人気ブログランキング | 話題のタグを見る

日蓮大聖人『御書』解説

nichirengs.exblog.jp
ブログトップ
2021年 10月 28日

妙法蓮華経 譬喩品第三 (1)  訓読

妙法蓮華経 譬喩品第三   漢訳

爾の時に舎利弗、踊躍歓喜(ゆやっかんぎ)して、即ち起ちて合掌し、尊顔を瞻仰(せんごう)して仏に白(もう)して言(もう)さく、
今世尊に従いたてまつりて、此の法音を聞いて心に踊躍(ゆやく)を懐き、未曾有なるを得たり。所以は何ん。我昔、仏に従いたてまつりて是の如き法を聞き、諸の菩薩の受記作仏を見しかども、而も我等は斯の事に預らず。甚だ自ら、如来無量の知見を失えることを感傷しき。世尊、我常に独(ひとり)山林樹下に処して、若しは坐し若しは行じて、毎に是の念を作しき。我等も同じく法性に入れり。云何ぞ如来、小乗の法を以って済度せらるると。是れ我等が咎(とが)なり。世尊には非ず。所以は何ん。若し我等、所因の阿耨多羅三藐三菩提(あのくたらさんみゃくさんぼだい)を成就することを説きたもうを待たば、必ず大乗を以って度脱せらるることを得ん。然るに我等、方便随宜の所説を解せずして初め仏法を聞いて、遇(たまたま)便ち信受し、思惟して証を取れり。世尊、我昔より来(このかた)、終日竟夜(ひねもす・よもすがら)、毎に自ら剋責(こくしゃく)しき。而るに今、仏に従いたてまつりて、未だ聞かざる所の未曾有の法を聞いて、諸の疑悔を断じ、身意泰然として、快く安隠なることを得たり。今日乃ち知んぬ。真に是れ仏子なり。仏の口より生じ、法化より生じて、仏法の分を得たり。
爾の時に舎利弗、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言さく、

我是の法音を聞いて 未曾有なる所を得て 
心に大歓喜を懐き 疑網皆已に除こりぬ 
昔より来仏教を蒙って 大乗を失わず
仏の音は甚だ希有にして 能く衆生の悩みを除きたもう 
我已に漏尽を得れども 聞きて亦憂悩(うのう)を除く
我山谷に処し 或は林樹の下に在って 
若しは坐し若しは経行して 常に是の事を思惟し 
鳴呼(うこ)して深く自ら責めき 云何ぞ而も自ら欺ける 
我等も亦仏子にして 同じく無漏の法に入れども 
未来に無上道を演説すること能わず
金色三十二 十力諸の解脱 
同じく共に一法の中にして 此の事を得ず 
八十種の妙好 十八不共の法 
是の如き等の功徳 而も我皆已に失えり
我独り経行せし時 仏大衆に在まして 
名聞十方に満ち 広く衆生を饒益(にょうやく)したもうを見て 
自ら惟(おも)わく此の利を失えり 我為れ自ら欺誑(ごおう)せりと
我常に日夜に於いて 毎に是の事を思惟して 
以って世尊に問いたてまつらんと欲す 為めて失えりや為(さだ)めて失わずや
我常に世尊を見たてまつるに 諸の菩薩を称讃したもう 
是を以って日夜に 是の如き事を籌量(ちゅうりょう)しき
今仏の音声を聞きたてまつるに 宜しきに随って法を説きたまえり 
無漏は思議し難し 衆をして道場に至らしむ
我本邪見に著して 諸の梵志の師と為りき 
世尊我が心を知しめして 邪を抜き涅槃を説きたまいしかば 
我悉く邪見を除いて 空法に於いて証を得たり 
爾の時に心自ら謂いき 滅度に至ることを得たりと
而るに今乃ち自ら覚りぬ 是れ実の滅度に非ず 
若し作仏することを得ん時は 三十二相を具し 
天人夜叉衆 龍神等恭敬せん 
是の時乃ち謂うべし 永く尽滅して余無しと
仏大衆の中に於いて 我当に作仏すべしと説きたもう 
是の如き法音を聞きたてまつりて 疑悔悉く已に除こりぬ
初め仏の所説を聞いて 心中大いに驚疑しき 
将に魔の仏と作って 我が心を脳乱するに非ずや
仏種種の縁 譬喩を以って巧みに言説したもう 
其の心安きこと海の如し 我聞きて疑網断じぬ
仏説きたまわく過去世の 無量の滅度の仏も 
方便の中に安住して 亦皆是の法を説きたまえり 
現在未来の仏 其の数量有ること無きも 
亦諸の方便を以って 是の如き法を演説したもう
今者(いま)の世尊の如きも 生じたまいしより及び出家し 
得道し法輪を転じたもうまで 亦方便を以って説きたもう 
世尊は実道を説きたもう 波旬は此の事無し 
是を以って我定めて知りぬ 是れ魔の仏と作るには非ず
我疑網に堕するが故に 是れ魔の所為と謂えり
仏の柔輭(にゅうなん)の音 深遠に甚だ微妙にして 
清浄の法を演暢(えんちょう)したもうを聞きて 我が心大いに歓喜し 
疑悔永く已に尽き 実智の中に安住す
我定めて当に作仏して 天人に敬わるることを為 
無上の法輪を転じて 諸の菩薩を教化すべし

