2017年 02月 22日
「上の三人の中に第一の俗衆の毀よりも第二の邪智の比丘の毀は猶しのびがたし、又第二の比丘よりも第三の大衣の阿練若の僧は甚し。 此の三人は当世の権教を手本とする文字の法師、並に諸経論の言語道断の文を信ずる暗禅の法師、並に彼等を信ずる在俗等四十余年の諸経と法華経との権実の文義を弁へざる故に、華厳・方等・般若等の心仏衆生・即心是仏・即往十方西方等の文と、法華経の諸法実相・即往十方西方の文と語の同じきを以て義理のかはれるを知らず。或は諸経の言語道断・心行所滅の文を見て一代聖教には如来の実事をば宣べられざりけりなんどの邪念をおこす。 故に悪鬼・此の三人に入つて末代の諸人を損じ、国土をも破るなり。 故に経文に云く「濁劫悪世の中には多く諸の恐怖有らん悪鬼其の身に入つて我を罵詈し毀辱せん乃至仏の方便随宜所説の法を知らず」文。 文の心は、濁悪世の時、比丘、我が信ずる所の教は仏の方便随宜の法門ともしらずして権実を弁へたる人出来すれば、詈り破しなんどすべし。是偏に悪鬼の身に入りたるをしらずと云うなり。されば末代の愚人の恐るべき事は刀杖・虎狼・十悪・五逆等よりも三衣・一鉢を帯せる暗禅の比丘と、並に権経の比丘を貴しと見て実経の人をにくまん俗侶等なり」と。 故に涅槃経二十二に云く「悪象等に於ては心に恐怖する事無かれ、悪知識に於ては怖畏の心を生ぜよ。 何を以ての故に是、悪象等は唯能く身を壊りて心を破ること能わず。悪知識は二倶に壊るが故に乃至悪象の為に殺されては三趣に至らず、悪友の為に殺されては必ず三趣に至らん」文 。 此文の心を章安大師宣べて云く「諸の悪象等は但是れ悪縁にして人に悪心を生ぜしむる事能わず、悪知識は甘談詐媚巧言令色もて人を牽いて悪を作さしむ。悪を作すを以ての故に人の善心を破る、之を名づけて殺と為す即ち地獄に堕す」文。 文の心は悪知識と申すは甘くかたらひ詐り媚び、言を巧にして愚癡の人の心を取つて善心を破るといふ事なり。 総じて涅槃経の心は十悪・五逆の者よりも謗法闡提のものをおそるべしと誡めたり。闡提の人と申すは法華経・涅槃経を云いうとむる者と見えたり。 当世の念仏者等・法華経を知り極めたる由をいふに因縁・譬喩をもて釈し、よくよく知る由を人にしられて然して後には、此の経のいみじき故に末代の機のおろかなる者及ばざる由をのべ、強き弓重き鎧かひなき人の用にたたざる由を申せば、無智の道俗さもと思いて実には叶うまじき権教に心を移して、僅かに法華経に結縁しぬるをも飜えし、又人の法華経を行ずるをも随喜せざる故に師弟倶に謗法の者となる」と。 之れに依つて謗法の衆生国中に充満して適仏事をいとなみ、法華経を供養し追善を修するにも念仏等を行ずる謗法の邪師の僧来て、法華経は末代の機に叶い難き由を示す。 故に施主も其の説を実と信じてある間、訪るる過去の父母夫婦兄弟等は弥地獄の苦を増し、孝子は不孝謗法の者となり、聴聞の諸人は邪法を随喜し悪魔の眷属となる。 日本国中の諸人は仏法を行ずるに似て仏法を行ぜず、適・仏法を知る智者は国の人に捨てられ守護の善神は法味をなめざる故に威光を失ひ利生を止此の国をすて他方に去り給い、悪鬼は便りを得て国中に入り替り、大地を動かし悪風を興し一天を悩し、五穀を損ず故に飢渇出来し、人の五根には鬼神入つて精気を奪ふ。是を疫病と名く、一切の諸人善心無く多分は悪道に堕つることひとへに悪知識の教を信ずる故なり」と。 仁王経に云く「諸の悪比丘多く名利を求め国王太子王子の前に於て自ら破仏法の因縁破国の因縁を説かん。其の王別えずして此の語を信聴し横に法制を作りて仏戒に依らず、是れを破仏破国の因縁と為す」文。 文の心は末法の諸の悪比丘国王大臣の御前にして国を安穏ならしむる様にして終に国を損じ、仏法を弘むる様にして還つて仏法を失うべし。国王大臣此の由を深く知し食さずして此の言を信受する故に、国を破り仏教を失うと云う文なり。此の時日月度を失ひ時節もたがひて夏はさむく冬はあたたかに秋は悪風吹き、赤き日月出で望朔にあらずして日月蝕し或は二つ三つ等の日出来せん。大火大風彗星等をこり飢饉疫病等あらんと見えたり。国を損じ人を悪道にをとす者は悪知識に過ぎたる事なきか」と。 唱法華題目抄 要点解説その五に続く
by johsei1129
| 2017-02-22 23:15
| 御書十大部(五大部除く)
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