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日蓮大聖人『御書』解説

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2017年 01月 01日

法華初心成仏抄 要点解説その一

【法華初心成仏抄(ほっけしょしんじょうぶつしょう】は弘安元年 (西暦1278年) 、日蓮大聖人五十七歳の時、身延山の草庵にて述作なされました。本抄は駿河国岡宮(現在の沼津市)に住む「岡宮妙法尼」に与えられた書です。
岡宮妙法尼は、夫、兄に先立たれながらも大聖人に帰依し続け、純真な信仰を貫いだ女性で、法華経の信仰について数々大聖人に問われ、それに対して大聖人は本書で分かりやすく丁寧に妙法尼答えられておられます。
本書の中で大聖人は『我が己心の妙法蓮華経を本尊とあがめ奉りて、我が己心中の仏性・南無妙法蓮華経とよびよばれて顕れ給う処を仏とは云うなり、譬えば篭の中の鳥なけば空とぶ鳥のよばれて集まるが如し、空とぶ鳥の集まれば篭の中の鳥も出でんとするが如し、口に妙法をよび奉れば、我が身の仏性もよばれて必ず顕れ給ふ』と記しされ、「空とぶ鳥と篭の中の鳥」との比喩を用いて、御本尊に向かい『南無妙法蓮華経』と唱えることより自身の仏性が顕れる道理を、分かりやすく示されておられます。

日蓮大聖人は最初に「
問うて云く八宗・九宗・十宗の中に何か釈迦仏の立て給へる宗なるや」と論難を立て「法華より外の経には全く已今当の文なきなり」と質し、「法華経計り成仏する宗なりと仏定め給へり」と断じます。
さらに経(涅槃経の四依品)を引いて「法に依つて人に依らざれ義に依つて語に依らざれ知に依つて識に依らざれ了義経に依つて不了義経に依らざれ」と示し、「菩薩・人師の言には依るべからず仏の御定を用いよ」と断じられます。

「問うて云く八宗・九宗・十宗の中に何か釈迦仏の立て給へる宗なるや、答えて云く法華宗は釈迦所立の宗なり其の故は已説・今説・当説の中には法華経第一なりと説き給う、是れ釈迦仏の立て給う処の御語なり。

故に法華経をば仏立宗と云い又は法華宗と云う又天台宗とも云うなり、故に伝教大師の釈に云く天台所釈の法華の宗は釈迦世尊所立の宗と云へり、法華より外の経には全く已今当の文なきなり。

已説とは法華より已前の四十余年の諸経を云う、今説とは無量義経を云う、当説とは涅槃経を云う、此の三説の外に法華経計り成仏する宗なりと仏定め給へり。余宗は仏・涅槃し給いて後・或は菩薩或は人師達の建立する宗なり。仏の御定を背きて菩薩・人師の立てたる宗を用ゆべきか、菩薩人師の語を背きて仏の立て給へる宗を用ゆべきか又何れをも思い思いに我が心に任せて志あらん経法を持つべきかと思う処に、仏是を兼て知し召して末法濁悪の世に真実の道心あらん人人の持つべき経を定め給へり。

経に云く「法に依つて人に依らざれ義に依つて語に依らざれ知に依つて識に依らざれ了義経に依つて不了義経に依らざれ」文、此の文の心は菩薩・人師の言には依るべからず仏の御定を用いよ華厳・阿含・方等・般若経等の真言・禅宗・念仏等の法には依らざれ了義経を持つべし了義経と云うは法華経を持つべしと云う文なり」と。

[涅槃経の四依品]
1.依義不依語(義に依りて語に依らざれ)
意味に依拠して、文辞に依拠しない

2.依智不依識(智に依りて識に依らざれ)
智慧に依拠して、知識に依拠しない

3.依了義経不依不了義経(了義経に依りて不了義経に依らざれ)
仏法の道理が完全に説き尽くされた経典つまり法華経を拠りどころとし、完全には説かれていない不了義経つまり華厳・阿含・方等・般若経等の爾前経に依ってはならない

4.依法不依人(法に依りて人に依らざれ)

日蓮聖人は『破良観等御書』にて次のように説かれておられます。

「本よりの願に、諸宗、何(いずれ)の宗なりとも偏黨執心あるべからず。いづれも仏説に証拠分明に道理現前ならんを用べし。論師・釈者・人師にはよるべからず。専(もっぱら)経文を詮とせん」

又報恩抄では「依法と申すは一切経、不依人と申すは仏を除き奉りて外の普賢菩薩・文殊師利菩薩乃至上にあぐるところの諸の人師なり」と、説かれておられます。


法華初心成仏抄 要点解説その二に続く



by johsei1129 | 2017-01-01 21:48 | 重要法門(十大部除く) | Trackback | Comments(0)


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