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日蓮大聖人『御書』解説

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2016年 01月 09日

報恩抄文段 下八


一 問て云く涅槃(ねはん)経の文等

  此の下は次に起後(きご)、亦二と為す。初めに問、次に答、亦三と為す。初めに二経の勝劣(しょうれつ)を判じ、次に「(しか)るを涅槃宗」の下は邪計を破し、三に「涅槃経を読むと申すは」の下は正当(しょうとう)なり。

文に云う(みょう)(らく)大師云く」とは、記の三の下二十の文なり。

文に云う「大経と申すは涅槃経なり」とは大般(だいはつ)涅槃を略して「大経」と云う。例せば大智度論(だいちどろん)を略して大論と云うが如し。(しか)るに大と云うは能歎(のうたん)(ことば)なり。故に玄の二・三十七に云く「大経に云く『大を不可思議と名づく。(たと)えば虚空(こくう)の小空に()って名づけて大と()さざるが如し。涅槃も亦(しか)なり』と」云云。故に浄家(じょうけ)の、弥陀の小経に対して(そう)(かん)経を以て名づけて大経とするには同じからざるなり。

文に云う「涅槃経には法華経を(ごく)と指して候なり」とは、涅槃経は所従の如く、下臈(げろう)の如し。法華経は主君の如く、上臈(じょうろう)の如し。故に「極」と云うなり。

文に云う「下()を上()」等とは、顕謗法抄十二・三十に云く「上郎・下郎不定(ふじょう)なり。田舎(いなか)にては百姓・(ろう)(じゅう)等は(さむらい)を上郎と云ふ、洛陽(みやこ)にしては、源平等(げんぺいら)已下(いげ)を下郎といひ、三家(さんけ)を上郎といふ」と云云。「三家」とは、中院(なかのいん)閑院(かんいん)華山院(かざんいん)なり。所詮、所望(しょもう)不同なり。

文に云う涅槃(ねはん)経をよむと申すは法華経をよむを申すなり」とは、此の下は正答。文意(もんい)に云く、故に涅槃経の行者(ぎょうじゃ)と申すは法華経の行者の事なり。涅槃経を信ずると申すは法華経を信ずる事なりと云云。言う所の「よむ」とは、即ちこれ講読(こうどく)讃歎(さんだん)なり。例せば玄義を読み、御書を読む等の如し。

問う、涅槃経を読まずして、(ただ)法華経を読むを即ち涅槃経を読むと名づくるや。

答う、(しか)らず。涅槃経を読まん時に法華経を讃歎すれば、(すなわ)ち涅槃経の意に(かな)う。故に実に是れ涅槃経を読むなり。涅槃経は臣下(しんか)の如く、法華経は(しょう)(おう)の如し。(たとえ)の文を見るべし。

孝経に云く「()の父を(うやま)えば則ち子(よろこ)ぶ。兄を敬えば則ち弟悦ぶ。其の君を敬えば則ち臣悦ぶ」等云云。例せば竜樹(りゅうじゅ)天台(てんだい)等の講読の如し。竜樹菩薩、般若経(はんにゃきょう)を講読して云く「般若は秘密に(あら)ず、法華は()れ秘密」等云云。然るに般若経の賢人は法華経の国主を重んずる者をば「我を・()ぐれども悦ぶなり」。

天台大師は方便(ほうべん)品を講読する時、方便品の題号を釈するに、三種の方便、四句の(ごん)(じつ)()四句の中の(また)権の一半を開して、(じっ)(そう)の権実を明かす。此の十双の権実に()いて八門の解釈あり。其の中の(さき)七門の意は、権実相対して()(ぜん)の諸経を法用(ほうゆう)能通(のうつう)()()の方便と名づけ、(ただ)法華を(もっ)()(みょう)自行(じぎょう)方便と名づく。是れは爾前を下して但法華を(さん)するなり。第八門の意は本迹(ほんじゃく)相対して爾前・迹門を通じて法用・能通化他の方便と名づく。(ただ)本門寿量を以て秘妙自行の方便と名づく。是れ迹門を下して但本門を讃するなり。

(しか)るに迹門の賢人(けんじん)は本門の国主を重んずる者をば「我を・さぐれども悦ぶなり」。涅槃経も亦(しか)なり。涅槃経は残党(ざんとう)の如く、法華は大陣を破るが如し。法華は秋に(おさ)め冬に(ぞう)するが如く、涅槃経は(くん)(じゅう)如し。法華は主君の如く、涅槃経は臣下(しんか)の如し。故に涅槃経の賢人は法華の国主を重んずる者をば「我を・()ぐれども悦ぶなり」。文に云う「我を・()ぐれども悦ぶなり」とは、(ある)いは云く「避」の字なり云云。(ある)いは云く「下」の字なり。

大江(おおえの)匡衡(まさひら)の詩に云く「(すす)んで(かみ)まに(のぼ)()がることは持戒に()(しりぞげ)いて(しも)ざまに(くだ)()がることは破戒に依る」文。()し此の義に(じゅん)ぜば、次の文に「涅槃(ねはん)経は法華経を下げて」等と云うをも「法華経を()げて」等とよむべし。(しか)れば涅槃経の賢人(けんじん)は、法華経の主君を下げて我を()むる人をば、(あなが)ちに敵と(にく)ませ給うぞとなり。


                       つづく
報恩抄文段下 目次



by johsei1129 | 2016-01-09 13:20 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)
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