【薬王品六箇の大事】
第六 若人有病 得聞是経 病即消滅 不老不死の事 (注)
文句 の十に云く「観解(かんげ)を須(もち)ゆべし」と。(注)
御義口伝に云く、若人とは上仏果より、下地獄の罪人まで之を摂す可きなり。
病とは三毒の煩悩、仏菩薩に於ても亦之れ有るなり。不老は釈尊、不死は地涌の類たり。
是は滅後当今(注)の衆生の為に説かれたり。然らば病とは謗法なり。此の経を受持し奉る者は病即消滅、疑ひ無きなり。
今、日蓮等の類い南無妙法蓮華経と唱え奉る者是なり云云。
注
若人有病 得聞是経 病即消滅 不老不死
薬王品の下記の文にある偈。
[原文]
此経則為 閻浮提人(注) 病之良薬
若人有病 得聞是経 病即消滅 不老不死
[和訳]
此の法華経は則ち 閻浮提の人の 為の病の良薬なり
若し衆生が病有て 是の法華経を聞く事を得れば、 病は即ち消滅し 不老不死なからん。
閻浮提
仏教で須弥山の周囲にある4つの大陸(四大洲)の一つで人間が住む大陸、南閻浮提とも称する。つまり娑婆世界のこと。
若人とは上仏果より、下地獄の罪人まで之を摂す可きなり
日蓮大聖人は、病ある人とは、「上は仏から下は地獄の罪人まで」十界の全ての人を含んでいると断じられておられます。
尚、妙法蓮華経従地涌出品第十五に次の文があり、仏とて「少病少悩」があると説かれております。
爾の時、四大菩薩(注)(地涌の菩薩の代表) は而の偈言を説かれたり、
世尊は安楽で少病少悩なりや、衆生の教化に疲倦(ひげん)無きや、
又、諸の衆生は教化を受ける易しや不や、世尊をして疲労を生ぜざれや、
爾の時世尊は諸の菩薩大衆にありて、是の言を作せり。
是の如し、是の如し、諸の善男子よ、如来は安楽にして少病少悩なり
四大菩薩
地涌の菩薩の上首である四人の菩薩=上行、無辺行、浄行、安立行の各菩薩
観解を須ゆべし
「法華経の観心の智解を須(もち)ゆべし」の意
滅後当今
釈迦滅後の当に今、つまり日蓮大聖人御在世及びそれ以降=末法の事