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日蓮大聖人『御書』解説

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2016年 01月 27日

報恩抄文段 下二九  若(も)し三箇の秘法を合すれば、但(ただ)是れ一大秘法なり。一大秘法とは即ち本門の本尊なり。


一 本門の教主等

 三()の秘法(なら)びに本門と云うは、即ち是れ本門寿量(じゅりょう)文底(もんてい)の秘法なり。故に本門三箇の秘法と云うなり。

 故に開目抄に云く「本門・寿量品の文の底に秘ししづめたり」と云云。一致門流、此の本門の言を()するに五義あり。(みな)是れ曲会(こくえ)私情(しじょう)なり。

 一には(いわ)く、本迹(ほんじゃく)一致の妙法なれども、(すで)()(じょう)の釈尊の所証(しょしょう)なり。故に本門と云うなりと。

 (なん)じて云く、既に久成の仏の所証なり。(あに)本門の妙法に(あら)ずや。

 二には謂く、本迹一致の妙法なれども、本門神力品(じんりきほん)に於て之を()(ぞく)す。故に本門と云うなりと。

 難じて云く、既に寿量の妙法を以て(これ)を付嘱す。故に本門の妙法と云う。何ぞ付嘱の場所に約せん。

 三には謂く、本迹一致の妙法なれども、既に本化(ほんげ)の菩薩之を弘む。故に本門の妙法と云うなりと。

 難じて云く「法()()(じょう)の法なるが故に、久成の(にん)に付す」云云。故に知んぬ、法是れ本門の妙法なるが故に、本化の菩薩之を弘む。何ぞ本迹一致と云わんや。諌迷(かんめい)十・六十七云云。

 四には(いわ)く、本迹一致の妙法なれども、迹化(しゃっけ)迹門(しゃくもん)弘通(ぐつう)に対して、本化弘通の規模(きも)(あらわ)さんが(ため)に本門と云うなりと云云。

 難じて云く、()(しか)らば、(なんじ)は本化弘通の規模を(かく)さんと(ほっ)して本迹一致と云うや。決疑の上十二。

 五には謂く、本迹一致の本迹は本家(ほんけ)の迹にして、一部(ただ)本なり。故に本門と云う云云。

 難じて云く、若し(あた)えて之を論ぜば、(すで)に一部(ただ)本と云う。(あに)本門の妙法に(あら)ずや。何ぞ本迹一致と云わん。若し(うば)って之を論ぜば、一部も(また)是れ(ただ)迹なり。即ち是れ迹中の所説(しょせつ)なるが故なり。若し此の義に()らば、(まさ)に迹門の三大秘法と云うべけんや。啓蒙(けいもう)二十・三十四。

  三箇の秘法開合(かいごう)の事

 ()し三箇の秘法を(がっ)すれば、(ただ)是れ一大秘法なり。一大秘法とは即ち本門の本尊なり。

 太田抄二十五・十に云く「大覚(だいかく)()(そん)末法を(かんが)みたまいて、一大秘法を(とど)め置きたまえり。()の時に大覚世尊、寿量品(じゅりょうほん)を演説して四大菩薩に付嘱したまう。所謂(いわゆる)妙法蓮華経の五字、名体宗用(みょうたいしゅうゆう)(きょう)五重(ごじゅう)(げん)なり。四大菩薩は(ただ)()の一大秘法を持して本処(ほんじょ)(いん)(きょ)する(のち)正像(しょうぞう)に於て一度も出現せず。仏、末法の時に限って此等の大士に付嘱(ふぞく)し給う故なり」略抄と。

 妙法の五字を図顕(ずけん)すれば、即ち是れ本門の本尊なり。本尊(じょ)(じゅう)(ところ)は即ち是れ戒壇(かいだん)なり。本尊を信行(しんぎょう)するば、即ち是れ本門の題目(だいもく)なり。故に略して妙法の五字を()げ、(つぶさ)に三箇の秘法を摂したもうなり。故に合する(とき)は一大秘法なり。寿量品に「()大良薬(だいろうやく)は、色香(しきこう)美味(みみ)、皆(ことごと)具足(ぐそく)せり」と云うは是れなり。

 「此の大良薬」とは、総じて一大秘法の妙法五字を()ぐるなり。「色香美味」とは、別して三箇の秘法を(ふく)むなり。(いわ)く、(しき)は是れ戒壇なり。故に文の九・六十二に云く「色は是れ戒に(たと)う。事相(じそう)(しょう)(けん)なり」文。香は是れ本尊即ち大曼荼羅(だいまんだら)なり。義釈の四・十に云く「()れ曼荼羅とは功徳(くどく)聚集(じゅしゅう)と名づく。今、如来真実の功徳を(もっ)て、集めて一処に()く故に」文。天台(てんだい)云く「香は(じょう)に譬う。功徳の香、一切(いっさい)(くん)ず」文。(すで)に香を定に譬う。定は即ち功徳なり。功徳聚集は即ち是れ曼荼羅なり。美味は是れ題目なり。故に天台云く「味は()に譬う。理味(りみ)を得るなり」文。

 当体義抄二十三・二十四に云く「(しか)るに日蓮が一門は乃至当体(とうたい)蓮華(れんげ)証得(しょうとく)して(じょう)寂光(じゃっこう)の当体の(みょう)()(あらわ)す事は本門寿量(じゅりょう)教主(きょうしゅ)金言(きんげん)を信じて南無妙法蓮華経と(とな)うるが故なり」文。

 「常寂光の当体の妙理を顕す」とは即ち理味を得るなり。題目(あに)理味を得るに非ずや。()くの如く三箇の()(のう)は妙法蓮華経の五字に()(そく)す。故に「()大良薬(だいろうやく)は、色香美味、皆(ことごと)く具足せり」と云うなり。



報恩抄文段下 目次



by johsei1129 | 2016-01-27 22:09 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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