2016年 02月 23日
一義に云く、鶴の雛を「黄鵠」と名づくるなりと云云。一義に云く、鵠「こう・くぐい」と読む。故に黄鵠とは即ち「鵠の鳥」の事なり。此の鵠の鳥の事を下の句には「鶴の母」と云うなり。是れ則ち本草羅氏の説に准ずるに、鵠は則ち鶴の義あるが故なりと云云。又子安を以て即ち人名と為す。三国伝七・三十の如し。註及び啓蒙を往いて見よ。 今謂く、黄鵠とは即ち鶴なり。鵠は古の鶴の字なる故なり。字彙第十の頭書に云く「鵠は曷各の切、鶴と同じ」。荘子に『鵠は日に浴せずして白し』と。疏に『鵠は古の鶴の字なり』と。地志に『黄鵠磯は今の楼乃ち黄鶴に作る』と」云云。和字彙に「黄鵠ツル」云云。 問う、鶴の色は初めは白し。一千年にして鶴毛は蒼なり。二千年にして黒し、所謂玄鶴なり。何ぞ「黄鵠」と云うや。 答う、是れ古事に由る故なり。 崔顥の詩に云く「昔人已に白雲に乗じて去る 此の地空しく余す黄鶴楼 黄鶴一たび去って復返らず 白雲千歳空しく悠悠」云云。 註に云く「江夏郡の辛氏、酒を沽りて業と為す。一の先生有り、藍縷にして座に入り、辛に謂いて云く『好酒有りや否や』と。辛、飲ましむるに巨盃を以てす。明日、亦来る。辛、索むるを待たず之を与う。此の如くすること半歳、辛、倦く意無し。一日、辛に謂いて云く『多く酒債を負う。銭の汝に酬ゆるもの無し』と。遂に小籃の橘皮を取り、壁に鶴を画いて云く『客来りて酒を飲む時、但手を拍ちて歌わしめば、其の鶴必ず舞わん。此を将て酒債に酬いん』と。後、客至る。其の言の如くするに、鶴果して蹁エンと舞う。(注:エンは足偏に「延」)良に音律に中る。橘皮を以て画く所為れば色は黄なり。人、之を黄鶴と謂う」。已下、之を略す。三体抄二の三初、往いて見よ。恐らくは此の古事に由りて「黄鵠」と云うか。 一 鶴の母・子安と鳴けば等文。 鶴は別して子を思うの鳥なるか。義楚の二十三・四十二に云く「六度経に云く昔雄鶴在り、三子を生む。時に国、大いに旱して子に与うるの食無し。乃ち自ら腋下の肉を取って三子に与う」等云云。 又広弘明集に云く「廬山の慧遠、未だ出家せざる時、鶴の雛を射る。其の母、悲しみに堪えずして死す。腹を破るに肝腸寸々に断つ。玆に因って菩提心を発し出家す」等云云。又鶴は鳥の中の君子なり。今川了俊、放鷹の游事を停むること、本朝語園二巻を往いて見よ。 一 鴆鳥・水に入れば等文。 本草綱目四十九・二十五に爾雅を引く。啓蒙云云。 一 天台云く等文。 止観六・五十六の文なり。「妙楽云く」とは、弘の六末八の文なり。 一 されば諸経にして等文。 此の下は妙用の具徳の中の第二、結前生後の文なり。 一 而るに正像(乃至)過ぎて等文。 此の下は妙法五字の具徳の中の大段第二、重ねて今昔を挙げて以て誡勧するなり。謂く、此の下の大意は、天台・伝教の釈を引いて重ねて今昔の意を挙げ、当世の女人を誡勧したもうが故なり。 所謂女人は法華経を離れて成仏すべからざるが故に、四十余年の経々を行ずべからず。但法華経の妙用のみ能く女人をして成仏せしむるが故に、但法華経を信じて南無妙法蓮華経と唱うべしとなり。是れ則ち誡勧の二門なり。夏逼り歳寒するが故に細科は之を略するのみ。 此の誡勧二門、別して当世の女人に約することは房州天津の伯母御前へ遣し給う御抄なるが故なり。彼の人は念仏の執情甚重なる人なり等云云。
by johsei1129
| 2016-02-23 20:51
| 日寛上人 御書文段
|
Trackback
|
Comments(0)
|
アバウト
カレンダー
カテゴリ
全体 御書 INDEX・略歴 WRITING OF NICHIREN 観心本尊抄(御書五大部) 開目抄(御書五大部) 撰時抄(御書五大部) 報恩抄(御書五大部) 立正安国論(御書五大部) 御書十大部(五大部除く) 日蓮正宗総本山大石寺 重要法門(十大部除く) 血脈・相伝・講義 短文御書修正版 御義口伝 日興上人 日寛上人 六巻抄 日寛上人 御書文段 小説 日蓮の生涯 上 小説 日蓮の生涯 中 小説 日蓮の生涯 下 LIFE OF NICHIREN 日蓮正宗関連リンク 南条時光(上野殿) 阿仏房・千日尼 曾谷入道 妙法比丘尼 大田乗明・尼御前 四条金吾・日眼女 富木常忍・尼御前 池上兄弟 弟子・信徒その他への消息 釈尊・鳩摩羅什・日蓮大聖人 日蓮正宗 宗門史 創価破析 草稿 富士宗学要集 法華経28品 並開結 重要御書修正版 検索
以前の記事
2025年 06月 2025年 04月 2025年 03月 2024年 10月 2024年 09月 2024年 08月 2024年 07月 2024年 06月 2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 01月 お気に入りブログ
最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
タグ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||