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日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 12月 10日

報恩抄文段 上六  邪法を退治するを報恩と云い、正法を弘通するを謝徳と云う

  
  第三段 一代諸経の勝劣を判ず

一 かくのごとく存して等

 次に此の(しも)は正しく報恩(ほうおん)要術(ようじゅつ)を明かす、(また)二と()す。初めに邪法(じゃほう)退治(たいじ)するは(すなわ)ち是れ報恩なることを明かし、次に「問うて云く、法華経」下巻二十四丁の下は、正法(しょうぼう)()(つう)するは即ち是れ(しゃ)(とく)なることを明かすなり。

 問う、報恩の要術、其の意は如何(いかん)

 答う、不惜(ふしゃく)身命(しんみょう)を名づけて要術と為す。(いわ)く、身命を()しまず邪法を退治し、正法を弘通すれば、即ち一切(いっさい)の恩として(ほう)ぜざること()きが故なり。

 初めの謗法(ほうぼう)呵責(かしゃく)するは即ち是れ報恩なることを明かす文、亦二と為す。初めに略して一代諸経の勝劣(しょうれつ)を判じ、次に「問うて云く、華厳(けごん)」八丁の下は、広く諸宗の謗法を呵責す。

 初めの略して一代諸経の勝劣を判ずる文、亦三と為す。初めに諸宗の(めい)(らん)()げ、次に「我等」の下は今家の正判を明かし、三に「(しか)るに華厳」の下は、前を結んで後を生ず。

初めの諸宗の迷乱を挙ぐるの文、亦三と為す。初めに通じて十宗を挙げ、次に「小乗」の下は(べっ)して小を(えら)びて大を取り、三に「大乗の七宗」の下は正しく七宗の迷乱を明かす。

初めの通じて十宗を挙ぐるの文、亦三と為す。初めに上を()けて下を起し、次に「一代」の下は正しく(れっ)し、三に「世間」の下は世人の情を示す。

文に「かくのごとく存して」とは、上の「()の大恩」已下(いげ)を承け、(また)下の文を起す。故に是れを上を承けて下を起す(承上(じょうしょう)起下(きげ))文と云うなり。啓蒙(けいもう)の義は不可なり。

文に云く「父母・師匠等に(したが)わずして」とは御書三十四・四十七。

一 一代聖教等

 此の下は次に正しく列す、亦三あり。初めに(ひょう)、次に「所謂(いわゆる)」の下は釈、三に「(これ)()」の下は結。

文に「明鏡」と云うは、是れ明鏡に(あら)ずと(いえど)も、世人の情に(したが)うが故に、(しばら)く明鏡と云うなり。

一 世間の学者等おもえり等

 「分け登る(ふもと)の道は多けれど 同じ雲井(くもい)の月をこそ見れ」云云。今(いわ)く、此の歌は教々(きょうぎょう)の四門に約す。(なん)ぞ一代に約すべけんや。天台(てんだい)云く「四門の観は別なれども、真諦(しんたい)を見るは同じ」と云云。

一 小乗の三宗等

  此の(しも)は次に別して小を(えら)びて大を取る、(すなわ)ち大小相対の判釈(はんじゃく)なり。小乗の中には実に出離(しゅつり)の要路を明かさず。(たと)えば「民の消息(しょうそく)」の如し。故に(しばら)(これ)を置くなり。(たと)うるに()(けん)の意有り。謂わく、一には小乗は民の消息、大乗は国主の御判云云。二には小乗は小舟、大乗は大船なり。初めの(たとえ)(つい)に小乗を以て衆生を済度(さいど)せざる意なり。宗祖の御詠歌(ごえいか)に云わく「あしの葉○わたさね」等云云。

 文に「生死(しょうじ)の大海」と云うは、

 問う、何ぞ生死を(もっ)て大海に譬うるや。

 答う、五の相似(そうじ)有る故なり。瑜伽論(ゆがろん)七十・十二に云く「一には処所(しょしょ)無辺なること相似するが故に。二には(はなは)だ深きこと相似するが故に。三には渡り(がた)きこと相似するが故に。四には飲むべからざること相似するが故に。五には大宝(だいほう)所依(しょえ)なること相似するが故に」等云云。

一 大乗の七宗いづれも・いづれも等

此の下は三に(まさ)しく七宗の(めい)(らん)を明かす、亦三と()す。初めに標、次に「所謂(いわゆる)」の下は釈、三に「(しか)(かみ)」の下は世人の帰依(きえ)を示す。


つづく



報恩抄文段上 目次



by johsei1129 | 2015-12-10 20:58 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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