2016年 01月 30日
一 二には本門の戒壇文。 本門の戒壇に事有り、理有り。理は謂く、道理なり。亦義の戒壇と名づけん。謂く、戒壇の本尊を書写して之を掛け奉る処の山々寺々家々は皆是れ道理の戒壇なり。当に知るべし「此の処は即ち是れ道場」等云云。 次に事の戒壇とは即ち富士山天生原に戒壇堂を建立するなり。 外の十六・四十一に御相承を引いて云く「日蓮一期の弘法、白蓮阿闍梨日興に之を付嘱す、本門弘通の大導師たるべきなり、国主此の法を立てらるれば富士山に本門寺の戒壇を建立せらるべきなり、時を待つべきのみ、事の戒法と云うは是なり、就中我が門弟等此の状を守るべきなり」云云。重重の道理あり。予が文底秘沈抄の如し。 一 一同に他事をすてて南無妙法蓮華経と唱うべし文。 第三には本門の題目に必ず信行を具す。信は是れ行の始め、即ち本因妙。行は是れ信の終り、即ち本果妙。是れ則ち刹那の始終、一念の因果なり。弘の一上に云く「理に依って信を起す。信を行の本と為す」文。記の九末に云く「一念信解とは即ち是れ本門立行の首」云云。豈刹那の始終に非ずや。 寿量品に云う「一心に仏を見たてまつらんと欲して」とは是れ信心なり。「自ら身命を惜しまず」とは是れ修行なり。 神力品に云う「応当に一心に」とは是れ信心なり。「受持、読、誦」とは是れ修行なり。 持妙法華問答抄に「須く心を一にして南無妙法蓮華経と我も唱へ他をも勧んのみこそ今生人界の思出なるべき」云云。 「心を一にして」とは信心なり。「南無妙法蓮華経と我も唱へ他をも勧ん」とは修行なり。 寿量品の「色香美味」とは「色」は是れ戒壇、「香」は是れ本尊、「美味」は是れ題目なり。「美」は是れ信心なり。「味」は是れ修行なり。若し本門の本尊を信ぜずして唱え行ずるは美からざる味なり。又「是の好き良薬」とは本門の本尊なり。「今留めて此に在く」とは本門の戒壇なり。「汝取って服すべし」とは本門の題目なり。「取る」は是れ信心なり。「服す」は是れ修行なり。若し本門の本尊を信ぜずして唱え行ずるは、取らずして服するなり。故に知んぬ、設い題目を唱うと雖も、若し本門の本尊を信ぜずして唱え行ずるは、但是れ宝山の空手なり。 故に法蓮抄に云く「信なくして此の経を行ぜんは手なくして宝山に入り、足なくして千里の道を企つるが如し」云云。 故に専ら本門の本尊を信じて之を唱え行ずべきなり。 当体義抄に「日蓮が一門は乃至当体蓮華を証得して常寂光の当体の妙理を顕す事は本門寿量の教主の金言を信じて南無妙法蓮華経と唱うるが故なり」云云。 故に今文に「他事をすてて」とは是れ信心なり。「南無妙法蓮華経と唱う」とは修行なり。 故に若し三大秘法を合する則は一大秘法なり。若し開く則は六大秘法なり。然るに常には三大秘法と云うは、広くする則は智をして退かしめ、略すれば即ち意周からざる故に、処中に説いて三大秘法と云うなり。
三月二十八日
一 例せば風に随って波の大小あり文。 此れは蓮祖の慈悲広大の故に万年の外に至るを顕さんが為なり。先ず例を引く。謂く、風大なれば波大なり。日蓮が慈悲広大ならば、妙法は万年の外流布せんと云云。一々の例、皆此の意なり。 当に知るべし、上には三箇の秘法を明かし、此の下は蓮祖の三徳を明かす。初めに親徳、又二。初めに例を引き、「日蓮が慈悲」の下は正しく親徳なり。「日本国の一切衆生の盲目をひらける」とは師の徳なり。「無間地獄の道をふさぎぬ」とは主君の徳なり。道路の通塞、豈能く所従の堪える所ならんや。 凡そ主師親の三徳を本尊と為すべしとは、諸抄の明文、皎として目前に在り。然るに上に本因妙の教主釈尊を本尊と為すべしと明かし已って即ち自身の三徳を明かしたもう。故に知んぬ、本因妙の教主釈尊とは、豈蓮祖聖人に非ざらんや。故に知んぬ、上に「本門の教主釈尊」と云うは本因妙の教主なること転た以て分明なり。当流の深義、諸流の及ぶ所に非ず。仰いで之を信ずべし。伏して之を思うべし云云。 一 極楽百年等文。 蓮師の天台等に勝れたまえるは、但是れ時に由ることを明かすなり。
by johsei1129
| 2016-01-30 15:33
| 日寛上人 御書文段
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