【勧持品十三箇の大事】
第九 或有阿練若の事
御義口伝に云く、第三の比丘(注)なり。良観(注)等なり。
如六通羅漢(注)の人と思うなり。
(注)
第三の比丘
三類の強敵の中の第三、僣聖増上慢の悪僧を指していて、日蓮大聖人は、極楽寺良観がそれにあたるとしている。
これらの僧を当時の民衆は、六神通を得た阿羅漢のように崇めていたと伝えられている。
良観
極楽寺良観は雨が降らず鎌倉が飢饉に陥った時、幕府より「降雨」の祈りをするよう依頼される。
その時日蓮大聖人は良観に「七日以内に一粒でも雨が降れば、日蓮は法華経捨てて念仏を唱える。若し降らなければその時は良観上人は日蓮に帰依せよ」と対決を迫り、良観はその提案を受けいれる。
ところが21日経過しても全く雨は降らず、良観は日蓮に帰依するどころか逃亡し身を隠してしまう。
その後日蓮大聖人は降雨の祈祷行い、たちどころに雨を降らせる。
このことに恨みを抱いた良観は、北条時宗の母(北条時頼の正室)である葛西殿、鎌倉幕府侍所の重鎮・平頼綱に働きかけ、日蓮大聖人を龍の口の処刑場で断首する龍(たつ)の口の法難を引き起こすことになる。
これは典型的な「僣聖増上慢」の悪僧の姿そのものであった。
※上記、極楽寺良寛の所業については
小説日蓮の生涯(上)「二十一、僭聖増上慢、極楽寺良観への書状」
「二十五、極楽寺良観と日蓮、降雨の対決」を参照願います。
【御義口伝 上】要点解説(104)に続く
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