2021年 10月 20日
爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく、 比丘比丘尼の 増上慢を懐くこと有る 優婆塞の我慢なる 優婆夷の不信なる 是の如き四衆等 其の数五千有り 其の瑕疵(けし)を護り惜しむ 是の小智は已に出でぬ 衆中の糟糠(そうこう)なり 仏の威徳の故に去りぬ 斯の人は福徳尟(すくな)くして 是の法を受くるに堪えず 無量の方便力をもって 衆生の為に説きたもう 若干の諸の欲性 先世の善悪の業 仏悉く是れを知しめし已って 諸の縁譬喩 言辞方便力を以って 一切をして歓喜せしめたもう 本生未曾有を説き 亦因縁 譬喩並びに祇夜(ぎや) 優婆提舎経(うばだいしゃきょう)を説きたもう 諸の無量の仏に於いて 深妙の道を行ぜずして 衆苦に悩乱せらる 是れが為に涅槃を説きたもう 未だ曾て汝等 当に仏道を成ずることを得べしと説かず 未だ曾て説かざる所以は 説時未だ至らざる故なり 今正しく是れ其の時なり 決定して大乗を説かん 大乗に入るに為れ本なり 故を以って是の経を説く 無量の諸仏の所にして 深妙の道を行ずる有り 此の諸の仏子の為に 是の大乗経を説く 深心に仏を念じ 浄戒を修持するを以っての故に 此れ等仏を得べしと聞いて 大喜身に充遍す 声聞若しは菩薩 我が所説の法を聞くこと 乃至一偈に於いてもせば 皆成仏せんこと疑い無し 二無く亦三無し 仏の方便の説をば除く 但仮の名字を以って 衆生を引導したもう 仏の智慧を説かんが故なり 諸仏世に出でたもうには 唯此の一事のみ実なり 余の二は則ち真に非ず 終に小乗を以って 衆生を済度したまわず 仏は自ら大乗に住したまえり 其の所得の法の如き 定慧の力荘厳せり 此れを以って衆生を度したもう 若し小乗を以って化すること 乃至一人に於いてもせば 我則ち慳貪に堕せん 此の事は為めて不可なり 亦貪嫉(とんしつ)の意無し 諸法の中の悪を断じたまえり 故に仏十方に於いて 独り畏るる所無し 無量の衆に尊まれて 為に実相の印を説く 一切の衆をして 我が如く等しくして異ること無からしめんと欲しき 我が昔の所願の如き 今者は已に満足しぬ 一切衆生を化して 皆仏道に入らしむ 無智の者は錯乱し 迷惑して教えを受けず 堅く五欲に著して 癡愛(ちあい)の故に悩みを生ず 諸欲の因縁を以って 三悪道に墜堕(ついだ)し 六趣の中に輪廻して 備さに諸の苦毒を受く 薄徳少福の人として 衆苦に逼迫(ひっぱく)せらる 此の諸見に依止して 六十二を具足す 我慢にして自ら矜高(こうこう)し 諂曲(てんごく)にして心不実なり 亦正法を聞かず 是の如き人は度し難し 諸の尽苦の道を説き 之に示すに涅槃を以ってす 諸法は本より来 常に自ら寂滅の相なり 仏子道を行じ已って 来世に作仏することを得ん 一切の諸の世尊も 皆一乗の道を説きたもう 今此の諸の大衆 皆応に疑惑を除くべし 諸仏は語異なること無し 唯一にして二乗無し 百千万億種にして 其の数量るべからず 是の如き諸の世尊も 種種の縁譬喩 無数の方便力をもって 諸法の相を演説したまいき 無量の衆生を化して 仏道に入らしめたまいき 天人群生類 深心の所欲を知しめして 更に異の方便を以って 第一義を助顕したまいき 若しは法を聞いて布施し 或は持戒忍辱(じかい・にんにく) 精進禅智等 種種に福徳を修せし 是の如き諸人等 皆已に仏道を成じき 是の如き諸の衆生 皆已に仏道を成じき 万億種の塔を起てて 金銀及び頗黎(はり) 硨磲(しゃこ)と碼碯(めのう) 玫瑰(まいえ)瑠璃珠とをもって 清浄に広く厳飾(ごんじき)し 諸の塔を荘校(しょうきょう)し 或は石廟を起て 栴檀及び沈水 木樒並びに余の材 甎瓦(せんが)泥土等をもってする有り 乃至童子の戯れに 沙(すな)を聚(あつ)めて仏塔と為せる 是の如き諸人等 皆已に仏道を成じき 刻彫して衆相を成せる 皆已に仏道を成じき 白鑞(びゃくろう)及び鉛錫(えんじゃく) 鉄木及与び泥 或は膠漆布(きょうしっぷ)を以って 厳飾して仏像を作れる 是の如き諸人等 皆已に仏道を成じき 自らも作し若しは人をしてもせる 皆已に仏道を成じき 或は指の爪甲(そうこう)を以って 画いて仏像を作せる 是の如き諸人等 漸漸に功徳を積み 大悲心を具足して 皆已に仏道を成じき 華香旛蓋(けこう・ばんがい)を以って 敬心にして供養し 若しは人をして楽を作さしめ 鼓を撃ち角貝を吹き 簫笛琴箜篌(しょうちゃく・きんくうごう) 琵琶饒銅鈸(びわ・にょうどうばつ) 是の如き衆の妙音 