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日蓮大聖人『御書』解説

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2016年 02月 04日

法華経題目抄 文段三

十 五 日

一 問うて云く火火等

此の下は広く釈するに二。初めに正しく明かし、次に「(しか)るに今」の下は当世の(びゅう)()を破し、重ねて唱題の妙用(みょうゆう)を顕す。初めの正しく明かすに三。初めに唱題の妙能、次に「正直」の下は信心の勝徳、三に「(ぜん)(しょう)」の下は()(えら)び信を(たん)ず云云。

  「火火」等とは会疏(えしょ)十八・二十三、註に引く所の如し。東春一・十四、啓蒙(けいもう)に引く所の如し。又玄の五・二十に云く「水の性は冷ややかなるが(ごと)きも、飲まずんば(いずくん)ぞ知らん」等云云。

  答えの中の大意に云く、諸法は万差なり。一概(いちがい)なるべからず云云。

  大論二十五・二十に云く「問う、義と()れ名と合すとせんや、離すと為んや。若し合せば、火を説く時、(まさ)に口を焼くべし。若し離せば、火を説く時、水来るべし。答う、(また)合せず、亦離せず。(かり)(ため)に名を立て、以て諸法に名づく。後の人、此の名字に()()()()る」云云。此の文の意なり。  

一 師子の筋を琴の(いと)として

  華厳疏(けごんしょ)抄の七十八・二十二、止の一・五十一、註に引く所の如し。

一 梅子(うめのみ)()()を等

  (りょう)(ごん)経第二に云く「()(ばい)を談説すれば口中に水()ず」云云。梅林(かつ)(とど)む。祖庭事(そていじ)(えん)の第五巻、註に引く所の如し。又啓蒙の中に云云。又「滅除薬を(つづみ)に塗れば、則ち毒去り()()く」等の事は往生要集下三十二。  

一 小乗の四諦(したい)の名(ばか)り等

  今、便(たより)(ちな)みて名を称するの徳を示さん。謂く、(そう)の質直、()(ちょう)(りょう)、及び(よう)大眼(だいがん)の如し。天下(てんか)無双(むそう)の猛威の士なり。故に父母()の名を呼べば、則ち小児其の()くを()む云云。小児(あに)其の人を知らんや。

  道綽(どうしゃく)が論註の下四に云く「又人有って(いぬ)()まるるが如し。虎の骨を(あぶ)って之を()するに即ち()ゆ。或は時に骨無ければ、掌をひらいて之を()り、口の中に『虎来れ、虎来れ』と()ばわれば患者即ち()ゆ。又転筋(こむらがえり)(わずら)うに、木瓜(ぼけ)の枝を灸き之を()せば即ち愈ゆ。(あるい)は時に木瓜無ければ、手を炙って之を()り、口の中に『木瓜、木瓜』と呼ばわれば亦即ち愈ゆるなり」云云。此等の名すら(なお)此の徳あり。況や法華の御名(みな)をや。弘の三本初に云く「(もろもろ)の名は理に(のっと)りて立てたり。名(すで)に理に法る。理(また)名に()る。故に妙の名を()りて以て妙の理を(ときあか)す」云云。

一 鸚鵡(おうむ)なを天に生ず等

  鸚鵡は()(ものい)う鳥なり。(およ)そ鳥は四指なり。三は前に向い、一は(うしろ)に向う。此の鳥は両指後に向う。行く時は口を以て地を(ついば)み、(しか)る後に足(これ)に従うなり云云。亦新語園第七・二十三に、鸚鵡種々の事云云。正しく天に生まるる相は、賢愚(けんぐ)経第十一、註に引く所の如し。又(りん)の二十五・十三、往いて見よ。持誦及び生天は(しち)(へん)なり。之を思い合すべし。一反の功、(あに)(むな)しからんや。

一 三帰(さんき)(ばか)りを(たも)つ人大魚の難を()ぬかる

  大悲経、大論第七・四、註に引く所の如し。摩竭魚(まかつぎょ)の相、(しばら)く三説あり。一には華厳音義に云く「大いなる者は二百余里」云云。二には賢愚(けんぐ)経に云く「七百由旬」云云。即ち一万一千二百里なり。三には譬喩経に云く「身長(みのたけ)四十万里」云云。名義集二・五十の文は一向(いっこう)格別なり。

  又大論の中に「是の魚、先世には是れ仏の破戒の弟子、宿命(しゅくみょう)()を得る」とは、今案ずるに譬喩経に云く「昔沙門(しゃもん)有り。塔寺を造作す。(いま)だ成らざるの頃、五百の沙門遠方(えんぽう)より来る。五百の賢者有り。各各(おのおの)袈裟(けさ)被服(ひふく)を給与す。寺主の沙門云く『我が功徳積みて(しゅ)()の如し。而るに国人助けず。(ただ)(ちか)きを(いや)しみ、遠きを貴ぶ』と。便(すなわ)ち火を以て塔寺を焼き、(つい)に三悪に入り、後に大魚()って身長(みのたけ)四十万里、眼は日月の如く、(きば)の長さは二万里、白きこと雪山(せっせん)に似たり。舌の広きこと四万里、赤きこと火山に似たり。目の広さ五万里。時に五百人有り、海に入り宝を()る。正しく(これ)先身に五百の沙門に衣を給う者なり。因縁宿対」等云云。当に知るべし、亦()の非法の国主等、多く此の(むくい)を受くるなり。賢愚経に云く「諸王大臣、自ら勢力を(たの)み、()げて百姓を()めん。殺戮(せつりく)無辺なり。命終(みょうじゅう)して多く摩竭(まかつ)大魚に()つ」等云云。一覧の四・二十五。林の三十・六紙。


つづく


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by johsei1129 | 2016-02-04 20:58 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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