日蓮大聖人『御書』解説

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2016年 03月 08日

今の世間は弥陀の名号の権法を以て円機を抑へ、円経(法華経)に進まざらしむ、と念仏を破析した【不如治大悪御書】

【不如治大悪御書】
■出筆時期:文永期。
■出筆場所:鎌倉 草庵と思われます。
■出筆の経緯:本書は真筆二紙が伝えられておりますが、前後が不明のため 対告衆、述作年等の詳細は不明です。しかし文中で「今の世間は弥陀の名号の権法を以て円機を抑へ、円経に進まざらしむ」と記されておられるように、念仏破析の論を強信徒に示された書と思われ、文永年間の比較的初期に著されたのでは推察されます。また全文を漢文で認められておられ、富木常忍、曾谷入道、大田乗明等の比較的地位の高い武家信徒に与えられたのではないかと拝されます。
■ご真筆:堺市 妙国寺(二紙)所蔵。
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【不如治大悪御書 本文】

[前半の原文]
不食人肉投身無用也
今取其中勘文 法花經
實相一同雖存之其
行儀随時可不定 故流
通諸品品々也 佛意楽
随時故? 設雖非悪以
小善防大善過五逆罪也
今智者自令勸万善
不如治一大悪 例如外道
      九十五種

[訓訳]
人肉を食はざる投身無用なり。(注1)
今其の中を取りて之を勘へるに、法華経の実相は一同に之を存すと雖も、其の行儀は時に随って不定なるべし。
故に流通の諸品、品々なり。仏菩薩の意楽随時の故か。
設ひ悪に非ずと雖も小善を以て大善を防ぐは五逆罪(注2)に過ぐるなり。
今の智者万善を勧めしむるよりは一大悪を治するには如かず。
例せば外道の九十五種の如し(注3)。

其の所詮を取るに常楽我浄(注4)の四字なり。
名は仏法の根本を得たるも其の義は即ち邪なり。
仏世に出でて先づ此の悪を治す。正法を説かんが為に苦・無常等の四法を構へて彼の邪見を治す。
今の世間は弥陀の名号の権法を以て円機を抑へ、円経に進まざらしむ。
名号の権悪を治せんが為には妙法蓮華経の実術を用ふ。
在世・滅後異なりと雖も正法を弘むるの心是一なり。時に当たりて秘術を得たるか。


注1:雪山童子が半偈を聞くために鬼神の前に身を投げて、十二劫という長い間生死の罪を滅することができた謂れを示しておられ、末法ではそのような行は無用であるとする意味であると拝します。
注2:無間地獄におちる最も重い罪。母を殺す,父を殺す,阿羅漢(悟りを得た僧)を殺す,仏身より血を出させる,和合僧を破壊する。
注3:釈尊在世当時のインドの外道の総数。
注4:仏の境涯を示しております。大聖人は寿量品の「常住此説法」を「常」、「我此土安穏」を「楽」、「自我得仏来」を「我」、薬王品の「如清涼地」を「浄」と示しておられる。さらに地涌の菩薩の上首である四菩薩[上行・無辺行・浄行・安楽行]をそれぞれ我・常・浄・楽に配されておられます。




by johsei1129 | 2016-03-08 21:23 | 弟子・信徒その他への消息 | Comments(0)


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