【安楽行品五箇の大事】
第三 有所難問 不以小乗法答 但以大乗 而為解説 令得一切種智の事(注)
御義口伝に云く、対治の時(注)は権教(注)を以て会通(えつう)す可からず。
一切種智とは南無妙法蓮華経なり。
一切は万物なり、種智は万物の種なり、妙法蓮華経是なり。
又云く、一切種智とは我等が一心なり。一心とは万法の惣体(そうたい)なり。之を思う可し。
(注)
対治の時
日蓮大聖人は本抄で、末法に於いて邪法を折伏する時は、法華経を以て為すべき、と断じられた。
権教
釈尊が霊鷲山で、法華経を説く以前の教え。権とは仮の意で、権大乗教を意味する。それに対し法華経は実大乗経と称する。
有所難問 不以小乗法答 但以大乗 而為解説 令得一切種智の事
上記の文は安楽行品の次の文文の中で説かれている。
[原文]
善修如是 安楽心故。諸有聴者。不逆其意。
有所難問。 不以小乗法答 但以大乗 而為解説
令得一 切種智
[和訳]
善く、是くの如く、安楽の心を修むる故に、諸の聴く者有らば、其の意に逆らわず、
難問する所有らば、小乗の法を以て答えざれ。 但だ大乗を以て、 而して為に解説し、(衆生に)一切の種智を得さしめよ。