【白米和布御書】
■出筆時期:建治元年(1275) 五十四歳歳御作
■出筆場所:身延山中 草庵にて。
■出筆の経緯:本抄の対合衆は不明ですが、白米五升と身延山中では貴重な和布(わかめ)を遣わした施主を、得勝童子が砂の餅を釈迦に供養し阿育大王になった謂れを説いて「是の故に成仏し候ひ了んぬ。何故に飢ゑを申すべき」と称えられておられます。尚、「乃時(ないじ)」とは大聖人が使いの者を待たせてその場で返書を認めたことを意味し、また使いの者に手渡ししたため宛名は記さず「返事」と簡略されておられます。
■ご真筆:広島 浅野氏所蔵。
【白米和布御書 本文】
白米五升、和布(わかめ)一連給び了んぬ。
阿育大王は昔得勝童子なり。沙(すな)の餅を以て仏に供養し一閻浮提の王と為る。
今施主は白米五升を以て法華経に供養す。
是の故に成仏し候ひ了んぬ。何故に飢ゑを申すべき。
乃時 日蓮 花押
返事