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日蓮大聖人『御書』解説

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2016年 05月 22日

妙法曼荼羅供養抄記 六 「導師を殺して天祠(てんし)を祀(まつ)る。已に道路を迷い失いて趣く所を知らず。窮困(きゅうこん)して皆死す」。他宗他門なり云云。


一 (りょう)()となり。

  「良馬」とは即ち名馬なり。延宝年中に阿蘭陀(おらんだ)より名馬を献ずるに、其の毛、一身しまなり。

半井(ぼく)(よう)の狂歌に云く

しまぎぬをおらんだものと思いしに 

よくよく見れば()まれ()きかな云云。

  ()(だい)()天皇の時、月毛(つきげ)の馬の三寸(ばか)りなるが、一日に八十里を行く馬を献ぜり。出雲(いずも)富田(とだ)()の刻に立ちて(とり)の刻に京に着く。其の道七十六里なり。源平合戦の時の判官(ほうがん)青海(せいかい)()、一の谷を落したるは太夫(たゆう)(ぐろ)(がま)殿の(つき)()、和田が白波(しらなみ)、畠山が秩父鹿毛(かげ)、一の谷を落つる時(よろい)の上に負いたるは三日(みか)(づき)云う名馬なるが故なり。梶原が(たまわ)りたる(する)(すみ)、佐々木に贈りたる(いけづき)、北条の荒磯(あらいそ)、熊谷が権太栗毛(くりげ)、是等は物の数ならず。

  後漢の光武の時も千里の馬を献ず。前漢の文帝の時も千里の馬を奉る。関羽が(せき)()()、玄徳の(てき)()あり。的驢は檀渓(だんけい)を一躍三丈す。是れも数ならず。

  又屈産(こっさん)の乗と云えるは、左伝五の註に「屈は地の名、良馬を生ず」と。又史記の世家の註に「屈産は名馬を出す地なり」。コツとは(コツ)支国の事なり。()()とも()()とも云うなり。長安の西、七千五百里にあり。

  又項羽が(すい)(そう)(こく)の馬なり。伝に云く「時に利あらず、()かず」等云云。是れも物の数ならず。

  周の(ぼく)王の時、()トウ(リカ)騮騄(リュウロク)駬駟(ジシ)。(注:トウは馬偏に盗)太平の十三初。同抄。慈童。魏の文帝の時、(ほう)()八百年まで慈童、少年の(すがた)なり。穆王は八(ひき)(はや)(うま)に乗って、西天十万里の山川を一時に越えて(りょう)鷲山(じゅせん)に参詣せり。

  今(また)(また)(しか)なり。妙法五字の良馬に乗って速やかに霊山浄土に至るべし。

一 天には日月の如し・地には須弥山(しゅみせん)の如し等

 是れ薬王品の第二・第三・第四の譬の意なり。経に「又土山(どせん)黒山(こくせん)(しょう)鉄囲山(てっちせん)、大鉄囲山及び(じっ)宝山(ぽうせん)の衆山の中に、須弥山を第一とするが如く、此の法華経も(また)(また)是くの如し。諸経の中に於て、最も其の(かみ)と為す」云云。

「又衆星の中に、(がっ)天子(てんじ)最第一なるが如く、此の法華経も亦復是くの如し。千万億種の諸経法の中に於て最()れ照明なり」。

「又(にっ)天子(てんじ)の能く諸の(やみ)を除くが如く、この経も復是くの如し。能く一切の不善の闇を破す」。

文の中の「法華経」とは下種の法華経、妙法五字の御本尊の御事(おんこと)なり。  

一 (しょう)()海の(ふね)なり成仏得道の導師なり。

薬王品に云く「(わたり)に船を得たるが如し」云云。故に「生死海の船」と云う。「商人の(あるじ)を得たるが如し」云云。(ずい)(もん)・四十三に云く「経に『商人の主を得たるが如し』とは、商主は必ず能く道の(つう)(そく)及び宝所を知り、彼の商人をして彼の宝を得るに至らしむるが故なり」文。浄名(じょうみょう)に云く「巨海に入らずんば宝を得ず」云云。賢愚経に云く「植を()るは百倍、(しょう)()は千倍、仕官は万倍、海に入るは()(かえ)って無量倍を得」云云。()し導師無くして海に入らば何ぞ宝を得ん。

(ひゃく)()経に云く「昔()(きゃく)有り、一導師を得て引いて広野に至る。一の(てん)()有り。人を(もち)いて(まつ)(おわ)って、然るに後に過ぐることを得。此に於て衆賈、議して云く『我等は皆(しん)たり、如何(いかん)ぞ殺す可き』と。即ち導師を殺して天祠を祀る。(すで)に道路を迷い失いて趣く所を知らず。窮困(きゅうこん)して皆死す」。他宗他門なり云云。

当流は寿量文底の大海に入り、下種の大法を()給いて、我等に之を授与する蓮祖のみ末法の大導師なり。


つづく


日寛上人 文段目次                      



by johsei1129 | 2016-05-22 10:09 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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