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日蓮大聖人『御書』解説

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2016年 10月 24日

開目抄 要点解説 その一

開目抄は日蓮大聖人が佐渡に流罪されて最初にあらわされた御書であり、最も長文の御書です。

御書名の【開目抄】は日蓮大聖人自ら名付けられておられ、第二祖日興上人が定めた御書五大部の一つでもあります。

この御書五大部は述作年順に、立正安国論、開目抄、観心本尊抄、選時抄、報恩抄となりますが、全て日蓮大聖人が自ら題号を名づけられておられ、謂わば五大部は、末法の本仏日蓮大聖人が説き明かした「経」であると言っても過言ではありません。


日蓮大聖人は開目抄述作の意義について「種種御振舞御書」に次のように認められておられます。
「去年の十一月より勘えたる開目抄と申す文二巻造りたり、頚切るるならば日蓮が不思議とどめんと思いて勘えたり。此の文の心は日蓮によりて日本国の有無はあるべし、譬へば宅に柱なければ、たもたず。人に魂なければ死人なり。日蓮は日本の人の魂なり。平左衛門既に日本の柱をたをしぬ。只今世乱れてそれともなく、ゆめの如くに妄語出来して此の御一門どしうちして後には他国よりせめらるべし。例せば立正安国論に委しきが如し。かやうに書き付けて中務三郎左衛門尉(※四条金吾)が使にとらせぬ」


さらに開目抄の本文の中にて「日蓮といゐし者は去年九月十二日子丑の時に頚はねられぬ、此れは魂魄・佐土の国にいたりて返年の二月・雪中にしるして有縁の弟子へをくればをそろしくて・をそろしからず・みん人いかに・をぢぬらむ、此れは釈迦・多宝・十方の諸仏の未来日本国・当世をうつし給う明鏡なりかたみともみるべし」と認められ、この開目抄は、釈迦始め諸仏が今の日本を映し出す「明鏡」でもあり、日蓮の「かたみ」であると見るべきである」と門下一同に説かれておられます。

大石寺二十六世日寛上人は『開目抄愚記』にて開目抄は人本尊開顕の書であり、同じく佐渡であらわされた観心本尊抄を法本尊開顕の書と断言されておられます。

人本尊開顕つまり末法の本仏であると明かされている根拠を次に示します。

日蓮大聖人は開目抄の冒頭で「夫れ一切衆生の尊敬すべき者三あり所謂主師親これなり」と示されます。これは一切衆生の尊敬すべき者は仏であることを前提に、仏とは主師親の三徳を備えていることを示されています。そして本抄の後段で「日蓮は日本国の諸人に主師父母なり」と宣言されご自身が主師父母の三徳を備えた末法の本仏である事を明確に示されておられます。


ここでいう衆生の父とは仏の尊称の異名であります。法華経では仏の尊称として世尊、如来、導師、教師等が記されていますが、特に釈尊は自身を「衆生の父」と度々宣言されています。決して「我、仏なり」とは宣言されておられません。

また法華経で説かれている諸菩薩が、自ら「我、衆生の父となりて」と説かれている「偈」は一つもありません。

妙法蓮華経 如来寿量品第十六の終段で釈尊は次のように説かれています。

[原文]
我亦為世父 救諸苦患者 為凡夫顛倒 実在而言滅
以常見我故 而生驕恣心 放逸著五欲 墮於悪道中 
我常知衆生 行道不行道 随応所可度 為説種種法 

[和訳]
我、亦、世の父と為りて、諸の苦患を救う者なり 凡夫が顛倒(本心を失う)する為に、(仏が)実在すとも而して滅すと言うのだ。

常に我を見る故を以て、而して驕恣(おごり)の心を生じ、放逸し五欲に著し、(凡夫)は悪道中に墮す 
我、常に衆生が仏道を行じ、行ぜずを知りて、度(教化)す可き所に随応し、為に種種の法を説くのだ。 
(仏は)毎に自から是の念を為す。以何にして衆生を無上道(仏道)に得入し 速やかに仏身を成就させんと。


[妙法蓮華経 譬諭品第三]
如来亦復如是。則為一切。世間之父。於諸怖畏。
衰悩憂患。無明暗蔽。永尽無余。而悉成就。
無量知見。力。無所畏。有大神力。及智慧力。
具足方便。智慧波羅蜜。大慈大悲。常無懈倦。
恒求善事。利益一切


舎利弗。仏見此已 便作是念。我為衆生之父
応拔其苦難。与無量無辺。仏智慧楽。令其遊戲。
[和訳]
舎利弗よ、 仏、此を已に見て 便ち是の念をなせり。我、衆生の父と為りて
応に其の苦難を抜き、無量無辺の仏の智慧の楽を与え 其に遊戲せしまん。

[化城諭品第七]
今仏出於世 為衆生作眼 世間所帰趣 救護於一切 
為衆生之父 哀愍饒益者 我等宿福慶 今得値世尊
[和訳]
今、仏は世に出でて 衆生の為に眼となり 世間の帰趣する所として 一切を救護し 
衆生の父と為りて 哀愍し饒益したまう者なり 我等(衆生)に宿福の慶びありて 今、世尊に値いたまうを得たり


[開目抄 要点解説] その二に続く




by johsei1129 | 2016-10-24 22:31 | 開目抄(御書五大部) | Trackback | Comments(0)


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