2021年 10月 28日
妙法蓮華経 序品第一 漢訳版 姚秦の三蔵法師鳩摩羅什詔を奉して訳す。 是の如きを我聞きき。一時、仏、王舎城耆闍崛山(ぎしゃくっせん)の中に住したまい、 大比丘衆、万二千人と倶なりき。皆是れ阿羅漢なり。諸漏已に尽くして復煩悩無く、已利を逮得し、諸の有結を尽くして、心自在を得たり。其の名を阿若憍陳如(あにゃきょうじんにょ)、摩訶迦葉(まかかしょう)、優楼頻螺迦葉(うるびんらかしょう)、伽耶(がや)迦葉、那提(なだい)迦葉、舎利弗、大目犍連(だいもっけんれん)、摩訶迦旃延(まかかせんねん)、阿ヌ楼駄(あぬるだ)、劫賓那(こうひんな)、憍梵波提(きょうぼんはだい)、離婆多(りはた)、畢陵伽婆蹉(ひつりょうがばしゃ)、薄拘羅(はくら)、摩訶拘絺羅(まかくらら)、難陀、孫陀羅難陀、富楼那弥多羅尼子(ふるなみたらにし)、須菩提(しゅぼだい)、阿難、羅睺羅(らごら)と曰う。是の如き、衆に知識せられたる大阿羅漢等なり。 復、学無学の二千人あり。摩訶波闍波提(まかはじゃはだい)比丘尼、眷属六千人と倶なり。羅睺羅の母、耶輸陀羅(やしゅだら)比丘尼、亦眷属と倶なり。 菩薩摩詞薩八万人あり。皆阿耨多羅三藐三菩提に於いて退転せず。皆陀羅尼(だらに)を得、楽説(ぎょうせつ)弁才あって、不退転の法輪を転じ無量百千の諸仏を供養し、諸仏の所に於いて、衆の徳本を植え、常に諸仏に称歎せらるることを為、慈を以って身を修め、善く仏慧に入り、大智に通達し、彼岸に到り、名称普く無量の世界に聞こえて、能く無数百千の衆生を度す。其の名を文殊師利菩薩、観世音菩薩、得大勢菩薩、常精進菩薩、不休息菩薩、宝掌菩薩、薬王菩薩、勇施(ゆぜ)菩薩、宝月菩薩、月光菩薩、満月菩薩、大力菩薩、無量力菩薩、越三界菩薩、颰陀婆羅(ばつだばら)菩薩、弥勒(みろく)菩薩、宝積菩薩、導師菩薩と曰う。是の如き等の菩薩摩訶薩八万人と倶なり。 爾の時に釈提桓因(しゃくだいかんにん)、其の眷属二万の天子と倶なり。復、名月天子、普香天子、宝光天子、四大天王有り、其の眷属万天子と倶なり。 自在天子、大自在天子、其の眷属三万の天子と倶なり。娑婆世界の主梵天王、尸棄(しき)大梵、光明大梵等、其の眷属万二千の天子と倶なり。 八龍王有り、難陀龍王、跋難陀(ばつなんだ)龍王、娑伽羅(しゃから)龍王、和修吉龍王、徳叉迦(とくしゃか)龍王、阿那婆達多(あなばだった)龍王、摩那斯(まなし)龍王、優鉢羅(うはつら)龍王等なり。各、若干百千の眷属と倶なり。 四緊那羅(しきんなら)王あり。法緊那羅王、妙法緊那羅王、大法緊那羅王、持法緊那羅王なり。各、若干百千の眷属と倶なり。 四乾闥婆(けんだつば)王あり。楽乾闥婆王、楽音乾闥婆王、美乾(みけん)闥婆王、美音乾闥婆王なり。各、若干百千の眷属と倶なり。 四阿修羅王有り。婆稚(ばち)阿修羅王、佉羅騫駄阿(からけんだ)修羅王、毗摩質多羅(びましつたら)阿修羅王、羅睺(らご)阿修羅王なり。各、若干百千の眷属と倶なり。四迦楼羅(しかるら)王有り、大威徳迦楼羅王、大身迦楼羅王、大満迦楼羅王、如意迦楼羅王なり。各、若干百千の眷属と倶なり。 韋提希(いだいけ)の子阿闍世(あじゃせ)王、若干百千の眷属と倶なりき。各、仏足を礼し、退いて一面に坐しぬ。 爾の時に世尊、四衆に囲繞(いにょう)せられ、供養恭敬、尊重讃歎せられて、諸の菩薩の為に、大乗経の、無量義、教菩薩法、仏所護念と名づくるを説きたもう。仏、此の経を説き已って、結跏趺坐(けっかふざ)し、無量義処三味に入って、身心動じたまわず、是の時に、天より曼陀羅華、摩訶曼陀羅華、曼殊沙華(まんじゅしゃげ)、摩訶曼殊沙華を雨して、仏の上、及び諸の大衆に散じ、普仏世界六種に震動す。爾の時に、会中の比丘、比丘尼、優婆塞(うばそく)、優婆夷(うばい)、天、龍、夜叉、乾闥婆(けんだつば)、阿修羅、迦楼羅(かるら)、緊那羅(きんなら)、摩睺羅迦(まごらか)、人非人、及び諸の小王、転輪聖王、是の諸の大衆、未曾有なることを得て、歓喜し合掌して一心に仏を観たてまつる。