2016年 04月 16日
此の下は因を結するなり。前の「正直に方便を捨て」已下の文に配して見るべし。 日我云く「是の『中』の字、アタルとよむなり。大聖の御本意、正信にアタル意なり」云云。 今謂く、汎く「中」と云うは、其の義不定なり。或は、其の一切を以て中と云う、「華厳頓中の一切法なり」及び「法華経中の一切の三宝」等の「中」の字の如し。或は外を以て中と云う、「而も此の経中に於て」及び「衆星の中」等の「中」の字の如し。或は外に望みて中と云う、「洛中」「寺中」「門中」等と云うが如し。今「中」と云うは、正に外に望みて中と云うなり。文意に云く、本門寿量の当体蓮華仏とは是れ不信謗法の人の事には非ず、但是れ日蓮が弟子檀那等の中の事なり云云。是れ則ち前後の文、皆非を簡び、是を顕す故なり。況や復下の文に「日蓮が一門」等と云う。故に今文の意は「一門中」と云うに当れり云云 一 是れ即ち法華等文 是の下は三に結勧なり。 「正直に方便を捨て但法華経を信じ南無妙法蓮華経と唱うる人」とは、是れ我等が本因妙なり。「煩悩・業・苦の三道・法身・般若・解脱の三徳と転じて三観・三諦・即一心に顕われ」とは、是れ我等が本果妙なり。「其の人の所住の処は常寂光土なり」とは、是れ我等が本国土妙なり。 当に知るべし、本因・本果は正報の十界なり。本国土は是れ十界の依報なり。三妙を合論すと雖も、三千の相未だ分明ならず。次に依正の十如を明かして「能居・所居」等と云うなり。当に知るべし、能居の身の色心とは、即ち是れ正報の十如是、生・陰の二千なり。所居の土の色心とは、即ち是れ依報の十如是、国土の一千なり。 止観に云く「国土世間亦十種の法を具す。所謂相性体力」等云云。籤の六に云く「相は唯色に在り。性は唯心に在り。体力作縁は義、心色を兼ぬ」等云云。故に知んぬ、色心とは十如是なり。三妙合論、事の一念三千、文義分明なり。是の事の一念三千即自受用身なり。故に「倶体」等と云うなり。 次に「倶体」の下は、自受用身即末弟なることを明かすなり。然るに此の自受用身とは、境智冥合の真身なり。所証の境を法身と為し、能証の智を報身と為し、境智冥合する則んば無縁の慈悲有り、是れを応身と名づく。故に自受用の一身は即三身なり。故に「倶体倶用・無作三身」と云うなり。是くの如き三身は即ち是れ自受用の一身なり。故に「本門寿量の当体蓮華の仏」と云うなり。是くの如きの仏身、全く余処の外に非ず、即ち是れ「日蓮が弟子檀那等の中の事なり」云云。次に勧誡の文、見るべし。下に之を弁ずるが如し。 又或る時、解して云く。 「正直に方便を捨て但法華経を信じ南無妙法蓮華経と唱うる人」とは本門の題目なり。「煩悩・業・苦乃至即一心に顕われ」とは、本尊を証得するなり。中に於て「三道即三徳」とは人の本尊を証得して、我が身全く蓮祖大聖人と顕るるなり。「三観・三諦・即一心に顕われ」とは法の本尊を証得して、我が身全く本門戒壇の本尊と顕るるなり。「其の人の所住の処」等とは戒壇を証得して、寂光当体の妙理を顕すなり。当に知るべし、並びに題目の力用に由るなり。 然りと雖も、体一互融の相は未だ分明ならず。故に此の事を顕して「能居・所居」等と云うなり。当に知るべし「能居・所居」とは、法の本尊の能所不二なり。「身土」とは即ち是れ人の本尊の能所不二なり。「色心」と言うは、色は即ち人の本尊、心は即ち法の本尊。「色」は亦是れ境なり「心」は亦是れ智なり。故に知んぬ、人法体一、境智冥合、其の義分明なり。豈本尊と戒壇、人法の本尊は体一互融に非ずや。 是くの如く証得する則は、即ち是れ久遠元初の一身即三身、三身即一身の本有無作の自受用身なり。此の仏身、全く余処の外に非ず。即ち是れ、本門の題目信行の日蓮が弟子檀那等の中の事なり。故に「倶体倶用」等と云うなり。 次に「是れ即ち法華」の下は勧誡なり。初めは勧門、次は誡門なり。 当に知るべし、四義具足する則は成仏疑無きなり。「正直に方便を捨て但法華経を信じ」とは、是れ信力なり。「南無妙法蓮華経と唱うる」とは、是れ行力なり。「法華の当体」とは、是れ法力なり。「自在神力」とは、是れ仏力なり。法力・仏力は正しく本尊に在り。之を疑うべからず。我等応に信力・行力を励むべきのみ。
by johsei1129
| 2016-04-16 13:12
| 日寛上人 御書文段
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