2021年 10月 31日
大通智勝仏、阿耨多羅三藐三菩提を得たまいし時、十方各五百万億の諸仏世界、六種に震動し、其の国の中間幽冥の処日月の威光も照らすこと能わざる所、而も皆大いに明かなり。其の中の衆生、各相見ることを得て、咸く是の言を作さく、 此の中に云何ぞ、忽ちに衆生を生ぜる。 又其の国界の諸天の、宮殿、乃至梵宮まで六種に震動し、大光普く照らして世界に徧満し、諸天の光に勝れり。爾の時に、東方五百万億の、諸の国土の中の梵天の宮殿、光明照曜して、常の明に倍れり。諸の梵天王、各是の念を作さく、 今者(いま)宮殿の光明、昔より未だ有らざる所なり。何の因縁を以って、此の相を現ずる。 是の時に諸の梵天王、即ち各相詣(ゆ)いて、共に此の事を議す。而も彼の衆の中に、一りの大梵天王有り。救一切と名づく。諸の梵衆の為に、偈を説いて言わく、 我等が諸の宮殿 光明昔より未だ有らず 此は是れ何の因縁ぞ 宜しく各共に之を求むべし 大徳の天の生ぜるとや為(せ)ん 仏の世間に出でたまえるとや為ん 而も此の大光明 徧く十方を照らす 爾の時に五百万億の、国土の諸の梵天王、宮殿と倶に、各、衣裓(えこく)を以って、諸の天華を盛って、共に西方に詣いて是の相を推尋するに、大通智勝如来の、道場菩提樹下に処し、師子座に坐して、諸天、龍王、乾闥婆(けんだつば)、緊那羅(きんなら)、摩睺羅迦(まごらか)、人非人等の、恭敬し囲繞せるを見、及び十六王子の、仏に転法輪を請ずるを見る。即時に諸の梵天王、頭面に仏を礼し、繞(めぐ)ること百千帀(ひゃくせんそう)して、即ち天華を以って、仏の上に散ず。其の所散の華、須弥山の如し。並びに以って、仏の菩提樹に供養す。其の菩提樹、高さ十由旬なり。華の供養已って、各宮殿を以って、彼の仏に奉上して、是の言を作さく、 唯、我等を哀愍し饒益(にょうやく)せられ、所献の宮殿、願わくは納処を垂れたまえ。 時に諸の梵天王、即ち仏前に於いて、一心に声を同じうして、偈を以って頌して曰さく、 世尊は甚だ希有にして 値遇すること得べきこと難し 無量の功徳を具して 能く一切を救護し 天人の大師として 世間を哀愍したもう 十方の諸の衆生 普く皆饒益を蒙る 我等が従り来る所は 五百万億の国なり 深禅定の楽を捨てたることは 仏を供養せんが為の故なり 我等先世の福あって 宮殿甚だ厳飾(ごんじき)せり 今以って世尊に奉る 唯願わくは哀んで納受したまえ 爾の時に諸の梵天王、偈をもって仏を讃め已って、各是の言を作さく、 唯願わくは世尊、法輪を転じて衆生を度脱し、涅槃の道を開きたまえ。 時に諸の梵天王、一心に声を同じうして、偈を説いて言さく、 世雄両足尊 唯願わくは法を演説し 大慈悲の力を以って 苦悩の衆生を度したまえ 爾の時に大通智勝如来、黙然として之を許したもう。 又諸の比丘、東南方五百万億の国土の、諸の大梵王、各自ら、宮殿の光明照曜(しょうよう)して、昔より未だ有らざる所なるを見て、歓喜踊躍し、希有の心生じて、即ち各相詣いて、共に此の事を議す。時に彼の衆の中に、一りの大梵天王有り、名づけて大悲と曰う。諸の梵衆の為に、偈を説いて言わく、 是の事何の因縁あって 此の如き相を現ずる 我等が諸の宮殿の 光明昔より未だ有らず 大徳の天の生ぜるとや為ん 仏の世間に出でたまえるとや為ん 未だ曾って此の相を見ず 当に共に一心に求むべし 千万億の土を過ぐとも 光を尋ねて共に之を推せん 多くは是れ仏の世に出でて 苦の衆生を度脱したもうならん 爾の時に、五百万億の諸の梵天王、宮殿と倶に、各衣裓(えこく)を以って、諸の天華を盛って、共に西北方に詣いて、是の相を推尋するに、大通智勝如来の、道場菩提樹下に処し、師子座に坐して、諸天、龍王、乾闥婆、緊那羅、摩睺羅迦、人非人等の、恭敬、囲繞せるを見、及び十六王子の、仏に転法輪を請ずるを見る。 時に諸の梵天王、頭面に仏を礼し、繞ること百千帀して、即ち天華を以って、仏の上に散ず。所散の華、須弥山の如し。並びに以って、仏の菩提樹に供養す。