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日蓮大聖人『御書』解説

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2019年 11月 03日

冬の身延ですごす大聖人を思いやり、棉入りの小袖を供養された大田入道の妻を称えられた消息【太田殿女房御返事】

【太田殿女房御返事】
■出筆時期:建治三年(1277年)十一月十八日 五六歳御作
■出筆場所:身延山中の草庵にて。
■出筆の経緯:本抄は、太田入道の妻が大聖人に当時では貴重な十両(銭六十貫以上に相当)に及ぶ棉入の小袖を供養されたことへの返書となっております。本抄を記されたのは現在の十二月末頃で、太田入道の妻は身延の厳しい冬を過ごされている大聖人を思いやって十両もの綿が入った小袖を供養されたと思われます。

大聖人は「憍曇弥(きょうどんみ)と申せし女人は、仏にきんばら衣をまいらせて、一切衆生喜見仏となり給ふ」と、仏伝の謂れを示すとともに、大田入道の妻の志について「今法華経に衣をまいらせ給ふ女人あり。後生には八寒地獄の苦をまぬがれさせ給ふのみならず、今生には大難をはらひ、其の功徳のあまりを男女のきんだち、きぬにきぬをかさね、いろにいろをかさね給ふべし」と称えられておられます。
■ご真筆:現存しておりません。

【太田殿女房御返事 本文】

 柿(柳)のあをうら(青裏)の小袖、わた十両に及んで候か。
此の大地の下に二つの地獄あり。一には熱地獄。すみ(炭)ををこし、野に火をつけ、せうまう(焼亡)の火、鉄(くろがね)のゆ(湯)のごとし。罪人のやくる事は、大火に紙をなげ、大火にかなくづ(木屑)をなぐるがごとし。この地獄へは、やきとり(焼取)と、火をかけてかたきをせめ、物をねたみて胸をこがす女人の堕つる地獄なり。二には寒地獄。此の地獄に八あり。

涅槃経に云はく「八種の寒氷地獄あり。所謂阿波波地獄・阿吒吒(あたた)地獄・阿羅羅地獄・阿婆婆地獄・優鉢羅(うはら)地獄・波頭摩(はずま)地獄・拘物頭(くもず)地獄・芬陀利(ふんだり)地獄」云云。此の八大かん地獄は、或はかんにせめられたるこえ(声)、或は身のいろ等にて候。此の国のすは(諏訪)の御(み)いけ、或は越中のたて(立)山のかへし、加賀の白山(しろやま)のれい(嶺)のとり(鳥)のはね(羽)をとぢられ、やもめをうな(寡婦)のすそ(裾)のひゆる、ほろゝ(雉子)の雪にせめられたるをもてしろしめすべし。

かん(寒)にせめられて、をと(頤)がいのわなめく等を阿波波・阿咤・阿羅羅等と申す。
かん(寒)にせめられて、身のくれないににたるを紅蓮・大紅蓮等と申すなり。いかなる人の此の地獄にをつるぞと申せば、此の世にて人の衣服をぬすみとり、父母師匠等のさむげなるをみまいらせて、我はあつくあたゝかにして昼夜をすごす人々の堕つる地獄なり。

六道の中に天道と申すは、其の所に生ずるより衣服とゝのをりて生まるゝところなり。人道の中にも商那和修・鮮白比丘尼等は悲母の胎内より衣服とゝのをりて生まれ給へり。是はたうとき人々に衣服をあたへたるのみならず、父母・主君・三宝にきよ(清)くあつ(厚)き衣(きぬ)をまいらせたる人なり。商那和修と申せし人は、裸形なりし辟支仏に衣(きぬ)をまいらせて、世々生々に衣服身に随ふ。

憍曇弥と申せし女人は、仏にきんばら衣(え)をまいらせて、一切衆生喜見仏となり給ふ。今法華経に衣(きぬ)をまいらせ給ふ女人あり。後生には八寒地獄の苦をまぬがれさせ給ふのみならず、今生には大難をはらひ、其の功徳のあまりを男女のきんだち、きぬ(衣)にきぬをかさね、いろ(色)にいろをかさね給ふべし。
穴賢穴賢。

十一月十八日               日 蓮 花押
太田入道殿女房御返事



 


by johsei1129 | 2019-11-03 22:34 | 大田乗明・尼御前 | Trackback | Comments(0)
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