2019年 10月 25日
【其中衆生御書】 ■出筆時期:建治元年(1275) 五十四歳御作。 ■出筆場所:身延山中 草庵にて。 ■出筆の経緯:本書の前後が伝えられておらず 対告衆の詳細は不明ですが、法華経及び天台の釈を引用し三千塵点、五百塵点を論じていることから推察すると、法華経への理解の深い強信徒に送られた書と思われます。 大聖人は本書で「(阿弥陀等の)十方の諸仏は養父、教主釈尊は親父なり」と断じるとともに「今七宗八宗等の悪師に遇ふて法華を捨てるの間・今に五百塵点を歴たり<中略>天台云はく「若し悪友に値へば則ち本心を失ふ」と、厳しく諭されておられます。 ■ご真筆:現存しておりません。 【其中衆生御書 本文】 「其の中の衆生は悉く是吾が子なり。而も今此の処は諸の患難(げんなん)多し。唯我一人のみ能く救護を為す」等云云。 此の経文は釈尊は三義を備へ、阿弥陀等の諸仏は三義欠けたり。此の義・前々の如し。但し唯我一人の経文は小乗経の語にも非ず、諸大乗経の帯権赴機(たいごんふき)の説にも非ず、多宝十方の仏の証明を加へし金言なり。今の念仏者等の賢父の教言なり、明王の奉詔(ほうしょう)なり、聖師の教訓なり。三義に背き・二十逆罪を犯し・入阿鼻獄の人と成る事・悲しむべし悲しむべし。是は法華経の初門の法門なり。次第に深く之を説かん云云。 迹門には三千塵点已来、娑婆世界の衆生は阿弥陀等の諸仏に棄てられ畢んぬ。化城喩品に云はく「爾の時に聞法の者、各の諸仏の所に在り・乃至是の本因縁を以て今法華経を説く」云云。此くの如き経文は文に云はく「娑婆世界の衆生は過去三千塵点已来、一人として阿弥陀等の十方の十五仏の浄土へは生まるゝ者之(これ)無し」と。 天台云はく「旧に西方を以て、以て長者を合す。今は之を用ひず。西方は仏別にして縁異なり、仏別なるが故に隠顕の義成ぜず。縁異なるが故に子父の義成ぜず。又此の経の首末に全く此の旨無し。眼を閉ぢて穿鑿(せんさく)す」と。 妙楽云はく「西方等とは宿昔(しゅくせき)の縁・別にして化道同じからず。結縁は生の如く、成熟(じょうじゅく)は養の如し。生養の縁・異なれば子父成ぜず」等云云。此くの如きの文は十方の諸仏は養父、教主釈尊は親父なり。 天台に多くの釈有りと雖も此の釈を以て本と為すべし。所々に弥陀を讃むる事は且(しばら)く依経による。例せば世親等の阿含経を讃めたるが如し。 本門を以て之を論ずれば五百塵点已来・釈尊の実子なり。然りと雖も或は世間に著して法華を捨て、或は小乗権大乗経に著して法華経を捨て、或は迹門に著して本門を知らず、或は当説に著して法華を捨て、或は十方の浄土に心を懸け、或は弥陀の浄土に心を懸ける等。 今七宗八宗等の悪師に遇ふて法華を捨てるの間、今に五百塵点を歴(へ)たり。涅槃経の二十二に云はく、天台云はく「若し悪友に値へば則ち本心を失ふ」と。 疑って云はく、本迹二門の流通たる薬王品に弥陀の浄土を勧めたり如何。 答へて云はく、薬王品の弥陀は爾前迹門の弥陀に非ず。名同体異是なり。無量義経に云はく「言辞是一にして而も義は別異なり」云云。妙楽云はく「須臾も観経等を指さざるなり」と。一切之を以て知るべし。 所詮、発起影向(ほっき・ようごう)等の深位の菩薩は十方の浄土より娑婆世界へ来たり、娑婆世界より十方浄土へ往く。 (これ以降の文は残されておられません。) 【妙法蓮華経 譬諭品第三】 今此三界 皆是我有 其中衆生 悉是吾子 而今此処 多諸患難 唯我一人 能為救護 雖復教詔 而不信受 於諸欲染 貪著深故 是以方便 為説三乗 令諸衆生 知三界苦 開示演説 出世間道 是諸子等 若心決定 具足三明 及六神通 有得縁覚 不退菩薩 汝舎利弗 我為衆生 以此譬諭 説一仏乗 汝等若能 信受是語 一切皆当 得成仏道 [和訳] 今此の三界は、皆是れ我有なり。其中の衆生は悉く是れ吾が子なり。 而して今、此の処は諸の患難(げんなん)多く、唯我(仏)一人のみ能く救護せん。 復、教詔すと雖も、而して信受せず。諸の欲染に於いて深く貪著する故なり。 是を以って、方便にて三乗を説き、諸の衆生をして、三界の苦を知らしめ、 出世間の道を開き示し演説するなり。是れ諸の子等、若し心決定するならば、 三明及び六神通を具足し、縁覚と不退の菩薩(菩薩から退く事がない境涯)を得ること有るなり。 汝、舎利弗よ。我、衆生の為に此の譬諭を以て一仏乗を説き、 汝等、若し能く是の語を信受せば、一切皆、当に仏道を成ずることを得るべし。
by johsei1129
| 2019-10-25 22:12
| 弟子・信徒その他への消息
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