2016年 09月 02日
【色心二法抄】 ■出筆時期:寛元二年(1244)九月一七日 二十三歳御作。
又此の五根は五行なり。眼は木、耳は水、鼻は金、舌は火、身は土なり。又是五色なり。眼は青色、耳は黒色、鼻は白色、舌は赤色、身は黄色なり。又是五竜なり。眼は青竜、耳は黒竜、鼻は白竜、舌は赤竜、身は黄竜なり。又是五常なり。眼は仁の徳、耳は礼の徳、鼻は義の徳、舌は智の徳、身は信の徳、故に此(これ)仁義礼智信とて五つの振る舞ひなり。又是五臓なり。眼は肝臓、耳は腎臓、鼻は肺臓、舌は心臓、身は脾臓なり。又是の五臓に五つの神あり。魂(こん)・志・魄(はく)・意・神是なり。此の五つの神は天の五星、地の五岳、束ねて五神は五智の如来なり。迷へる凡夫の身中にしては五つの神と云はれ、此の五つを五智の如来なりと悟れば、五仏果徳の仏なり。爰に知んぬ、地獄の依報・正報が皆五智五仏の正体なりと云ふことを。地獄の大地は中央、法界体性智、大日如来の土なり。地獄の薪(たきぎ)は東方、大円鏡智、阿閦仏の木なり。地獄の炎は南方、平等性智、宝性仏の火なり。地獄の釜は西方、妙観察智、阿弥陀仏の金なり。地獄の水は北方、成所作智、釈迦如来の水なり。 但し此の身は何よりか生ぜる。東西南北中央の五方、天地・陰陽・日月・五星より生ぜり。彼の天地・陰陽・日月・五星は又何よりか生ぜる。彼の法は万法能生の体にして、過去にも生ぜず、未来にも生ぜず、故に三世常住なり。東西南北中央の五方、日月五星は始まりたる体にあらざれば、又我が身も不生の身なり、法界も不生の体なり。我が母も天地・陰陽・日月・五星・法界の体なるが故に、我も亦法界の体なり。故に生ぜる母もなく、又生ぜられたる我もなし。何を以ての故に、我が母も始めて法界の体をば生ずべからず、倶に法界の体なるが故に。竜樹菩薩云はく「諸法は自よりも生ぜず、亦他よりも生ぜず。又共しても生ぜず、無因にしても生ぜず」と。唯法界不生の体にして不可思議不可得なり。但し生といひ死と云ふ諸法は天地陰陽に過ぐべからず。天の陽気、地の陰気、且く相合する時を生と云ふ、天地の二気本有に還る処を死と云ふ。故に止観八に云はく「天地の二気交合して各五行有り」と。 明らかに知んぬ、此の釈の意は無始輪廻の生死の法は悟りの境界なりと釈せり。法性の故に生死ありけるなり。故に弘決の一に云はく「理性有るを以ての故に故に生死有り、生死は理を用ゆ。生死は即ち是理なりと知らず。故に日に用ひて知らざると名づく」云云。 此の釈の意は我等がいとひ悲しめる生死は、法身常住の妙理にて有りけるなり。此の旨を能く能く悟るべし。譬へば我等が生死と云へるは過ぎ行く日月に付いて生死は有るなり。されば此の日月は生死の本体にて有るなり。此の日月に付いて、東西をも弁へ、昨日今日をも分別し、又十二時をも分かち、三十日を一月とし、十二月を一年とする事も世間の事に於て前後をも乱さず、理をも失はず、月日の過ぎ去るに付いて残(のこり)の命幾(いくばく)ならずと云ふ事をも知るなり。明らかに知んぬ、十界の衆生の依正二報の生死は唯此の日月よりをこるなり。又是金胎両部の全体・本迹二門の実理なり。此の実理の故に生死は有りけるなり。此の日月の本体の故に有りける生死なるが故に、弘決の一に「仏なる故に生死あり」と釈し給ふなり。止観に云はく「起は是法性の起、滅は是法性の滅」と釈し給ひしも唯此の意なるべし。故に一年十二月は十二因縁の生死なり。正月の生の位より十二月の老死滅の位に至る。又此の滅の位より生の種をついで、十界の因果三世に改まらずして十界の生死は過ぎ行く日月にて有るなり。又我等衆生の身のみならず、草木も皆此の日月の明け暮れ生死にうつされて我等と倶に生々死々するなり。譬へば生ずるは心法なり、滅するは色法なり。色心の二法が不二なりと云ふは、譬へばもみ(籾)を種におろすに、もみは去年の菓なれば心法なり。此の心法を今年種に下ろすに此の種子苗と成る。
by johsei1129
| 2016-09-02 20:21
| 重要法門(十大部除く)
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