第三 十方世界 衆宝樹下 師子座上の事 (注)
御義口伝に云く、十方とは十界なり。此の下に於て草木成仏分明なり。
(注)
師子とは、師は師匠、子は弟子なり。
座上とは寂光土なり、十界即本有の寂光たる国土なり云云。
注
神力品の次の偈にある文
[原文]
一切毛孔 放於無量 無数色光 皆悉遍照 十方世界
衆宝樹下 師子座上諸仏 亦復如是 出広長舌
[和訳]
(仏は)一切の毛孔より、無量無数色の光を放ちて、皆悉く、徧く十方世界を照らしたり。
衆(もろもろ)の宝樹下にある師子座の上に座す諸仏も、亦して復た是の如く、広長舌を出し無量の光を放ちたり。
此の下に於て草木成仏分明なり
日蓮大聖人は、「此の下に於て」とは「衆の宝樹下 師子座」の文をさし、宝樹とは草木の仏界、師子座上は国土の仏界=寂光土を解き明かされておられます。
『されば画像・木像の仏の開眼供養は法華経・天台宗にかぎるべし。其の上、一念三千の法門と申すは三種の世間よりをこれり。三種の世間と申すは一には衆生世間、二には五陰世間、三には国土世間なり。前の二は且らく之を置く、第三の国土世間と申すは草木世間なり。
草木世間と申すは五色のゑのぐは草木なり。画像これより起る。木と申すは、木像、是より出来す。此の画木に魂魄と申す神(たましい)を入るる事は、法華経の力なり、天台大師のさとりなり。此の法門は衆生にて申せば即身成仏といはれ、画木にて申せば草木成仏と申すなり』と。
[【四条金吾釈迦仏供養事】御真筆:神奈川県・妙本寺に第十八紙所蔵]