人気ブログランキング | 話題のタグを見る

日蓮大聖人『御書』解説

nichirengs.exblog.jp
ブログトップ
2019年 01月 25日

末法の本仏の立場で法華経一部二十八品を直弟子日興上人に口伝した書【御義口伝 下】要点解説(45)

【常不軽品三十箇の大事】


 第九 言是無智比丘の事 (注)


 御義口伝に云く、此の文は法華経の明文なり。上慢の四衆、不軽菩薩を無智の比丘と罵詈(めり)せり。

凡有所見の菩薩を無智と云う事は、第六天の魔王(注)の所為(しょい)なり。

末法に入つて日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉る者は、無智の比丘と謗ぜられん事、経文の明鏡なり。

 無智を以て法華経の機(注)と定めたり。


言是無智比丘

常不軽品の下記の偈にある文

[原文]
我不敢軽於汝等 汝等皆当作仏故 四衆之中 有生瞋恚
心不浄者 悪口罵詈言 是無智比丘 従何所来
[和訳]
我、敢て汝等を軽しめず。汝等は皆、当に仏に作(な)る故なり。四衆の中にて瞋恚(しんに)を生じ、
心、不浄なる者有り。悪口罵詈して言わく『是の無智な比丘は、いずれの所より来たれりや』

第六天の魔王
仏道修行を妨げる非常に大きな魔のことである。

日蓮大聖人は、第六天の魔王を、仏道修行者を法華経から遠ざけようとして現れる、魔であると[兄弟抄]で次の様に説かれておられます。

『設ひ等覚の菩薩なれども元品の無明と申す大悪鬼身に入つて、法華経と申す妙覚の功徳を障(ささ)へ候なり。何に況んや其の已下の人人にをいてをや。又第六天の魔王・或は妻子の身に入つて親や夫をたぼらかし、或は国王の身に入つて法華経の行者ををどし、或は父母の身に入つて孝養の子をせむる事あり』

しかしながら、妙法蓮華経の祈りにより第六天の魔王も法華経の行者に味方すると説かれ、日蓮大聖人は自ら図現した十界曼荼羅の御本尊に、第六天の魔王をしたためておられます。

日蓮大聖人が御図現なされた御本尊の相貌(具体的な姿)は、日女御前御返事(本尊相貌抄) の下記の御文をご参照願います。

日蓮いかなる不思議にてや候らん。竜樹天親等・天台妙楽等だにも顕し給はざる大曼荼羅を、末法二百余年の比はじめて法華弘通のはたじるしとして顕し奉るなり。是全く日蓮が自作にあらず、多宝塔中の大牟尼世尊分身の諸仏すりかたぎ(形木)たる本尊なり。

 されば首題の五字は中央にかかり、四大天王は宝塔の四方に坐し、釈迦・多宝・本化の四菩薩肩を並べ、普賢・文殊等・舎利弗・目連等坐を屈し、日天・月天・第六天の魔王・竜王・阿修羅・其の外不動・愛染は南北の二方に陣を取り、悪逆の達多・愚癡の竜女一座をはり、三千世界の人の寿命を奪ふ悪鬼たる鬼子母神・十羅刹女等・加之(しかのみならず)日本国の守護神たる天照太神・八幡大菩薩・天神七代・地神五代の神神、総じて大小の神祇等・体の神つらなる。其の余の用(ゆう)の神豈(あに)もるべきや。
 宝塔品に云く「諸の大衆を接して皆虚空に在り」云云。此等の仏菩薩・大聖等・総じて序品列坐の二界八番の雑衆等一人ももれず、此の御本尊の中に住し給い、妙法五字の光明にてらされて本有の尊形(そんぎょう)となる。是を本尊とは申すなり。

 経に云く「諸法実相」是なり。妙楽云く「実相は必ず諸法・諸法は必ず十如乃至十界は必ず身土」云云。又云く「実相の深理・本有の妙法蓮華経」等と云云。伝教大師云く「一念三千即自受用身。自受用身とは出尊形(しゅっそんぎょう)の仏」文。此の故に未曾有(みぞうう)の大曼荼羅とは名付け奉るなり。仏滅後・二千二百二十余年には此の御本尊いまだ出現し給はずと云う事なり』と。



末法の本仏の立場で法華経一部二十八品を直弟子日興上人に口伝した書【御義口伝 下】要点解説(45)_f0301354_00082782.gif



[日目上人に授与なされた十界曼荼羅 の相貌]
 



法華経の機
機とは機根のことで、人の心の機縁、はたらきを意味し、法華経の機とは、法華経を人に説いた場合、それを聞いた人がどう反応・行動するかは、その人の機根に依存します。

 例えばこの世の真実は何かと求めている人、あるいは深刻な悩み事を抱えている人は、法華経が真実の教えなのか、自分の悩みを解決できるのか、真剣に思索し、その正邪を見極めようとするでしょう。
 しかし現状の生活に満足しているならば、その説法に耳を傾ける気にはなり難いと思われます。

 この末法の衆生の機根の差異について、日蓮大聖人は【妙心尼御前御返事】で次のように説かれておられます。
『病あれば死ぬべしといふ事、不定なり。又このやまひは仏の御はからひか。そのゆへは浄名経・涅槃経には、病ある人、仏になるべきよしとかれて候。病によりて道心(信仰心)はをこり候なり』と。







by johsei1129 | 2019-01-25 21:25 | 御義口伝 | Trackback | Comments(0)


<< Gosho 佐渡御書 Lett...      Gosho 一昨日御書 七 L... >>