華の供養已って、各官殿を以って、彼の仏に奉上して是の言を作さく、 唯、我等を哀愍し饒益せられて、所献の宮殿、願わくは納処を垂れたまえ。 爾の時に諸の梵天王、即ち仏前に於いて、一心に声を同じうして、偈を以って頌して曰さく、 聖主天中天 迦陵頻伽の声をもって 衆生を哀愍したもう者 我等今敬礼す 世尊は甚だ希有にして 久遠に乃し一たび現じたもう 一百八十劫 空しく過ぎて仏有すこと無し 三悪道充満し 諸天衆滅少せり 今仏世に出でて 衆生の為に眼と作り 世間の帰趣する所として 一切を救護し 衆生の父と為って 哀愍し饒益したもう者なり 我等宿福の慶あって 今世尊に値いたてまつることを得たり 爾の時に諸の梵天王、偈をもって仏を讃め已って、各是の言を作さく、 唯願わくは世尊、一切を哀愍して、法輪を転じ、衆生を度脱したまえ。 時に諸の梵天王、一心に声を同じうして、偈を説いて言さく、 大聖法輪を転じて 諸法の相を顕示し 苦悩の衆生を度して 大歓喜を得せしめたまえ 衆生此の法を聞かば 道を得若しは天に生じ 諸の悪道滅少し 忍善の者増益(ぞうやく)せん 爾の時に大通智勝如来、黙然として之を許したもう。 又、諸の比丘、南方五百万億の国土、諸の大梵王、各自ら、宮殿の光明照曜(しょうよう)して、昔より未だ有らざる所なるを見て、歓喜踊躍し、希有の心生じて、即ち各相詣いて、共に此の事を議す。 何の因縁を以って、我等が宮殿、此の光曜(こうよう)有る。 而も彼の衆の中に、一りの大梵天王有り、名を妙法と曰う。諸の梵衆の為に、偈を説いて言わく、 我等が諸の宮殿 光明甚だ威曜せり 此れ因縁無きに非じ 是の相宜しく之を求むべし 百千劫を過ぐれども 未だ曾て是の相を見ず 大徳の天の生ぜるとや為ん 仏の世間に出でたまえるとや為ん 爾の時に五百万億の諸の梵天王、宮殿と倶に、各衣裓を以って、諸の天華を盛って、共に北方に詣いて、是の相を推尋するに、大通智勝如来の、道場菩提樹下に処し、師子の座に坐して、諸天、龍王、乾闥婆、緊那羅、摩睺羅迦、人非人等の、恭敬囲繞せるを見、及び十六王子の、仏に転法輪を請ずるを見る。時に諸の梵天王、頭面に仏を礼し、繞ること百千帀(ひゃくせんそう)して、即ち天華を以って、仏の上に散ず。所散の華、須弥山の如し。並びに以って、仏の菩提樹に供養す。華の供養已って、各宮殿を以って、彼の仏に奉上して、是の言を作さく、 唯、我等を哀愍し饒益せられて、所献の宮殿、願わくは納処を垂れさせたまえ。 爾の時に諸の梵天王、即ち仏前に於いて、一心に声を同じうして、偈を以って頌して曰さく、 世尊は甚だ見たてまつり難し、諸の煩悩を破したまえる者なり 百三十劫を過ぎて 今乃ち一たび見たてまつることを得 諸の飢渇の衆生に法雨を以って 充満したもう 昔より未だ曾て覩ざる所の 無量の智慧者なり 優曇波羅の如くにして 今日乃ち値遇したてまつる 我等が諸の宮殿 光を蒙るが故に厳飾せり 世尊大慈悲をもって 唯願わくは納受を垂れたまえ 爾の時に諸の梵天王、偈をもって仏を讃め已って、各是の言を作さく、 唯願わくは世尊、法輪を転じて一切世間の諸天、魔、梵、沙門、婆羅門をして、皆安穏なることを獲(え)、而も度脱することを得せしめたまえと。 時に諸の梵天王、一心に声を同じうして、偈を以って頌して曰さく、 唯願わくは天人尊 無上の法輪を転じ 大法の鼓を撃ち 大法の螺を吹き 普く大法の雨を雨して 無量の衆生を度したまえ 我等咸く帰請(きしょう)したてまつる 当に深遠の音を演べたもうべし 爾の時に、大通智勝如来、黙然として、之を許したもう。 西南方、乃至、下方も亦復是の如し。 爾の時に上方、五百万億の国土の、諸の大梵王、皆悉く、自ら所止の宮殿の、光明威曜して、昔より未だ有らざる所なるを覩(み)て、歓喜踊躍し、希有の心を生じて、即ち各相詣いて、共に此の事を議す。 何の因縁を以って、我等が宮殿、斯の光明有る。 而も彼の衆の中に、一りの大梵天王有り、名を尸棄(しき)と曰う。