十 四 日
一 迹門等文。
此の下、正しく具徳を明かす、亦二。初めに題号に就いて明かし、次に「六万九千」の下は入文に就いて明かすなり。
一 迹門十四品の一妙・本門十四品の一妙文。
是れ略釈の意に依る。故に開権顕実を迹門の一妙と名づけ、開迹顕本を本門の一妙と名づくるなり。迹本二門の妙法は、其の名は同じと雖も其の義は天地水火なり。此に尽すべきに非ず、故に且く之を略するのみ。
「迹門の十妙、本門の十妙」とは、本迹倶に是れ正釈の意に依るなり。
「迹門の三十妙・本門の三十妙」とは、是れ開を判ずる二門の意に依る。謂く、正釈十妙の上に更に相待判麁の十妙、絶待開麁の十妙を加うる故に「迹門の三十妙」と云うなり。迹を以て本に例す、本門も亦爾なり。
「迹門の四十妙・本門の四十妙」とは、又本体の十妙の上に更に心法の十妙・仏法の十妙・衆生法の十妙を加うる故に「迹門の四十妙」と云うなり。迹を以て本に例す、本門も亦爾なり。
「観心の四十妙」とは即ち彼の観心の一科の意、四十妙の法に附して以て己心を観るなり。
問う、啓蒙等の意に云く、本迹各三十妙とは、是れ心・仏・衆生の三法妙に約す。本迹各四十妙とは、前の十妙及び三十妙を重ね合せて之を挙ぐ、故に四十妙と云うなりと云云。此の義は如何。
答う、此の義、大いに非なり。略して二失あり。一には待絶二妙を欠く失、二には四十妙の文に別体無きの失云云。然るに啓蒙、会して云く「妙名一唱、待絶倶時の故に別に之を論ぜず」云云。今謂く、既に待絶倶時の故に応に二妙を論ずべし。学者之を思え。待絶三法妙等は之を略す云云。
一 百二十重の妙なり文。
既に「妙」の一字に百二十重の妙の功徳を具するなり云云。故に一返の口唱の功徳は広大なり。三重の秘伝云云。
つづく
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