を以って、普く四衆に告げたまわく、
誰か能く此の娑婆国土に於いて、広く妙法華経を説かん。今正しく是れ時なり。如来久しからずして、当に涅槃に入るべし。仏此の妙法華経を以って付嘱して在ること有らしめんと欲す。
爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、

聖主世尊 久しく滅度したもうと雖も 
宝塔の中に在して 尚法の為に来りたまえり 
諸人云何ぞ勤めて 法の為にせざらん
此の仏滅度したまいて 無央数劫なり 
処処に法を聴きたもうことは 遇い難きを以っての故なり 
彼の仏の本願は 我滅度の後 
在在所往に 常に法を聴かんが為なり
又我が分身 無量の諸仏 
恒沙等の如く 来れるは法を聴き 
及び滅度の 多宝如来を見たてまつらんと欲して 
各妙土 及び弟子衆 
天人龍神 諸の供養の事を捨てて 
法をして久しく住せしめんが 故に此に来至したまえり
諸仏を坐せしめんが為に 神通力を以って 
無量の衆を移して 国をして清浄ならしむ 
諸仏各各に 宝樹の下に詣(いた)りたもう 
清涼池の 蓮華荘厳せるが如し
其の宝樹の下の 諸の師子座に 
仏其の上に坐したまいて 光明厳飾せること 
夜の闇の中に 大いなる炬火(こか)を然せるが如し 
身より妙香を出して 十方の国に徧じたもう 
衆生薫(におい)を蒙って 喜び自ら勝えず 
譬えば大風の 小樹の枝を吹くが如し
是の方便を以って 法をして久しく住せしむ
諸の大衆に告ぐ 我が滅度の後に 
誰か能く 斯の経を護持し読誦せん 
今仏前に於いて 自ら誓言を説け
其れ多宝仏 久しく滅度したもうと雖も 
大誓願を以って 師子吼したもう
多宝如来 及与我が身 
集むる所の化仏 当に此の意を知るべし 
諸の仏子等 誰か能く法を護らん 
当に大願を発して 久しく住することを得せしむべし
其れ能く 此の経法を護ること有らん者は 
則ち為れ 我及び多宝を供養するなり 
此の多宝仏 宝塔に処して 
常に十方に遊びたもう 是の経の為の故なり
亦復 諸の来りたまえる化仏の 
諸の世界を 荘厳し光飾したもう者を供養するなり 
若し此の経を説かば 則ち為れ我 
多宝如来 及び諸の化仏を見たてまつるなり
諸の善男子 各諦(おのおの・あきら)かに思惟せよ 
此れは為れ難事なり 宣しく大願を発すべし
諸余の経典 数恒沙の如し 
此等を説くと雖も 未だ難しと為すに足らず 
若し須弥を接って 他方の 
無数の仏土に擲(な)げ置かんも 亦未だ難しと為ず 
若し足の指を以って 大千界を動かし 
遠く他国に擲げんも 亦未だ難しと為ず
若し有頂に立って 衆の為に 
無量の余経を演説せんも 亦未だ難しと為ず
若し仏の滅後に 悪世の中に於いて 
能く此の経を説かん 是れ則ち難しとす
仮使(たとい)人有って 手に虚空を把って 
以って遊行すとも 亦未だ難しと為ず
我が滅後に於いて 若しは自らも書き持ち 
若しは人をしても書かしめん 是れ則ち難しとす
若し大地を以って 足の甲の上に置いて 
梵天に昇らんも 亦未だ難しと為ず
仏の滅度の後に 悪世の中に於いて 
暫くも此の経を読まん 是れ則ち難しとす
仮使劫焼(たとい・こうしゅ)に 乾ける草を担い負って 
中に入って焼けざらんも 亦未だ難しと為ず 
我が滅度の後に 若し此の経を持ちて 
一人の為にも説かん 是れ則ち難しとす
若し八万 四千の法蔵 
十二部経を持ちて 人の為に演説して 
諸の聴かん者をして 六神通を得せしめん 
能く是の如くすと雖も 亦未だ難しと為ず 
我が滅後に於いて 此の経を聴受して 
其の義趣を問わん 是れ則ち難しとす
若し人法を説いて 千万億 
無量無数 恒沙の衆生をして 
阿羅漢を得 六神通を具せしめん 
是の益有りと雖も 亦未だ難しと為ず 
我が滅後に於いて 若し能く 
斯(かく)の如き経典を奉持せん 是れ則ち難しとす
我仏道を為て 無量の土に於いて 
始より今に至るまで 広く諸経を説く 
而も其の中に於いて 此の経第一なり 
若し能く持つこと有らば 則ち仏身を持つなり
諸の善男子 我が滅後に於いて 
誰か能く 此の経を受持し読誦せん 
今仏前に於いて 自ら誓言を説け 
此の経は持ち難し 若し暫くも持つ者は 
我即ち歓喜す 諸仏も亦然なり 
是の如き人は 諸仏の歎めたもう所なり
是れ則ち勇猛なり 是れ則ち精進なり 
是れを戒を持ち 頭陀(ずだ)を行ずる者と名づく 
則ち為(こ)れ疾(と)く 無上の仏道を得たり 
能く来世に於いて 此の経を読み持たんは 
是れ真の仏子 淳善の地に住するなり 
仏の滅度の後に 能く其の義を解せんは 
是れ諸の天人 世間の眼なり 
恐畏(くい)の世に於いて 能く須臾(しゅゆ)も説かんは 
一切の天人 皆応に供養すべし




by johsei1129 | 2021-11-01 20:47 | 法華経28品 並開結 | Trackback | Comments(0)


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