【提婆達多品八箇の大事】
第五 我於海中 唯常宣説の事
「我海中に於いて、唯常に、妙法蓮華経を宣説す」
御義口伝に云く、我とは文殊(注)なり、海とは生注死の海なり、唯とは唯有一乗法なり、常とは常住此説法(注)なり。
妙法蓮華経とは法界の言語音声(注)なり。
今、日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉る是なり。
生死の海、即真如の大海なり。我とは法界の智慧なり、文殊なり云云。
(注)
文殊
文殊師利菩薩のこと。釈尊滅後の教えの後継者とされ、仏伝では、釈迦在世時に文殊師利菩薩に該当する菩薩が、釈迦の教団に実際にいたと伝えられている。
尚、妙法蓮華経で文殊師利菩薩は、序品第一、提婆達多品第十二、安楽行品第十四、神力品第二十一、妙音菩薩品第二十四に登場する。
妙法蓮華経とは法界の言語音声なり
法界とは三千大千世界つまり宇宙の事で、宇宙の全ての言語音声は、妙法蓮華経の働きの現象である。
日蓮大聖人は、ご本尊に南無妙法蓮華経と唱えることで、法界に遍く伝播し「迷いの海が、即、悟りの大海となる」と解き明かされておられます。
常住此説法
妙法蓮華経如来寿量品第十六の自我偈の文
[原文]
自我得仏来 所経諸劫数 無量百千万 億載阿僧祇
常説法教化 無数億衆生 令入於仏道 爾来無量劫
為度衆生故 方便現涅槃 而実不滅度 常住此説法
[和訳]
我(釈尊)、仏を得てより以来、経る所の諸の劫数は、無量百千万 億載阿僧祇なり。
常に無数億の衆生を説法教化し、仏道に於て入ら令む。爾来、無量劫なり。
衆生を度す為の故に、方便に涅槃を現ぜり。而して実には滅度せず、常に此(娑婆世界)に住して法を説けり。
【御義口伝 上】要点解説(92)に続く
要点解説 目次