【常不軽品三十箇の大事】
第 六 但行礼拝の事
御義口伝に云く、礼拝とは合掌なり、合掌とは法華経なり。
此れ即ち一念三千なり、故に、不専読誦経典 但行礼拝(注)と云うなり。
注
不専読誦経典 但行礼拝(ふせん・どくじゅ・きょうてん たんぎょう・らいはい)
「常不軽菩薩」の伹行礼拝とは、末法に於いては、日蓮大聖人の仏の命を図現なされた十界曼荼羅の御本尊に向かいて、南無妙法蓮華と題目を唱えることをあらわしております。
日蓮大聖人はこの御本尊の図現について
【経王殿御返事】でその本義を次のように示されておられます。
『南無妙法蓮華経は師子吼の如し、いかなる病さはりをなすべきや。鬼子母神、十羅刹女、法華経の題目を持つものを守護すべしと見えたり。さいはいは愛染の如く福は毘沙門の如くなるべし。いかなる処にて遊びたはふるとも、つつがあるべからず。遊行して畏れ無きこと師子王の如くなるべし。
十羅刹女の中にも皐諦女の守護ふかかるべきなり。但し御信心によるべし。つるぎなんども、すすまざる人のためには用る事なし。
法華経の剣は信心のけなげなる人こそ用る事なれ、鬼にかなぼうたるべし。
日蓮がたましひ(魂)をすみ(墨)にそめながしてかきて候ぞ、信じさせ給へ。仏の御意(みこころ)は法華経なり、日蓮がたましひは南無妙法蓮華経にすぎたるはなし』と。