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日蓮大聖人『御書』解説

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2018年 07月 05日

末法の本仏の立場で法華経一部二十八品を直弟子日興上人に口伝した書【御義口伝 上】要点解説(93)

【提婆達多品八箇の大事】

第七 言論未訖(ごんろんみこつ)の事

 御義口伝に云く、此の文は無明即法性の明文なり。

 其の故は智積(ちしゃく)難問の言(注)、未だ訖(お)はらざるに、竜女三行半の偈を以て答うるなり。

 難問の意は別教の意なり、無明なり。竜女の答へは円教の意なり、法性なり。

 智積とは元品の無明(注)なり、竜女とは法性(注)の女人なり。仍て無明に即する法性、法性に即する無明なり。


 今、日蓮等の類い南無妙法蓮華経と唱え奉るは、言論未訖なり。

 時とは上の事の末、末の事の始なり、時とは無明法性・同時の時なり。
 南無妙法蓮華経と唱え奉る時なり。

 

 智積菩薩を元品の無明と云う事は、不信此女の不信の二字なり。

 不信とは疑惑なり、疑惑を根本無明と云うなり。竜女を法性と云う事は、我闡(がせん)大乗教の文なり。
 竜女とは、竜は父なり、女は八歳の娘なり。竜女の二字は父子同時の成仏なり。

 其の故は、時竜王女の文、是なり。既に竜王の女(むすめ)と云う間、竜王は父なり女とは八歳の子なり。

 されば女の成仏は此の品にあり。父の竜の成仏は序品に之れ在り。有八竜王の文是なり。然りと雖も父子同時の成仏なり。序品は一経(妙法蓮華経)の序なる故なり。

 又聞成菩提とは竜女が智積を責めたる言なり。されば唯我が成仏をば仏御存知あるべしとて、又聞成菩提・唯仏当証知と云えり。


 苦の衆生とは別して女人の事なり。此の三行半の偈は一念三千の法門なり。
 遍照於十方とは十界なり。殊には此の八歳の竜女の成仏は帝王持経の先祖たり。

 人王の始は神武天皇なり。神武天皇は地神五代の第五の鵜萱葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)の御子なり。此の葺不合尊は豊玉姫の子なり。
 此の豊玉姫は沙竭羅(しゃから)竜王の女なり。八歳の竜女の姉なり。然る間、先祖法華経の行者なり。甚深甚深云云。

 されば此の提婆の一品は一天の腰刀なり。無明煩悩の敵を切り、生死愛着の繩を切る秘法なり。


 漢高三尺の剣も一字の智剣に及ばざるなり。妙の一字の智剣を以て生死煩悩の繩を切るなり。

 提婆は火炎を顕し、竜女は大蛇を示し、文殊は智剣を顕すなり。仍つて不動明王の尊形と口伝せり。
 提婆は我等が煩悩即菩提を顕すなり。竜女は生死即涅槃を顕すなり。文殊をば此には妙徳と飜ずるなり。
 煩悩生死具足して当品の能化なり。



(注)
智積(ちしゃく)難問の言
この文は他仏国土から霊鷲山に参集した智積菩薩と文殊菩薩及び舎利弗との間で交わされる「竜女の即身成仏」についての論難で、提婆達多品で次の様に説かれている。

智積が文殊に『妙法華経で修行すれば速やかに仏を得ること有りや』と問い、文殊は『有り』答え竜女の話をする。智積は『信じ難い』と論難し、舎利弗も『女は五つの障りがあり五番目が仏身である。どうして女の身で成仏を得られるのだ』と竜女を問い詰める。すると竜女は『我、成仏を観よ』と言うと忽ちのうちに男子に変じて仏身を得、十方の衆生に妙法を説く。この竜女の姿を見て、智積菩薩、舎利弗、十方の衆生は黙然として信受する。

元品の無明

生命の本質を知らないが故の根源的な迷いの命。

仏は森羅万象の作用の根源たる諸法の実相を究め、衆生を無上道(仏道)に導くための法として「妙法蓮華経」を説いた。

この妙法蓮華経で仏道に入らない限り、元品の無明を断ち切ることはできない。


日蓮大聖人は御義口伝【涌出品一箇の大事】で次のように断じておられます。

『此の本法(妙法蓮華経)を受持するは信の一字なり、元品の無明を対治する利剣は信の一字なり、無疑曰信(むぎわっしん)の釈之を思ふ可し云云』


また【三世諸仏総勘文教相廃立】では無明と法性を鏡に譬えて次の様に解き明かされておられます『我が心の鏡と仏の心の鏡とは只一鏡なりと雖も、我等は裏に向つて我が性の理を見ず、故に無明と云う。如来は面に向つて我が性の理を見たまえり、故に明と無明とは其の体、只一なり。
 鏡は一の鏡なりと雖も向い様に依つて明昧(みょうまい)の差別有り。鏡に裏有りと雖も面の障りと成らず。只向い様に依つて得失の二つ有り。相即融通して一法の二義なり。化他の法門は鏡の裏に向うが如く、自行の観心は鏡の面に向うが如し。化他の時の鏡も自行の時の鏡も、我が心性の鏡は只一にして替ること無し。鏡を即身に譬え、面に向うをば成仏に譬え、裏に向うをば衆生に譬う。鏡に裏有るをば性悪を断ぜざるに譬え、裏に向う時・面の徳無きをば化他の功徳に譬うるなり。衆生の仏性の顕れざるに譬うるなり。自行と化他とは得失の力用なり』と。

法性 
 森羅万象の作用の根源たる諸法の実相

 この実相を日蓮大聖人は「妙法蓮華経」であると解き明かされた。

 さらにこの「妙法蓮華経」について【当体義抄】で次のように説かれておられます。

『問う、妙法蓮華経とは其の体何物ぞや。答う十界の依正即ち妙法蓮華の当体なり。
 問う、若爾れば我等が如き一切衆生も妙法の全体なりと云わる可きか。答う勿論なり。経に云く「所謂諸法・乃至・本末究竟等」云云』と


【御義口伝 上】要点解説(94)に続く




要点解説 目次



by johsei1129 | 2018-07-05 21:51 | 御義口伝 | Trackback | Comments(0)


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