爾の時に仏、舎利弗に告げたまわく、
吾れ今、天、人、沙門、婆羅門等の大衆の中に於いて説く。我昔曾て二万億の仏の所に於いて、無上道の為の故に、常に汝を教化す。汝亦、長夜に我に随って受学しき。我方便を以って、汝を引導せしが故に、我が法の中に生ぜり。
舎利弗、我昔、汝をして仏道を志願せしめき。汝今悉く忘れて、便ち自ら已に滅度を得たりと謂(おも)えり。
我今還って、汝をして、本願所行の道を憶念せしめんと欲するが故に、諸の声聞の為に、是の大乗経の妙法蓮華、教菩薩法、仏所護念と名づくるを説く。
舎利弗、汝未来世に於いて、無量無辺不可思議劫を過ぎて、若干千万億の仏を供養し、正法を奉持し、菩薩所行の道を具足して、当に作仏することを得べし。号を華光如来、応供、正徧知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊と曰い、国を離垢と名づけん。其の土平正にして清浄厳飾に安穏豊楽にして、天人熾盛(しじょう)ならん。瑠璃(るり)を地と為して八つの交道有り、黄金を繩と為して、以って其の側を界い、其の傍に各七宝の行樹有って、常に華果有らん。華光如来、亦三乗を以って衆生を教化せん。舎利弗、彼の仏出でたまわん時は、悪世に非ずと雖も本願を以っての故に、三乗の法を説かん。其の劫を大宝荘厳と名づけん。何が故に、名づけて大宝荘厳と曰う。其の国の中には、菩薩を以って大宝と為す故なり。彼の諸の菩薩、無量無辺不可思議にして、算数譬喩(さんじゅひゆ)も及ぶこと能わざる所ならん。仏の智力に非ずんば、能く知る者無けん。若し行かんと欲する時は、宝華足を承く。此の諸の菩薩は、初めて意を発せるに非ず。皆久しく徳本を植えて、無量百千万億の仏の所に於いて、浄く梵行を修し、恒に諸仏に称歎せらるることを為、常に仏慧を修し、大神通を具し、善く一切諸法の門を知り、質直無偽にして、志念堅固ならん。是の如き菩薩、其の国に充満せん。舎利弗、華光仏は寿十二小劫ならん。王子と為て、未だ作仏せざる時を除く。其の国の人民は、寿八小劫ならん。華光如来十二小劫を過ぎて、堅満菩薩に阿耨多羅三藐三菩提の記を授け、諸の比丘に告げん。
是の堅満菩薩、次に当に作仏すべし、号を華足安行、多陀阿伽度(ただあかど)、阿羅訶(あらか)、三藐(さんみゃく)三仏陀と曰わん。其の仏の国土も亦復是の如くならんと。
舎利弗、是の華光仏の滅度の後、正法世に住すること三十二小劫、像法世に住すること亦三十二小劫ならん。
爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、

舎利弗来世に 仏普智尊と成って 
号を名づけて華光と曰わん 当に無量の衆を度すべし
無数の仏を供養し 菩薩の行 
十力等の功徳を具足して 無上道を証せん
無量劫を過ぎ已って 劫をば大宝厳と名づけ
世界を離垢と名づけん 清浄にして瑕穢(けえ)無く 
瑠璃を以って地と為し 金繩其の道を界い 
七宝雑色の樹に 常に華果実有らん
彼の国の諸の菩薩は 志念常に堅固にして 
神通波羅蜜 皆已に悉く具足し 
無数の仏の所に於いて 善く菩薩の道を学せん
是の如き等の大士 華光仏の所化ならん
仏王子為らん時 国を棄て世の栄を捨てて 
最末後の身に於いて 出家して仏道を成ぜん
華光仏世に住する 寿十二小劫 
其の国の人民衆は 寿命八小劫ならん
仏の滅度の後 正法世に住すること 
三十二小劫 広く諸の衆生を度せん 
正法滅尽し已って 像法三十二ならん
舎利広く流布して 天人普く供養せん
華光仏の所為 其の事皆是の如し 
其の両足聖尊 最勝して倫匹(りんぴつ)無けん 
彼即ち是れ汝が身なり 宜しく応に自ら欣慶(ごんきょう)すべし

爾の時に四部の衆、比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、天、龍、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩睺羅迦等の大衆、舎利弗の仏前に於いて、阿耨多羅三藐三菩提の記を受くるを見て、心大いに歓喜し、踊躍すること無量なり。各各に、身に著けたる所の上衣を脱ぎて、以って仏に供養す。釈提桓因(しゃくだいかんにん)、梵天王等、無数の天子と、亦天の妙衣、天の曼陀羅華、摩訶曼陀羅華等を以って仏に供養す。所散の天衣、虚空の中に住して自ら回転す。諸天の伎楽百千万種、虚空の中に於いて一時に倶に作し、衆の天華を雨らし是の言を作さく、
仏昔、波羅奈(はらない)に於いて、初めて法輪を転じ、今乃ち復、無上最大の法輪を転じたもう。
爾の時に諸の天子、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言さく、

昔波羅奈(はらない)に於いて 四諦の法輪を転じ 
分別して諸法 五衆の生滅を説き 
今復最妙 無上の大法輪を転じたもう 
是の法は甚だ深奥にして 能く信ずる者有ること少し
我等昔より来(このか)た 数(しばしば)世尊の説を聞きたてまつるに 
未だ曾て是の如き 深妙の上法を聞かず 
世尊是の法を説きたもうに 我等皆随喜す
大智舎利弗 今尊記を受くることを得たり 
我等亦是の如く 必ず当に作仏して 
一切世間に於いて 最尊にして上有ること無きことを得べし
仏道は思議し叵(がた)し 方便して宜しきに随って説きたもう 
我が所有の福業 今世若しは過世 
及び見仏の功徳 悉く仏道に回向す





by johsei1129 | 2021-10-28 19:53 | 法華経28品 並開結 | Trackback | Comments(0)


<< 妙法蓮華経 譬喩品第三 (2)...      妙法蓮華経 序品第一(2)  漢訳 >>