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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 11月 30日

川流江河諸水の中に海これ第一なるが如く、此の法華経も亦復是 くの如し、と説いた【南条殿御返事】

【南条殿御返事】
■出筆時期:弘安三年(1280年)十二月十五日 五十九歳御作。
■出筆場所:身延山中 館にて。
■出筆の経緯:本抄は南条時光並びに母の尼御前が、十六歳で亡くなった弟五郎の百ケ日の追善供養のため、麞牙(しらよね・しらげごめ・精製した白米)二石、並びにいもの鵄(かしら)一駄を供養されたことへの返書となっております。
 大聖人は法華経・薬王菩薩本事品で説かれて、法華経がそれ以外の一切経に優れていることを喩えた「十喩」の一つ、大海と江河の譬えを引いて「故五郎殿の十六年が間の罪は江河の一てい(渧)、須臾の間の南無妙法蓮華経は大海の一てい」であると我が子及び弟を失い悲しみが未だ癒えないであろう尼御前と時光を励まされておられます。
 尚、残念ながら後段の文はご真筆が残されておらず、また古写本も伝えられていないため詳細は不明ですが「をやは死にて子にになわる、これ次第なり」と記されており、この文の後は、親が先に死ぬの通常の次第ではあるが、子に先立たれた事の意味また追善供養について説かれているものと推察されます。
■ご真筆:京都市本満寺、他二箇所にて断簡所蔵。
川流江河諸水の中に海これ第一なるが如く、此の法華経も亦復是  くの如し、と説いた【南条殿御返事】_f0301354_00074885.jpg



















【南条殿御返事 本文】

 麞牙(しらよね)二石、並びにいもの鵄(かしら)一だ(駄)、故五郎殿百ケ日等云云。
 法華経の第七に云く「川流江河諸水の中に海為(こ)れ第一なるが如く、此の法華経も亦復是くの如し」等云云。
 此の経文は法華経をば大海に譬へられて候、大海と申すは・ふかき事八万四千由旬、広きこと又かくのごとし。
 此の大海の中には・なになにのすみ有りと申し候へば阿修羅王....

[この間の文はご真筆が伝えられておりません]

....字百千万の字あつまりて法華経とならせ給ひて候へば、大海に譬えられて候。
又大海の一渧(いってい)は江河の渧(しずく)と少(すこ)しくは同じといえども、其の義はるかにかわれり。
 江河の一渧は但一水なり・一雨なり。大海の一渧は四天下の水あつまて一渧をつくれり。
 一河の一渧は一の金のごとし、大海の一渧は如意宝珠のごとし。一河の一渧(てい)は一のあじわい、大海の一渧は五味のあじわい。江河の一渧は一つの薬なり、大海の一渧は万種の一丸のごとし。

 南無阿弥陀仏は一河の一渧、南妙法蓮華経は大海の一渧。阿弥陀仏は小河の一てい(渧)、法華経の一字は大海の一てい。故五郎殿の十六年が間の罪は江河の一てい、須臾の間の南無妙法蓮華経は大海の一てい等云々。 
 夫れ以(おもんみ)れば花はつぼみさいて菓(このみ)なる。をや(親)は死にて子に・になわる、これ次第なり。譬へば...


[この後の文もご真筆が伝えられておりません]




by johsei1129 | 2019-11-30 08:34 | 南条時光(上野殿) | Trackback | Comments(0)


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