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日蓮大聖人『御書』解説

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2016年 03月 24日

法華取要抄文段 三一  「秘法」と名づくる意を説きつくす


  第三 本門三箇の秘法の名義並びに開合を明かす

 

問う、三箇の秘法並びに本門と云う意は如何(いかん)

答う、本門の言に於て二意あり。

一には、本門寿量文底の秘法なり。故に本門と云う。是れ開目抄(こころ)なり。

二には、久遠(くおん)元初(がんじょ)の独一の本門なり。故に本門と云う是れ血脈抄の意なり。

(まさ)に知るべし。久遠元初は(ただ)是れ本門の一法にして、更に迹として論ずべき無し。故に独一の本門と云うなり。二意有りと雖も()いて是れ一意なり。(ただ)是れ能詮・所詮の()なるのみ。一致門流は此の義を知らず、本門の言をしてげて己情にしたがう。しばらく五義を挙げて以て之を破責はしゃくせん。

一に(いわ)く、是れ本迹一致の妙法なりと雖も、既に久遠本果の釈尊の所証なり。故に本門等と云うなり。

難じて云く、(およ)今日(こんにち)()(じょう)の所証を説くを迹門と名づけ、久遠本果の所証を説くを本門と名づく。()し久遠本果の釈尊の所証ならば(すなわ)(あに)本門の妙法に非ずや。何ぞ本迹一致と云わんや。

二に謂く、是れ本迹一致の妙法なりと雖も、本門神力品に於て之を付嘱(ふぞく)するが故に本門等と云うなり。

難じて云く、神力品は是れ別付嘱、(ぞく)(るい)品は是れ総付嘱なり。是れ則ち本門嘱累品に於て、法華経並びに前後一代の諸経を一切の菩薩に付嘱す。若し(しか)らば前後一代の諸経を皆本門と名づくべけんや。(すで)に本門嘱累品に於て付嘱するが故なり。

三に謂く、是れ本迹一致の妙法なりと雖も、既に本化の菩薩(これ)を弘む。故に本門と云う云云。

難じて云く、本化の菩薩は但本門寿量の妙法を弘む。故に道暹(どうせん)云く「法()()(じょう)の法なるが故に、久成の人に付す」等云云。付嘱既に(しか)なり、弘通は知んぬべし。

四に謂く、是れ本迹一致の妙法なりと雖も、迹化(しゃっけ)迹門の弘通に対して、本化弘通の規模(きも)を顕さんが為に本門等と云うなり云云。

難じて云く、若し(しか)らば汝等、本化弘通の規模を隠さんが為に本迹一致と云うや。(あに)法敵に非ずや。

五に謂く、本迹一致の本迹は本が家の迹にして、一部(いちぶ)唯本(ゆいほん)なり。故に本門と云うなり。

難じて云く、()し与えて之を論ぜば、既に一部唯本なりと云う。若し爾れば(ただ)是れ本門なり。何ぞ本迹一致と云うや。若し奪って之を論ぜば、一部(また)是れ唯迹なり。是れ則ち今日迹中の所説なるが故なり。若し此の辺に()らば、(まさ)に一部は唯迹の妙法と云うべきや。諌迷の十六・十七、蒙の二十・三十四、()いて見よ。並びに是れ不相伝の(だい)僻見(びゃっけん)なり。()めざるべからず、破らざるべからず云云。  

  問う、三箇並びに秘法と名づくる(こころ)は如何。

  答う、此の義を知らんと欲せば、()(すべから)く今経の秘密の綱要を了すべし。所謂(いわゆる)今経の秘密の蔵、秘要の蔵、如来秘密、秘妙方便、法華(これ)秘密等を天台・妙楽之を釈するに、其の文、諸部に散在す。古来の諸師、多く大旨(たいし)に迷い、更に互いに是非(ぜひ)し、異論(らん)(きく)たり。予(かつ)て諸文を(くく)るに凡そ三義を出でず。

  一には法体(ほったい)の真秘。(いわ)く「一身即三身を名づけて秘と為す」等と釈する如きは是れなり。故に妙楽云く「法体(ほう)()として相即す」等云云。

  二には在昔(ざいせき)の隠秘。謂く「又昔より説かざる所を名づけて秘と為す」等と釈するが如きは是れなり。

  三には開顕の真秘。謂く「顕露(けんろ)彰灼(しょうしゃく)の故に真秘と云う」の文の如きは是れなり。今(おのおの)一文を引き、以て諸文に例す。学者能く(すべから)是れを了すべし。


つづく


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by johsei1129 | 2016-03-24 21:11 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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