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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 02月 06日

末法の本仏の立場で法華経一部二十八品を直弟子日興上人に口伝した書【御義口伝 下】要点解説(54)



 第十八 開示悟入 礼拝住処の事

 御義口伝に云く、開示悟入の四仏知見 (注)を住処とするなり。

 然る間、方便品の此の文(開示悟入)を礼拝の住処と云うなり。

 此れは、内に不軽の解を懐く (注)と釈せり。解とは正因仏性 (注)を具足すと釈するなり。

 開仏知見とは、此の仏性を開かしめんとて仏は出現し給うなり。


開示悟入の四仏知
妙法蓮華経 方便品第二の核心の説法として、釈尊は次の偈で仏が世に出現する「一大事因縁」としての「開示悟入の四仏知見」を解き明かされた。

[原文]
唯以一大事因縁故 出現於世 諸仏世尊
欲令衆生 開仏知見 使得清浄故 出現於世
欲示衆生 仏知見故 出現於世
欲令衆生 悟仏知見故 出現於世
欲令衆生 入仏知見道故 出現於世
[和訳]
唯、一大事の因縁の故を以て、世に出現せり。諸仏世尊は、
衆生をして 仏の知見を開き、清浄なることを得さしめんと欲するが故に世に出現せり。
衆生をして 仏の知見を示さんと欲するが故に世に出現せり。
衆生をして 仏の知見を 悟らせんと欲するが故に世に出現せり。
衆生をして 仏の知見に入らせんと欲するが故に世に出現せり。

内に不軽の解(げ)を懐(いだ)く
中国天台宗の開祖である天台大師の法華文句十(注)の文で、不軽菩薩の解了を意味し、不軽菩薩が一切衆生に正因仏性が内在していることを解了していたが故に、その仏性に礼拝していた事を示しておられます。

法華文句
天台大師の法華経解釈本である天台三大部(法華玄義・法華文句・摩訶止観[まかしかん]の一つ。尚この三部作は天台大師の講義を弟子の承安大師が筆録してまとめられた。

 日蓮大聖人は全ての衆生に内在する仏性(仏界)について【観心本尊抄】で次の様に解き明かされておられます。
『世間の無常は眼前に有り、豈、人界に二乗界無からんや。無顧の悪人も猶、妻子を慈愛す、菩薩界の一分なり。仏界計り現じ難し。九界を具するを以て強いて之を信じ疑惑せしむること勿れ。法華経の文に人界を説いて云く「衆生をして仏知見を開かしめんと欲す」涅槃経に云く「大乗を学する者は肉眼有りと雖も名けて仏眼と為す」等云云。末代の凡夫出生して法華経を信ずるは、人界に仏界を具足する故なり』と。

正因仏性
 全ての衆生が本性として元から具わっている己心に内在する仏性のこと。しかし正因仏性を現実に引き出すためには、縁と修行が必要となる。
例えば怒りの命、つまり修羅界という命は、他人から貶(おとし)められるという縁があって己心に内在する怒りの命が発現する。同様に仏の命、仏性が開かれるためにも縁が必要となる。

釈尊は法華経の結経『普賢経』で、仏が入滅された後、どのように修行すればよいかと尋ねる弟子等に、観普賢菩薩行法経(普賢経(ふげんぎょう)で要約すると次のように答える。
『普賢菩薩を観想し、大乗経典(法華経)を読誦し、大乗の教えを深く思索し、諸仏を礼拝し、過去世に作った宿業を懺悔し、この修業を繰り返す』

これは釈迦在当時の修行法で、長者・王族の子息で、俗世間の生活から完全に離れて出家し、修行することを想定をしております。それが叶わない多くの庶民はあくまで出家僧に供養することで、その功徳を分け与えてもらうことになる。この修行法は、大半の人々が社会で働いている末法の今日の修行法とはなりえません。

それに対し末法の本仏日蓮大聖は全ての衆生に内在する仏性を開く為の縁として、ご自身の仏の魂を墨に染め流して御図現なされた十界曼荼羅の御本尊を信徒に与えられ、この御本尊に南無妙法蓮華経と唱えるという「末法万年の外(ほか)尽未来際」に堪えうる修行法を確立為されました。

日蓮大聖人は【経王殿御返事】で次のように説かれておられます。
 『日蓮がたましひをすみにそめながしてかきて候ぞ、信じさせ給へ。仏の御意は法華経なり、日蓮がたましひは南無妙法蓮華経にすぎたるはなし』と。

また【日女御前御返事】では御本尊について次のように信徒を諭されておられます。
 『此の御本尊全く余所に求る事なかれ、只、我れ等衆生の法華経を持ちて南無妙法蓮華経と唱うる胸中の肉団におはしますなり。
 是を九識心王真如の都とは申すなり。十界具足とは十界一界もかけず一界にあるなり。之に依つて曼陀羅とは申すなり。
 曼陀羅と云うは天竺の名なり。此には輪円具足とも功徳聚(くどくじゅ)とも名くるなり。此の御本尊も只、信心の二字にをさまれり、以信得入とは是なり』と。







by johsei1129 | 2019-02-06 21:04 | 御義口伝 | Trackback | Comments(0)


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