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日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 12月 21日

報恩抄文段 上十七 久遠元初の本仏を貴ばざるは、是れ内智を貴ばざる故なり


一 其の後則天(そくてん)皇后(こうごう)

  此の下は次に華厳宗(けごんしゅう)、亦三と為す。始めに立宗の来由(らいゆ)、次に「()の宗」の下は一代(いちだい)(はん)(ぎょう)、三に「南北」の下は今師の対判。

 文に云う「法蔵(ほうぞう)法師と申す人」とは、

  問う、何ぞ()(じゅん)智儼(ちごん)と云わざるや。

  答う、法蔵の時に此の宗(さか)んなる故に、(いわん)(また)法蔵は、実叉(じっしゃ)難陀(なんだ)(とも)に新華厳を訳出(やくしゅつ)せる故なり。

一 此の宗は華厳経をば根本(こんぽん)法輪(ほうりん)・法華経をば枝末法輪と申すなり。

  此の下は次に一代判教なり。(しか)るに此の義は(もと)()(じょう)(しょ)(りゅう)なり。故に処元(しょげん)随釈の五・二十二に云く「嘉祥、三種の法輪を(もっ)て一代教を釈す。一には華厳を以て根本法輪と為す。二には阿含(あごん)等を以て()(まつ)法輪と為す。三には法華を以て(しょう)末帰本(まつきほん)の法輪と為すなり。(のち)、天台に()して、(おのれ)の所立の()ることを知り、()の故に心に帰して(もと)の所学を捨つ。(しか)るに華厳宗は人の捨つる所を(ひろ)い、(めずら)しとして至宝(しほう)と為す。(まこと)に笑う可し」等云云。「南北」の下は今師(こんし)の対判。見るべし。

一 ()の後玄宗(げんそう)皇帝等

  此の下は三に真言宗、亦四と為す。初めに真言西来(さいらい)、次に「此の三人」の下は貴賤(きせん)尊敬(そんぎょう)、三に「此の人人」の下は一代判教、四に「此の由」の下は邪宗(こう)(じょう)

一 ()の三人等

  此の(しも)は次に貴賤尊敬を示す、亦二と()す。初めに所以(ゆえん)を示し、次に「天子」の下は結示。 

  初めの所以を示すに、亦四あり。初めに近きを(いや)しみ遠きを(とうと)ぶに()る、二に法を貴ばず()(じょう)を貴ぶに由る、三に内智を貴ばず外相(げそう)を貴ぶに由る、四に(ふる)きを捨てて新しきを取るに由るなり。

  初めの文に云う「此の三人は(がっ)()の人」とは、是れ近きを賤しみ遠きを貴ぶが故なり。文選(もんぜん)三十一・十二に云く「又遠きを貴び、近きを賤しむは人の常の情、耳を(おも)んじ目を(かろ)んずるは(ぞく)(つね)(へい)なり」等云云。(にわとり)は五徳を(そな)え、忍冬(にんどう)は諸薬に勝る。(しか)りと(いえど)も人(これ)を賤しむは由来(ゆらい)近きが故なり。之を思え。(注:忍冬。植物でスイカズラのこと。抗菌作用や解熱作用があるとされる)

  次の文に云く「種姓も高貴」とは、是れ法を貴ばず種姓を貴ぶが故なり。涅槃(ねはん)経第二十一に云く「正法の所に於て法師(ほっし)の種姓を()ること(なか)れ」と云云。止観(しかん)第四に云く「上聖の大人(だいにん)()の法を取って人を取らず」等云云。

然るに世人(せじん)、多く其の法を貴ばずして其の種姓を論ず。例せば諸宗の、(れん)()の種姓を軽んずるが如し云云。

  三の文に云う「人()らも漢土(かんど)の僧ににず」とは、是れ内智を貴ばず外相(げそう)を貴ぶが故なり。

  法蓮抄十五・三に云く「愚人(ぐにん)の正義に(たが)うこと昔も今も(ことな)らず。然れば(すなわ)ち迷者の習ひ、外相のみを貴んで内智を貴ばず。多く仏を捨てて提婆(だいば)に付きし(これ)なり」(注:この御文、御書に拝せず。録内十五・三)云云。

  諸門の(やから)色相(しきそう)荘厳(しょうごん)(しゃく)(ぼぶつ)を貴ぶは、是れ外相を貴ぶ故なり。久遠元(くおんがん)(じょ)の本仏を貴ばざるは、是れ内智を貴ばざる故なり。

  四の文に云う「法門乃至(ないし)印と真言」等とは、是れ旧きを捨てて新しきを好む故なり。

  本尊抄八・十四に云く「(あるい)は遠きを貴んで近きを(さげす)みし、或は旧を捨てて新を取り、魔心・()(しん)出来(しゅったい)す」と云云。

  当世の風俗(ふうぞく)、多く古法を捨てて新法を好むなり云云。此等の人情は古今一同なり。然るに今、()()()(そく)せる故に貴賤(きせん)(これ)を敬うなり。



                    つづく

報恩抄文段上 目次



by johsei1129 | 2015-12-21 21:42 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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