爾の時に仏、盾間白毫相の光を放ちて、東方万八千の世界を照らしたもうに、周偏せざること靡し。下、阿鼻地獄に至り、上、阿迦尼吒天(あかにだてん)に到る。 此の世界に於いて、尽く彼の土の六趣の衆生を見、又、彼の土の現在の諸仏を見、及び諸仏所説の経法を聞き、並びに彼の諸の比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷の、諸の修行し得道する者を見、復、諸の菩薩摩訶薩の種種の因縁、種種の信解、種種の相貌あって、菩薩の道を行ずるを見、復、諸仏の般涅槃したもう者を見、復、諸仏の般涅槃の後、仏舎利を以って、七宝の塔を起つるを見る。 爾の時に弥勒菩薩、是の念を作さく、 今者(いま)世尊、神変の相を現じたもう。何の因縁を以って此の瑞有る。今仏世尊は、三昧に入りたまえり。是の不可思議に希有の事を現ぜるを、当に以って誰にか問うべき。誰か能く答えん者なる。 復、此の念を作さく、 是の文殊師利法王の子は、已に曾て、過去無量の諸仏に親近し供養せり。必ず応に、此の希有の相を見るべし。我、今当に問うべし。 爾の時に比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、及び諸の天、龍、鬼神等、咸(ことごと)く此の念を作さく、 是の仏の光明神通の相を、今当に誰にか問うべき。 爾の時に弥勒菩薩、自ら疑を決せんと欲し、又、四衆の比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、及び諸の天、龍、鬼神等の衆会の心を観じて、文殊師利(もんじゅしり)に問うて言わく、 何の因縁を以って、此の瑞神通の相有り、大光明を放ちて、東方万八千の土を照らしたもうに、悉く彼の仏の国界の荘厳を見る。 是に於いて弥勒菩薩、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を以って問いて曰わく、 文殊師利 導師何が故ぞ 盾間白毫(みけん・びゃくごう)の 大光普く照らしたもう 曼陀羅 曼殊沙華を雨して 栴檀(せんだん)の香風 衆の心を悦可す 是の因縁を以って 地皆厳浄なり 而も此の世界 六種に震動す 時に四部の衆 咸く皆歓喜し 身意快然として 末曾有なることを得 眉間の光明 東方 万八千の土を照らしたもうに 皆金色の如し 阿鼻獄より 上有頂に至るまで 諸の世界の中の 六道の衆生 生死の所趣 善悪の業縁 受報の好醜 此に於いて悉く見る 又諸仏 聖主師子 経典の 微妙第一なるを演説したもう 其の声清浄に 柔輭(にゅうなん)の音を出して 諸の菩薩を教えたもうこと 無数億万に 梵音深妙にして 人をして聞かんと楽(ねが)わしめ 各世界に於いて 正法を講説するに 種種の因縁をもってし 無量の喩を以って 仏法を照明し 衆生を開悟せしめたもうを覩 若し人苦に遭って 老病死を厭うには 為に涅槃を説いて 諸苦の際を尽くさしめ 若し人福有って 曾て仏を供養し 勝法を志求するには 為に縁覚を説き 若し仏子有って 種種の行を修し 無上慧を求むるには 為に浄道を説きたもう 文殊師利 我此に住して 見聞すること斯の若く 千億の事に及べり 是の如く衆多なる 今当に略して説くべし 我彼の土の 恒沙の菩薩 種種の因縁をもって 仏道を求むるを見る 或は施を行ずるに 金銀珊瑚(さんご) 真珠摩尼(まに) 硨磲碼碯(しゃこ・めのう) 金剛諸珍 奴婢(ぬひ)車乗 宝飾の輦輿(れんよ)を 歓喜して布施し 仏道に廻向(えこう)して 是の乗の 三界第一にして 諸仏の歎じたもう所なるを得んと願う有り 或は菩薩の 駟馬(しめ)の宝車 欄楯華蓋(らんじゅんけがい) 軒飾(けんじき)を布施する有り 復菩薩の 