2016年 02月 05日
答う、如来の金言に随順す、是れを信順の義と名づくるなり。例せば沙石の第二・三に「藤の癭を尋ねて曽て失いし馬を得たるが如し」と。又愚案記第六・十九に「但天下泰平等の文を唱えて問答に勝利を得たるが如し」と。凡師の言を信順する、尚斯くの如し。況や如来の金言に信順せんをや。 十八史略第三・三に云く「後漢の光武、王良が兵に追わるる所と為って滹陀河に至る。候吏還って曰く『河水氷を流し船無くば渉る可からず』と。王覇之を視て衆を驚かすことを恐れ、還って即ち云く『氷堅し、渡る可し』と。遂に前みて河に至れば、氷亦合す。乃ち渡る。未だ数騎を畢えずして氷解く」云云。人の言に信順する、尚此の利有り。況や仏の言を信ぜんをや。 弘決の第一上六十八に云く「江南の愚直、他の言を信じて大河を渡る云云。仏の言く、信を執る則は尚能く生死の大海を度る。数里の川を渡ること、何ぞ奇とするに足らん」取意。 弘決の四末五十に云く「耆年の者有り。初始て出家し未だ識る所有らず。少き沙弥、戯れて云く『汝に初果を与えん』と。即ち毛毬を以て其の頂上に著けて語って云く『此れは是れ初果なり』と。信心を以ての故に、即ち初果乃至第四果を得たり」云云。林の三十六巻初の文に具なり。往いて見よ。少き沙弥の言に信順するすら尚以て是くの如し。況や如来の金言に信順せんをや。御書の三十八・二十一。 問う、疑無きを信と曰う義、如何。 答う、止観第四・五十六に三種の疑を明かす云云。弘の四末四十四に云く「疑に過有りと雖も然も須く思択すべし。自身に於ては決して疑うべからず。師法の二は疑いて須く暁むべし。若し疑わずんば或いは当に復邪師・邪法に雑るべし。故に当に熟く疑い、善く思い、之を択ぶべし。疑を解の津とすとは此の謂なり。師法已に正ならば、法に依って修行せよ。爾の時、三疑は永く須く棄つべし」等云云。 「自身に於ては決して疑うべからず」とは、凡そ真如の妙理に染浄の二法有り。染法は薫じて迷の衆生と成り、浄法は薫じて悟りの仏と成る。此の迷悟の二法異なりと雖も、真如の妙理は是れ一なり。譬えば水精の玉の日輪に向えば火を取り、月輪に向えば水を取るが如し。真如の妙理も亦復是くの如し。一妙真如の理なりと雖も、悪縁に遇えば迷いの衆生と成り、善縁に遇えば悟りの仏と成る。譬えば人の夢に種々の善悪の業を見て、覚めて後之を思うに、皆我が一心の見る所の夢なるが如し。我が一心は真如の一理の如し。夢中の善悪は即ち迷悟の如し。然れば則ち我が身は即ち是れ迷悟不二・生仏一体にして、真如の妙法蓮華経の全体なり。豈成仏せざらんや。故に「自身に於ては決して疑うべからず」と云うなり。 「師法の二は疑いて須く暁むべし」等とは、像法は既に去りぬ。今末法に約して文を借り之を消せん。謂く、宗々の祖師の所立は格別なり。或る師云く「教外別伝、不立文字。法華経は閑文字なり」と。或る師云く「一切経の中には浄土の三部経、末法に入りて機教相応して第一なり。法華経等は千中無一の雑行なり」と。或る師云く「大日経等は一切経の中の第一なり。法華経は第三の戯論なり」等云云。然るに如来の金言には「四十余年、未顕真実」「世尊は法久しくして後要ず当に真実を説きたまうべし」等云云。経文と諸師の所立と天地雲泥なり。何ぞ疑わざるを得んや。 又蓮師の末弟の流々も同じからず。或る師云く「本迹一致の南無妙法蓮華経」と。或る師云く云云。或る師云く云云。然るに蓮祖の妙判には、皆「本門寿量品の肝心たる南無妙法蓮華経」云云。蓮師の妙判と諸流の立義と水火の不同なり。豈疑わざるべけんや。故に「応に熟く疑い、善く思い、之を択ぶべし」と云うなり。 若し一代経の中には法華最第一、法華経の中には本門寿量の肝心・南無妙法蓮華経の五字七字、正法正師の正義に決定せば、此れに依って応に修行すべし。故に「師法已に正ならば、法に依って修行せよ」と云うなり。当に知るべし、正法正師決定せば、爾の時、疑なきことを信と云うなり。
by johsei1129
| 2016-02-05 22:21
| 日寛上人 御書文段
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