諸の梵衆の為に、偈を説いて言わく、 今何の因縁を以って 我等が諸の宮殿 威徳光明曜き 厳飾せること未曾有(みぞうう)なる 是の如きの妙相は 昔より未だ聞き見せざる所なり 大徳の天の生ぜるとや為ん 仏の世間に出でたまえるとや為ん 爾の時に五百万億の諸の梵天王、宮殿と倶に、各衣裓を以って、諸の天華を盛って、共に下方に詣いて是の相を推尋するに、大通智勝如来の道場、菩提樹下に処し、師子の座に坐して、諸天、龍王、乾闥婆、緊那羅、摩睺羅迦、人非人等の、恭敬囲繞せるを見、及び十六王子の、仏の転法輪を請ずるを見る。 時に諸の梵天王、頭面に仏を礼し、繞ること百千帀して、即ち天華を以って、仏の上に散ず。所散の華、須弥山の如し。並びに以って、仏の菩提樹に供養す。華の供養已って、各宮殿を以って、彼の仏に奉上して、是の言を作さく、 唯我等を哀愍し饒益せられて、所献の宮殿、願わくは納処を垂れたまえ。 時に諸の梵天王、即ち仏前に於いて、一心に声を同じうして、偈を以って頌して曰さく、 善い哉諸仏 救世の聖尊を見たてまつるに 能く三界の獄より 諸の衆生を勉出(めんすい)したもう 普智天人尊 群萌類(ぐんみょうるい)を愍哀し 能く甘露の門を開いて 広く一切を度したもう 昔の無量劫に於いて 空しく過ぎて仏有すこと無し 世尊未だ出でたまわざりし時は 十方常に闇瞑にして 三悪道増長し 阿修羅亦盛んなり 諸天衆転減じ 死して多く悪道に堕つ 仏に従いて法を聞かずして 常に不善の事を行じ 色力及び智慧 斯等皆減少す 罪業の因縁の故に 楽及び楽の想を失い 邪見の法に住して 善の儀則を識らず 仏の所化を蒙らずして 常に悪道に堕つ 仏は世間の眼と為って 久遠に時に乃(いま)し出でたまえり 諸の衆生を哀愍したもうが故に 世間に現じ 超出して正覚を成じたまえり 我等甚だ欣慶(ごんきょう)す 及び余の一切の衆も 喜びて未曾有なりと歎ず 我等が諸の宮殿 光を蒙るが故に厳飾せり 今以って世尊に奉る 唯哀みを垂れて納受したまえ 願わくは此の功徳を以って 普(あまね)く一切に及ぼし 我等と衆生と 皆共に仏道を成ぜん 爾の時に、五百万億の諸の梵天王、偈をもって仏を讃め已って、各仏に白して言さく、 唯願わくは世尊、法輪を転じたまえ。安穏ならしむる所多く、度脱したもう所多からん。 時に諸の梵天王、而も偈を説いて言さく、 世尊法輪を転じ 甘露の法鼓(ほっく)を撃って 苦悩の衆生を度し 涅槃の道を開示したまえ 唯願わくは我が請を受けて 大微妙の音を以って 哀愍して 無量劫に習える法を敷演(ふえん)したまえ 爾の時に大通智勝如来、十方の諸の梵天王、及び十六王子の請を受けて、即時に三たび、十二行の法輪を転じたもう。若しは沙門、婆羅門、若しは天、魔、梵、及び余の世間の転ずること能わざる所なり。謂わく、 是れ苦、是れ苦の集、是れ苦の滅、是れ苦滅の道なり。及び広く十二因縁の法を説きたもう。 無明は行に縁たり。行は識に縁たり。識は名色に縁たり。名色は六入に縁たり。六入は触に縁たり。触は受に縁たり。受は愛に縁たり。愛は取に縁たり。取は有に縁たり。有は生に縁たり。生は老死、憂悲、苦悩に縁たり。 無明滅すれば、則ち行滅す。行滅すれば、則ち識滅す。識滅すれば、則ち名色滅す。名色滅すれは則ち六入滅す。六入滅すれば、則ち触滅す。触滅すれば、則ち受滅す。受滅すれば、則ち愛滅す。愛滅すれば、則ち取滅す。取滅すれば、則ち有滅す。有滅すれば、則ち生滅す。生滅すれば、則ち老死、憂悲、苦悩滅す。仏、天人大衆の中に於いて、是の法を説きたまいし時、六百万億那由佗の人、一切の法を受けざるを以っての故に、而も諸漏に於いて、心解脱を得、皆深妙の禅定、三明、六通を得、八解脱を具しぬ。第二、第三、第四の説法の時も、千万億恒河沙那由佗等の衆生、亦一切の法を受けざるを以っての故に、而も諸漏に於いて心解脱を得。是れより已後諸の声聞衆、無量無辺にして、称数すべからず。
by johsei1129
| 2021-10-31 16:00
| 法華経28品 並開結
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