身肉手足 及び妻子を施して 無上道を求むるを見る 又菩薩の 頭目身体を 欣楽施与(ごんぎょう・せよ)して 仏の智慧を求むるを見る 文殊師利 我諸王の 仏所に往詣して 無上道を問いたてまつり 便ち楽土 宮殿臣妾(ぐでん・じんしょう)を捨てて 鬚髪(しゅほつ)を剃除(たいじょ)して 法服を被(き)るを見る 或は菩薩の 而も比丘と作って 独り閑静に処し 楽って経典を誦するを見る 又菩薩の 勇猛精進し 深山に入って 仏道を思惟するを見る 又欲を離れ 常に空閑に処し 深く禅定を修して 五神通を得るを見る 又菩薩の 禅に安んじて合掌し 千万の偈を以って 諸法の王を讃めたてまつるを見る 復菩薩の 智深く志固くして 能く諸仏に問いたてまつり 聞いて悉く受持するを見る 又仏子の 定慧具足して 無量の喩を以って 衆の為に法を講じ 欣楽(ごんぎょう)説法して 諸の菩薩を化し 魔の兵衆を破して 法鼓(ほっく)を撃つを見る 又菩薩の 寂然宴黙にして 天龍恭敬(くぎょう)すれども 以って喜びとせざるを見る 又菩薩の 林に処して光を放ち 地獄の苦を済い 仏道に入らしむるを見る 又仏子の 未だ嘗て睡眠せず 林中に経行し 仏道を勤求するを見る 又戒を具して 威儀欠くること無く 浄きこと宝珠の如くにして 以って仏道を求むるを見る 又仏子の 忍辱の力に住して 増上慢の人の 悪罵捶打(おめ・すいちょう)するを 皆悉く能く忍んで 以って仏道を求むるを見る 又菩薩の 諸の戯笑(けしょう) 及び癡(ち)なる眷属を離れ 智者に親近し 一心に乱を除き 念を山林に摂して 億千万歳 以って仏道を求むるを見る 或は菩薩の 肴膳飲食(こうぜん・おんじき) 百種の湯薬(とうやく)を 仏及び僧に施し 名衣上服の 価直千万なる 或は無価の衣を 仏及び僧に施し 干万億種の 栴檀の宝舎 衆妙なる臥具を 仏及び僧に施し 清浄の園林の 華果茂く盛んなると 流泉浴池とを 仏及び僧に施し 是の如き等の施の 種種微妙なるを 歓喜し厭くこと無くして 無上道を求むるを見る 或は菩薩の 寂滅の法を説いて 種種に 無数の衆生に教詔する有り 或は菩薩の 諸法の性は 二相有ること無し 猶虚空の如しと観ずるを見る 又仏子の 心に所著無くして 此の妙慧を以って 無上道を求むるを見る 文殊師利 又菩薩の 仏の滅度の後 舎利を供養する有り 又仏子の 諸の塔廟を造ること 無数恒沙にして 国界を厳飾し 宝塔高妙にして 五千由旬 縦広正等にして 二千由旬 一一の塔廟に 各千の幢旛(どうばん)あり 珠をもって交露せる幔(まく)あって 宝鈴和鳴(ほうりょう・わみょう)せり 諸の天龍神 人及び非人 香華伎楽を 常に以って供養するを見る 文殊師利 諸の仏子等 舎利を供せんが為に 塔廟を厳飾(ごんじき)して 国界自然(じねん)に 殊特妙好なること 天の樹王の 其の華開敷(かいふ)せるが如し 仏一の光を放ちたもうに 我及び衆会 此の国界の 種種に殊妙なるを見る 諸仏は神力 智慧希有なり 一の浄光を放って 無量の国を照らしたもう 我等此を見て 未曾有なることを得 仏子文殊願わくは 衆の疑いを決したまえ 四衆欣仰(ごんごう)して 仁及び我を瞻(み)る 世尊何が故ぞ 斯の光明を放ちたもう 仏子時に答えて 疑いを決して喜ばしめたまえ 何の饒益(にょうやく)する所あってか 斯の光明を演べたもう 仏道場に坐して 得たまえる所の妙法 為(さだ)めて此を説かんとや欲す 為めて当に授記やしたもうべき 諸の仏土の 衆宝厳浄なるを示し 及び諸仏を見たてまつること 此れ小縁に非じ 文殊当に知るべし 四衆龍神は 仁者を瞻察(せんざつ)す 為めて何等をか説きたまわん
by johsei1129
| 2021-10-28 09:45
| 法華経28品 並開結
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