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日蓮大聖人『御書』解説

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2018年 07月 11日

末法の本仏の立場で法華経一部二十八品を直弟子日興上人に口伝した書【御義口伝 上】要点解説(97)

【勧持品十三箇の大事】

 第三 心不実故の事


 御義口伝に云く、心不実故とは、法華最第一の経文を第三と読み(注)、最為其上(さいざいごじょう)の経文を最為其下(さいざいごげ)と読みて、法華経の一念三千を華厳(注)、大日等に之れ有りと、法華の即身成仏を大日経(注)に取り入るるは、此等は皆心不実故なり。


 今、日蓮等の類い南無妙法蓮華経と唱え奉る者は、心実なるべし云云。



(注)

法華最第一の経文を第三と読み

空海(弘法大師)は「十住心論」で「第一大日経、第二華厳経、第三法華経」と説き、法華経を第三の劣と誹謗した。


 この点について日蓮大聖人は【開目抄】で『華厳宗と真言宗とは本(もと)は権経・権宗なり。善無畏三蔵・金剛智三蔵、天台の一念三千の義を盗みとつて自宗の肝心とし、其の上に印と真言とを加て超過の心ををこす。其の子細をしらぬ学者等は、天竺より大日経に一念三千の法門ありけりと・うちをもう。華厳宗は澄観が時、華厳経の心如工画師(しんにょくえし)の文に天台の一念三千の法門を偸み入れたり。人これをしらず』と強く破折されておられます。


華厳

華厳経 大乗経典の一つで毘盧舎那仏を本尊とする。

華厳経全体のサンスクリットげの原典は存在しない。その中の「十地品」「入法界品」のみサンスクリット経典がある。

華厳経はインドで伝えられてきた種々の大乗経典が、4世紀頃に中央アジアでまとめられ後世に華厳経と名付けられたものであると推定されている。尚、毘盧舎那仏(びるしゃなぶつ)は真言宗の大日如来と同一の仏となる。また東大寺は華厳宗の大本山である。


大日経

インドから唐にやってきた善無畏(637-735)と唐の学僧たちによって724年に漢訳された。しかしサンスクリットの原本は存在しないので、釈迦が説いた仏説ではなく、善無畏が主導し諸経の優れた要素を寄せ集めて作り出した偽経と強く推察される。


華厳経の幾つかは仏説と推察されるが、毘盧舎那仏(大日如来)は阿弥陀如来同様に、釈尊、日蓮大聖人と異なりこの地球上(娑婆世界)に実在した仏でなく、あくまで経典上の謂わばバーチャルな存在に過ぎない。

また法華経が「妙法蓮華経」という、森羅万象を貫く「慈悲の法」を究め解き明かし、其の法(妙法蓮華経)に帰命することで、己心に内在する仏界を開くという具体的な成仏の道を示しているのに対し、無知な衆生に対し、あくまで仮想の仏をありがたい存在として提示し、その仏に対し渇仰させることで救済するという手法を説いている。


日蓮大聖人は上記の点について【大田殿女房御返事(即身成仏抄)】で次のように解き明かしておられます。

 『今法華経にして有余・無余の二乗が無き煩悩・業・苦をとり出して即身成仏と説き給う時、二乗の即身成仏するのみならず、凡夫も即身成仏するなり。

 此の法門をだにも・くはしく案じほどかせ給わば、華厳・真言等の人人の即身成仏と申し候は、依経に文は候へども其の義はあえてなき事なり。僻事(ひがごと)の起り此れなり。

 弘法(空海)・慈覚・智証等は此の法門に迷惑せる人なりとみ候。

 何に況や其の已下の古徳・先徳等は言うに足らず。但天台の第四十六の座主・東陽の忠尋(ちゅうじん)と申す人こそ、此の法門はすこしあやぶまれて候事は候へ。

 然れども天台の座主慈覚の末をうくる人なれば・いつわりをろかにて・さてはてぬるか。

 其の上日本国に生を受くる人はいかでか心には・をもうとも言に出し候べき。

 しかれども釈迦・多宝・十方の諸仏・地涌・竜樹菩薩・天台・妙楽・伝教大師は、即身成仏は法華経に限るとをぼしめされて候ぞ。我が弟子等は此の事を・をもひ出にせさせ給へ』と。

 妙法蓮華経は余の経典と異なる際立った特徴を持っている。その一つは釈尊自らが経典の題号を名付けていること。二として、説き始めてから上行菩薩に付属するまでを、起承転結を備えた一つの物語として完全に解き明かしていること。三として、サンスクリットの原点が完璧に存在する事。四として、各品は長行と要約した偈(詩)を繰り返すことで、法華経の内容を口伝で後世まで伝える事が出来るような構成となっていること。
五として、法華七喩(ほっけしちゆ)、如来寿量品の「五百塵点劫」、化城喩品の「三千塵点劫」の様に、譬えを用いて弟子達に難信難解の法華経を理解させようと説かれていること。六として、漢訳は、完訳三本の他、部分訳・異本を含めて16種と、多数の訳品がが現在まで伝わっている等々である。



【御義口伝 上】要点解説(98)に続く



要点解説 目次



by johsei1129 | 2018-07-11 19:39 | 御義口伝 | Trackback | Comments(0)


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