人気ブログランキング | 話題のタグを見る

日蓮大聖人『御書』解説

nichirengs.exblog.jp
ブログトップ
2021年 10月 31日

妙法蓮華経 化城喩品第七 (4)  訓読

   漢訳

譬えば、五百由旬の険難悪道の曠(はる)かに絶えて、人無き怖畏の処あらん。若し多くの衆有って、此の道を過ぎて、珍宝の処に至らんと欲せんに、一りの導師有り。聡慧明達にして、善く険道の通塞(つうそく)の相を知れり。衆人を将導して、此の難を過ぎんと欲す。所将の人衆、中路に懈退(けたい)して、導師に白(もう)して言(もう)さく、
我等疲極して復怖畏(ふい)す。復進むこと能わじ。前路猶遠し、今退き還らんと欲すと。
導師諸の方便多くして、是の念を作さく、
此等愍(あわれ)むべし。云何ぞ大珍宝を捨てて、退き還らんと欲する。
是の念を作し已って、方便力を以って、険道の中に於いて三百由旬を過ぎ、一城を化作(けさ)し、衆人に告げて言わく、
汝等怖るること勿れ。退き還ること得ること莫れ。今此の大城、中に於いて止(とどま)って、意(こころ)の所作に随うべし。若し是の城に入りなば、快く安穏なることを得ん。若し能く前(すす)んで宝所に到らば、亦去ることを得べし。
是の時に疲極の衆、心大いに歓喜して、未曾有なりと歎ず。
我等今者(いま)、斯の悪道を免れて、快く安穏なることを得つ。是に於いて衆人、前んで化城に入って、已度の想を生じ、安穏の想を生ず。
爾の時に導師、此の人衆の、既に止息することを得て、復疲惓(また・ひげん)無きを知って、即ち化城を滅して、衆人に語って、
汝等、去来(いざや)宝処は近きに在り。向(さき)の大城は我が化作する所なり。止息せんが為のみと言わんが如し。
諸の比丘、如来も亦復是の如し。今汝等が為に、大導師と作って、諸の生死、煩悩の悪道、険難長遠にして、応に去るべく、応に度すべきを知れり。若し衆生、但一仏乗を聞かば、則ち仏を見んと欲せず、親近せんと欲せじ。便ち是の念を作さく、
仏道は長遠なり。久しく勤苦(ごんく)を受けて、乃し成ずることを得べしと。
仏是の心の、怯弱(こうにゃく)下劣なるを知しめして、方便力を以って、中道に於いて止息せんが為の故に、二涅槃を説く。若し衆生、二地に住すれば、如来爾の時に、即便(すなわ)ち為に説く。
汝等は所作未だ弁ぜず。汝が所住の地は仏慧に近し。当に観察し籌量すべし。所得の涅槃は、真実に非ず。但是れ如来、方便の力をもって、一仏乗に於いて、分別して三と説く。
彼の導師の、止息せんが為の故に、大城を化作し、既に息み已んぬと知って、之に告げて、
宝処は近きに在り、此の城は実に非ず。我が化作ならくのみと言わんが如し。
爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、