尽く持って以って供養し 或は歓喜の心を以って 歌唄(かばい)して仏徳を頌(じゅ)し 乃至一小音をもってせし 皆已に仏道を成じき 画像に供養せし 漸く無数の仏を見たてまつりき 乃至一手を挙げ 或は復小し頭を低れて 此れを以って像に供養せし 漸(ようや)く無量の仏を見たてまつり 自ら無上道を成じて 広く無数の衆を度し 無余涅槃に入ること 薪(たきぎ)尽きて火の滅ゆるが如くなりき 一たび南無仏と称せし 皆已に仏道を成じき 若し是の法を聞くこと有りし 皆已に仏道を成じき 是の諸の如来等も 亦方便して法を説きたまわん 諸の衆生を度脱して 仏の無漏智に入れたまわん 諸仏の本誓願は 我が所行の仏道 普く衆生をして 亦同じく此の道を得せしめんと欲す 無数の諸の法門を説きたもうと雖も 其れ実には一乗の為なり 諸仏両足尊 法は常に無性なり 仏種は縁によって起ると知しめす 是の故に一乗を説きたまわん 道場に於いて知しめし已って 導師方便して説きたまわん 其の数恒沙の如く 世間に出現したもうも 衆生を安穏ならしめんが故に 亦是の如き法を説きたもう 種種の道を示すと雖も 其れ実には仏乗の為なり 過去所習の業 欲性精進力 及び諸根の利鈍を知しめして 種種の因縁 譬喩亦言辞を以って 応に随って方便して説きたもう 今我も亦是の如し 衆生を安穏ならしめんが故に 種種の法門を以って 仏道を宣示す 我智慧力を以って 衆生の性欲を知って 方便して諸法を説いて 皆歓喜することを得せしむ 六道の衆生を見るに 貧窮にして福慧無し 生死の険道に入りて 相続して苦断えず 深く五欲に著すること 犛牛(みょうご)の尾を愛するが如し 貧愛を以って自ら蔽(おお)い 盲瞑(もうみょう)にして見る所無し 深く諸の邪見に入りて 苦を以って苦を捨てんと欲す 是の衆生の為の故に 而も大悲心を起しき 三七日の中に於いて 是の如き事を思惟しき 我が所得の智慧は 微妙にして最も第一なり 斯の如きの等類 云何(いかん)がして度す可きと 護世四天王 及び大自在天 並びに余の諸の天衆 眷属百千万 恭敬合掌し礼して 我に転法輪を請ず 衆生苦に没在し 是の法を信ずること能わじ 法を破して信ぜざるが故に 三悪道に堕ちなん 我寧ろ法を説かずとも 疾く涅槃にや入りなん 我が今得る所の道も 亦応に三乗と説くべし 梵音をもって我を慰諭(いゆ)したもう 善い哉釈迦文 第一の導師 是の無上の法を得たまえども 諸の一切の仏に随って 方便力を用いたもう 我等も亦皆 最妙第一の法を得れども 諸の衆生類の為に 分別して三乗と説く 是の故に方便を以って 分別して諸果を説く 復三乗を説くと雖も 但菩薩を教えんが為なりと 深浄微妙の音を聞いて 喜んで南無仏と称す 諸仏の所説の如く 我も亦随順して行ぜんと 諸法寂滅の相は 言を以って宣ぶべからず 方便力を以っての故に 五比丘の為に説きぬ 及以び阿羅漢 法僧差別の名有り 生死の苦永く尽くすと 我常に是の如く説きき 仏道を志求する者の 無量千万億 咸く恭敬の心を以って 皆仏所に来至せり 曾て諸仏に従いたてまつって 方便所説の法を聞けり 仏慧を説かんが為の故なり 今正しく是れ其の時なり 著相憍慢(じゃくそう・きょうまん)の者は 是の法を信ずること能わず 今我喜んで畏れ無し 諸の菩薩の中に於いて 正直に方便を捨てて 但無上道を説く 千二百の羅漢 悉く亦当に作仏すべし 我も今亦是の如く 無分別の法を説く 正使世に出でたもうとも 是の法を説きたもうこと復難し 無量無数劫にも 是の法を聞くこと亦難し 能く是の法を聴く者 斯の人亦復難し 天人の希有(けう)にする所として 時時に乃(いま)し一たび出ずるが如し 則ち為れ已に 一切三世の仏を供養するなり 是の人甚だ希有なること 優曇華に過ぎたり 普く諸の大衆に告ぐ 但一乗の道を以って 諸の菩薩を教化して 声聞の弟子無し 当に知るべし是の妙法は 諸仏の秘要なり 是の如き等の衆生 終に仏道を求めず 当来世の悪人は 仏説の一乗を聞いて 迷惑して信受せず 法を破して悪道に堕せん 当に是の如き等の為に 広く一乗の道を讃むべし 万億の方便を以って 宜しきに随って法を説きたもう 其の習学せざる者は 此れを暁了すること能わじ 随宜方便の事を知りぬ 復諸の疑惑無く 心に大歓喜を生じて 自ら当に作仏すべしと知れ
by johsei1129
| 2021-10-20 09:32
| 法華経28品 並開結
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