【五百弟子品三箇の大事】
第一 衣裏(えり)の事 (注)
御義口伝に云く、此の品には無価(むげ)の宝珠を衣裏に繋(か)くる(注)事を説くなり。
所詮日蓮等の類い、南無妙法蓮華経と唱え奉る者は、一乗妙法の智宝を信受するなり。信心を以て衣裏にかく(繋)と云うなり。
(注)
衣裏の事 (衣裏繋珠) ※繋(つなぐ、かける、つながる)
五百弟子受記品で説かれる、妙法蓮華経七つの比喩の一つ。
ある貧乏な男が金持ちの親友の家に遊びに来てたが、酒に酔い眠ってしまう。
親友は遠方からの急用な知らせで出かけることになり、眠っている男を起こそうとするが起きない。
その男を助けようと思っていた親友は、男が着ていた服の襟の裏に高価な珠を縫い込んでから出かけた。
しばらくして起きた男はその事に気づかす、親友もいないので、元の貧乏な生活に戻り、他国を流浪し少しの収入で満足していた。
時を経て再び親友と出会えた男は、衣裏繋珠の事を聞かされ、ようやく宝珠を得ることができた。
この物語の金持ちの親友は妙法蓮華経を悟っている仏、貧乏な男は二乗の教えで満足している声聞を象徴している。
声聞の教えを実践した果てに再び仏に見え、宝珠である妙法蓮華経の一乗法(仏道)の教えをはじめて知ったことを表している。
【御義口伝 上】要点解説(48)に続く