大通智勝仏 十劫道場に坐したまえども 
仏法現前せず 仏道を成ずることを得たまわず
諸天神龍王 阿修羅衆等 
常に天華を雨して、以って彼の仏に供養す 
諸天天鼓を撃ち 並びに衆の伎楽を作す 
香風萎(しぼ)める華を吹いて 更に新しく好き者を雨(ふら)す
十小劫を過ぎ已って 乃ち仏道を成ずることを得たまえり 
諸天及び世人 心に皆踊躍を懐く
彼の仏の十六の子 皆其の眷属 
千万億の囲繞せると 倶に仏所に行き至って 
頭面に仏足を礼して 転法輪を請ず 
聖師子法雨をもって 我及び一切に充てたまえ
世尊は甚だ値いたてまつり難し 久遠に時に一たび現じ 
群生を覚悟せんが為に 一切を震動したもう
東方の諸の世界 五百万億国の 
梵の宮殿光曜して 昔より未だ曾て有らざる所なり
諸梵此の相を見て 尋ねて仏所に来至し 
華を散じて以って供養し 並びに宮殿を奉上し 
仏に転法輪を請じ 偈を以って讃歎す 
仏時未だ至らずと知しめして 請を受けて黙然として坐したまえり
三方及び四維(しゆい) 上下亦復爾なり 
華を散じ宮殿を奉り 仏に転法輪を請ず 
世尊は甚だ値いたてまつり難し 願わくは大慈悲を以って 
広く甘露の門を開き 無上の法輪を転じたまえ
無量慧の世尊 彼の衆人の請を受けて
為に種種の法 四諦十二縁を宣べたもう 
無明より老死に至るまで 皆生縁に従って有り 
是の如きの衆の過患(かげん) 汝等応当に知るべし
是の法を宣暢(せんよう)したもう時 六百万億姟(おくがい) 
諸苦の際を尽くすことを得て 皆阿羅漢と成る
第二の説法の時 千万恒沙の衆 
諸法に於いて受けずして 亦阿羅漢を得
是れより後の得道 其の数量り有ること無し 
万億劫に算数すとも 其の辺を得ること能わじ
時に十六王子 出家し沙弥と作って
皆共に彼の仏に 大乗の法を演説したまえと請ず 
我等及び営従 皆当に仏道を成ずべし 
願わくは世尊の如く 慧眼第一浄なることを得ん
仏童子の心 宿世の所行を知しめして 
無量の因縁 種種の諸の譬喩を以って 
六波羅蜜 及び諸の神通の事を説き
真実の法 菩薩所行の道を分別して 
是の法華経の 恒河沙の如き偈を説きたまいき
彼の仏経を説き已って 静室にして禅定に入り 
一心にして一処に坐したもうこと 八万四千劫
是の諸の沙弥等 仏の禅より未だ出でたまわざるを知って
無量億の衆の為に 仏の無上慧を説く 
各各に法座に坐して 是の大乗経を説き 
仏宴寂の後に於いて 宣揚して法化を助く
一一の沙弥等の 度する所の諸の衆生 
六百万億 恒河沙等の衆有り
彼の仏の滅度の後 是の諸の聞法の者 
在在諸仏の土に 常に師と倶に生ぜん
是の十六の沙弥 具足して仏道を行じて 
今現に十方に在って 各正覚を成ずることを得たまえり 
爾の時の聞法の者 各諸仏の所に在り 
其の声聞に住すること有るは 漸く教うるに仏道を以てす
我十六の数に在って 曾て亦汝が為に説きき 
是の故に方便を以って 汝を引いて仏慧に趣かしむ
是の本因縁を以って 今法華経を説いて 
汝をして仏道に入らしむ 慎んで驚懼(きょうく)を懐くこと勿れ
譬えば険悪道の 迥(はる)かに絶えて毒獣多く 
又復水草無く 人の怖畏するの処あらん 
無数千万の衆 此の険道を過ぎんと欲す 
其の路甚だ曠遠(こうおん)にして 五百由旬を経
時に一りの導師有り 強識にして智慧有り 
明了にして心決定(けつじょう)せり 険(あやう)きに在って衆難を済(すく)う
衆人皆疲惓して 導師に白して言さく 
我等今頓乏せり 此より退き還らんと欲す
導師是の念を作さく 此の輩甚だ愍むべし 
如何ぞ退き還って 大珍宝を失わんと欲する 
尋いで時に方便を思わく 当に神通力を設くべしと 
大城郭を化作して 諸の舎宅を荘厳す 
周帀(しゅそう)して園林 渠流(こる)及び浴池 
重門高楼閣有って 男女皆充満せり
即ち是の化を作し已って 衆を慰めて言く懼(おそ)るること勿れ 
汝等此の城に入りなば 各所楽に随うべし
諸人既に城に入りて 心皆大いに歓喜し 
皆安穏の想を生じて 自ら已に度することを得たりと謂えり
導師息み已んぬと知って 衆を集めて告げて 
汝等当に前進むべし 此れは是れ化城(けじょう)ならくのみ 
我汝が疲極して 中路に退き還らんと欲するを見る 
故に方便力を以って 権(かり)に此の城を化作せり 
汝今勤め精進して 当に共に宝所に至るべしと言わんが如く
我も亦復是の如し 為れ一切の導師なり
諸の道を求むる者の 中路にして懈廃(けはい)し 
生死 煩悩の諸の険道を度すること能わざるを見る
故に方便力を以って 息(やす)めんが為に涅槃を説いて 
汝等は苦滅し 所作皆已に弁ぜりと言う
既に涅槃に到り 皆阿羅漢を得たりと知って 
爾して乃し大衆を集めて 為に真実の法を説く 
諸仏は方便力をもって 分別して三乗を説きたもう 
唯一仏乗のみあり 息処の故に二を説く
今汝が為に実を説く 汝が所得は滅に非ず 
仏の一切智の為に 当に大精進を発すべし 
汝一切智 十力等の仏法を証し 
三十二相を具しなば 乃ち是れ真実の滅ならん
諸仏の導師は 息(やす)めんが為に涅槃を説きたもう 
既に是れ息み已んぬと知れば 仏慧に引入したもう





by johsei1129 | 2021-10-31 16:02 | 法華経28品 並開結 | Trackback | Comments(0)


<< 妙法蓮華経 化城喩品第七 (1...      妙法蓮華経 化城喩品第七 (3... >>