2016年 06月 04日
一 当抄の大意は、信心の女人の方より本門三箇の中の本門の本尊を供養あるに付いて、その御返事に遣さるるなり。故に入文に「妙法蓮華経の御本尊供養候いぬ」等云云。 一 題号とは、初めに文相を詳らかにし、次に義を釈す。初めに文相を詳らかにすとは、 問う、妙法即曼陀羅、曼陀羅即妙法なり。何ぞ煩重に「妙法曼陀羅」と題するや。 答う、総じては他宗の曼陀羅を簡び、別しては真言の曼陀羅に簡異す。此の故に「妙法曼陀羅」と題するなり。故に入文に「此の曼陀羅は文字は五字七字乃至成仏得道の導師なり」文。是れ則ち他宗の曼陀羅には此の功徳無し。故に下の文に云く「大日如来の智拳の印並びに大日の真言・阿弥陀如来の四十八願乃至病・消滅せざる上・いよいよ倍増すべし」と文。是れ簡異の言なり。之を思え。 次に義を釈すとは、 問う、本尊と云わずして何ぞ曼陀羅と云うや。 答う、所以有り。謂く、曼陀羅の翻名に三義有り。即ち本門三箇の秘法を成ず。此の義を顕す故に、別して「妙法曼陀羅」と題するなり。 問う、その相貌如何。 答う、曼陀羅の名義は大日経の第一、具縁真言品に出でたり。 一には輪円具足と翻ずるなり。義釈四に云く「輪円輻湊して大日の心王を翼輔し、一切衆生をして普門より進趣せしむ、是の故に説いて曼陀羅とするなり」。 演蜜抄五・二十四に云く「輪円輻湊と言うは喩を以て法に顕す。輪は即ち車輪、円は謂く円満、轂・輻・輞等の相円備する故に。輻湊とは帰会なり。謂く、衆輻は轂に帰会するなり」。 私に云く、輻はくるまのや、轂はくるまのこしき、輞はくるまのおおわなり。此等の具足したるを輪円具足と云うなり。是れ則ち当流の本門の本尊なり。本門の本尊とは、十界の聖衆、中央の妙法蓮華経に帰入するなり。十界の聖衆は衆輻の如く、中央の五字は轂の如くなり。十界、一界も漏れず、皆悉く妙法蓮華経に帰す、故に即身成仏なり。妙法を離れて十界無く、十界を離れて妙法無し。十界互具・百界千如・一念三千の本尊なり。故に輪円具足の本尊と云うなり。 御書録外二十三に云く「日蓮いかなる不思議にてや候らん竜樹天親等乃至伝教大師云く『一念三千即自受用身・自受用身とは出尊形の仏」已上。 二には道場と翻ずるなり。演密抄四・二十四に云く「曼陀羅とは、此には道場と云う。是れ弟子の発心得道に与る処、之を道場と謂う」文。此の妙法の曼陀羅は三世の諸仏の発心得道の所なり。故に経文には「諸仏此に於て三菩提を得」文。亦云く「当に知るべし、是の処は即ち是れ道場」文。疏に云く「道場は上の甚深の事を釈す」文。経に云く「如来の一切の甚深の事」。疏に云く「一切甚深とは、因果は是れ深事なり。此れは妙宗を結す」文。 私に云く、発心は因なり、得道は果なり。因果は即ち発心得道なり。故に道場という事、此の経釈に分明なり。 当御書に云く「三世の諸仏の御師」(私に云く、発心の師なり)「成仏得道の導師なり」(私に云く、果の師なり)此の文の相は因果の師に配すべし。是れ道場の義に親近なり。是れ則ち本門の戒壇なり。防非止悪を以て戒壇とする故なり。 此の本尊は、既に三世の諸仏の発心得道の場処なる故に道場と云う。場とは、即ち戒壇の義なり。止観二・十五六に云く「道場は即ち清浄の境界なり。五住の糠を治して実相の米を顕す。亦是れ定慧を用て法身を荘厳するなり」。輔行の二本五十五に云く「場は是れ所依なり、故に浄境を表わす。世に以て殻を治め、及以祭る所を倶に名づけて場と曰う」。説文に云く「耕さざるを場と曰う。詩に曰く、九月、場を築き以て殻を治すと。今、浄境に依って五住を治す、故に道場と云う」文。 私に云く、煩悩・業・苦の三道即ち法身・般若・解脱の三徳と顕るるが故に、此の本尊即ち道場なり。道場は即ち戒壇なり。 三には功徳聚と翻ずるなり。義釈四十に云く「夫れ曼陀羅とは、名づけて聚集と為す。今、如来の真実の功徳を以て、集めて一所に在く」文。演密抄に云く「夫れ曼陀羅等とは、曼陀羅は是れ諸仏如来の真実の功徳を蘊集し積集するの所なり。故に以て名を為す」文。是れ当流の題目なり。此の本門の題目には、十方三世の諸仏の因果の功徳を具足するなり。故に功徳聚と云うなり。経に云く「具足の道を聞かんと欲す」文。無量義経に云く「未だ六波羅蜜を修行することを得ずと雖も、六波羅蜜自然に在前す」文。 本尊抄に云く「文の心は釈尊の因行果徳の二法は妙法蓮華経の五字に具足す我等此の五字を受持すれば自然に彼の因果の功徳を譲り与え給う、四大声聞の領解に云く『無上宝聚・不求自得』」と云云。 故に本門の題目は三世の諸仏の功徳聚なり。此の妙法蓮華経の本尊に此の三箇の大法を具足す。此の義を顕さんと欲して「曼陀羅」と題したもうなり。一に三を具する証は板御本尊是れなり云云。
by johsei1129
| 2016-06-04 18:36
| 日寛上人 御書文段
|
Trackback
|
Comments(0)
|
アバウト
カレンダー
カテゴリ
全体 御書 INDEX・略歴 WRITING OF NICHIREN 観心本尊抄(御書五大部) 開目抄(御書五大部) 撰時抄(御書五大部) 報恩抄(御書五大部) 立正安国論(御書五大部) 御書十大部(五大部除く) 日蓮正宗総本山大石寺 重要法門(十大部除く) 血脈・相伝・講義 短文御書修正版 御義口伝 日興上人 日寛上人 六巻抄 日寛上人 御書文段 小説 日蓮の生涯 上 小説 日蓮の生涯 中 小説 日蓮の生涯 下 LIFE OF NICHIREN 日蓮正宗関連リンク 南条時光(上野殿) 阿仏房・千日尼 曾谷入道 妙法比丘尼 大田乗明・尼御前 四条金吾・日眼女 富木常忍・尼御前 池上兄弟 弟子・信徒その他への消息 釈尊・鳩摩羅什・日蓮大聖人 日蓮正宗 宗門史 創価破析 草稿 富士宗学要集 法華経28品 並開結 重要御書修正版 検索
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 01月 お気に入りブログ
最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
タグ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||