【薬草喩品五箇の大事】
第五 我観一切 普皆平等 無有彼此 愛憎之心 我無貪著 亦無限礙の事 ※六句の文
御義口伝に云く、此の六句の文は五識(※五つの識)なり。我観一切・普皆平等とは九識(注)なり。
無有彼此とは八識なり。愛憎之心とは七識なり。我無貪著とは六識なり。亦無限礙とは五識なり。我等衆生の観法の大体なり。
今、日蓮等の類い南無妙法蓮華経と唱え奉る者は、豈(あに)我観一切・普皆平等の九識の修行に非ずや。爾らば無有彼此に非ずや、愛憎之心に非ずや、我無貪著に非ずや、亦無限礙に非ずや。
注
九識
法華経では人間の心の奥底を「九識心王真如の都」と解き明かしている。
六識 (六根ともいう) 「眼識」、「耳識」、「鼻識」、「舌識」、「身識」、「意識」
七識(末那識)=マナ識 六識の根底に存在する深層意識(煩悩)
八識(阿頼耶識)=アラヤ識 色(肉体)を超過した意識で、七識よりもさらに深い深層意識(死後に現れる超意識)
人間が現世間に行ってきた行(悪行・善行がこの八識に蓄積され、未の来世の境遇が現世の報いとして定まる。(輪廻転生の因果応報)
九識(阿摩羅識)=アマラ識 根源の宇宙そのものが持つ究極の意識。
仏はこの九識を覚知したととする。
釈尊は妙法蓮華経 方便品第二で「仏所成就 第一希有 難解之法唯仏与仏 乃能究尽 諸法の実相」
(仏の成就した所の、第一の、希有で、難解の法は、ただ、仏と仏のみ、諸法の実相を能く究め尽くせり」と解き明かした。
また、末法の本仏・日蓮大聖人は日女御前御返事で「かかる御本尊を全く余所に求る事なかれ。
只、我れ等衆生の法華経を持ちて、南無妙法蓮華経と唱うる胸中の肉団におはしますなり。是を九識心王真如の都とは申すなり」と解き明かされておられます。
【御義口伝 上】要点解説(36)に続く
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