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日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 12月 18日

報恩抄文段 上十三


第五段 像法正師の弘通と怨嫉



一 像法に入つて五百年等

 此の下は次に像法の弘通怨嫉(ぐつうおんしつ)、亦二あり。初めに漢土(かんど)天台(てんだい)、次に日本の伝教(でんぎょう)。初めの漢土の天台、亦二と()す。初めに(まさ)しく大師の()(きょう)に約し、次に大師の滅後に約す。初めの大師の弘経に約すを亦二と為す。初めに総標(そうひょう)、次に「天台()(ぜん)」の下は釈。

 文に云う「像法に入つて五百年」等とは、天台大師は像法に入って四百八十七年に誕生(たんじょう)し、五百四十六年に入滅なり。故に「五百年」と云うなり。

一 天台()(ぜん)の百千万の智者等

 此の下は次に釈、亦二と為す。初めに前代流布(るふ)光宅(こうたく)の迷乱を示し、次に「(ほう)(うん)法師・御死去(ごしきょ)」の下は天台弘通の正判(しょうはん)を明かす。初めに前代流布の光宅の迷乱を示すに、亦三と為す。初めに(ひょう)、次に「()の人」の(しも)は釈、三に「法華経の(しょ)」の下は結。

 文に云う「所謂(いわゆる)南三(なんさん)(ほく)(しち)なり」とは、

初めに「南三」とは三師(こと)なりと雖も大綱(たいこう)は一同なり。(いわ)く、(とん)(ぜん)不定(ふじょう)の三教なり。頓は謂く華厳(けごん)。漸は謂く鹿(ろく)(おん)乃至涅槃(ねはん)経なり。不定は謂く勝曼(しょうまん)経・(こん)光明(こうみょう)経等なり。是れ通用(つうゆう)の教相なり。其の中の(ぜん)(きょう)に三師の異義あり。

一には三時の教を立つ。所謂、一には有相(うそう)(きょう)(すなわ)阿含(あごん)。二には無相(むそう)教、般若(はんにゃ)(ほう)(とう)・法華経なり。三には常住(じょうじゅう)(きょう)(すなわ)涅槃(ねはん)経なり。

二には四時の教を立つ。三時は(さき)の如し。彼の無相教の中より法華を開出して、万善(まんぜん)同帰(どうき)(きょう)と名づく。

三には五時の教を立つ。四時は(さき)の如し。()の無相教の中より浄名(じょうみょう)等の方等経を開して、抑揚(よくよう)(きょう)と為すなり。是れ(すなわ)上定(じょうじょう)林寺(りんじ)(そう)(にゅう)()()道場寺の()(かん)(しょ)(りゅう)にして、(かい)(ぜん)光宅等の用うる所なり。

次に「北七(ほくしち)」とは、

四には亦五時の教を立つ。さらに提謂(だいい)を取って人天(にんでん)(きょう)()す。(ほう)(とう)般若(はんにゃ)を合して、(ただ)無相教と為すなり。此の第四の師も(また)(とん)(ぜん)不定(ふじょう)を用う、南方の如くなり。

五には阿含(あごん)半字(はんじ)(きょう)と為し、其の余を満字(まんじ)(きょう)と名づくるなり。

六には四宗と為す。一には因縁宗(いんねんしゅう)、二には仮名(けみょう)(しゅう)、三には誑相(おうそう)(しゅう)、四には(じょう)(しゅう)

七には五宗と為す。四宗は前の如し、更に華厳を指して法界(ほうかい)(しゅう)と為す。

八には八宗と為す。さらに法華を指して真宗と名づけ、大集(だいつ)(きょう)を円宗と名づく。

九には二種の大乗を明かす。一には有相(うそう)の大乗。謂く、華厳・瓔珞(ようらく)大品(だいぼん)等なり。二には無相の大乗。楞伽(りょうが)思益(しやく)等なり。

十には一音(いっとん)(きょう)なり。

是れ「南三北七(なんさんほくしち)」の十流なり。(つぶさ)には玄の十七紙已下の如し。

 文に云う「十流ありしかども一流をもて(さい)とせり」とは、玄の二・六に云く「古今の諸釈、世に光宅を以て長と為す。(いま)光宅を難ず、余は(ふう)を望む」と文。此の文意なり。

                   
                   つづく


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by johsei1129 | 2015-12-18 07:03 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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