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日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 12月 09日

報恩抄文段 上五  無智の男女は唯(ただ)本門の本尊を信じて南無妙法蓮華経と唱え奉る、実(まこと)に此れ大恩を報ずるなり。

 

  第二段 知恩・報恩を明かす

一 ()の大恩をほうぜんには等

 此の下は次に報恩の要術(ようじゅつ)を明かす、亦二と()す。初めに恩を棄てて恩を報ずるを明かし、次に「()くのごとく存して」の下は(まさ)しく報恩の要術を明かす。初めの文を亦二と為す。初めには正しく明かし、次に「()の義」の下は難を(しゃ)す。

 (かき)(のは)の二・九に「大集経に云く『他の小恩(しょうおん)を受けて(なお)厚報(こうほう)を思う。(いか)(いわん)(ひと)重徳()()えて(たやす)く忘れんをや』と」文。十八史略に「(とう)(じゅく)麦飯(ばくはん)」と。

一 必ず仏法をなら()ひきはめ智者とならで(かな)うべきか
 問う、若し一代の蔵経を(がく)し、八宗の章疏(しょうしょ)(きわ)むるに(あら)ざるよりは、(いずくん)ぞ仏法を習い究むと言わんや。(しか)らば末代の下根(げこん)、誰か仏法を習い究めん。若し(しか)らば畢竟(ひっきょう)恩を報ずること(あた)わざるや。

答う、若し他宗他門の如くんば、(たと)い一代聖教を胸に浮ぶと(いえど)も、(なお)是れ仏法を習い究むるに非ず。是れ(すなわ)三重の秘伝を知らずして、(ごん)(じつ)本迹(ほんじゃく)(しゅ)(だつ)(めい)(らん)する故なり。(けだ)し当流の学者は、実に一迷(いちめい)(せん)(だつ)(れん)()(あと)を忍ぶ。故に初心より(なお)此の事を知れり。故に其の義は仏法を習い(きわ)むるに当るなり。

宗祖(しゅうそ)開目の下二十五に云く「鳥はとぶ徳、人にすぐ()れたり。日蓮は諸経の勝劣(しょうれつ)をしること華厳(けごん)(ちょう)(かん)・三論の()(じょう)法相(ほっそう)()(おん)・真言の弘法(こうぼう)にすぐれたり、天台(てんだい)伝教(でんぎょう)の跡をしのぶゆへなり乃至法華経の六難九(ろくなんく)()(わきま)うれば一切経よまざるにしたがうべし」等云云。

之に例して知るべし。但し当流の学者、三重の秘伝を知ると雖も、()し法を伝え衆生を()せずんば畢竟(ひっきょう)恩を報ずることなきか。如来説いて云く「只通化(ただつうげ)伝法(でんぽう)を以て報恩と名づくるのみ」と云云。

 問う、(たと)い当流と(いえど)も、無智の俗男俗女(ぞくなんぞくにょ)は三重の秘伝を知らず。若し(しか)らば、恩を報ずること(あた)わざるや。

 答う、無智の男女は(ただ)本門の本尊を信じて南無妙法蓮華経と唱え奉る、(まこと)に此れ大恩を報ずるなり。

法蓮抄十五十四に云く「仏は法華経をさと()らせ給いて六道(ろくどう)四生(ししょう)の父母・孝養(こうよう)の功徳を身に(そな)へ給へり、()の仏の御功徳をば法華経を信ずる人にゆづり給う、例せば()()の食う物の乳となりて赤子(あかご)を養うが如し」等云云。

若し元意(がんい)の辺は、仏とは久遠元(くおんがん)(じょ)自受用(じじゅゆう)(しん)なり。法華経とは要の法華経、意の法華経、下種の法華経。(すなわ)ち本門の本尊の御事なり。

一 (たと)へば(しゅう)(もう)みち()びかんには等

 「一迷先(いちめいせん)(だつ)して以て余迷(よめい)(おし)う」の文、之を思うべし。

一 方風(ほうふう)(わきま)えざらん船主(大舟)

  方及び風なり。

一 父母・師匠等の心に(したが)うべからず等

 止観(しかん)四・四十三に云く「()れ親に(たが)師に離れて、(もと)要道を求む」と云云。

 宗祖云く一切(いっさい)は・()やに随うべきにてこそ候へども・仏になる道は随わぬが孝養の本にて候か」等云云。

一 此の義は諸人()もはく等

 此の(しも)は難を(しゃ)するなり。難の意に云く、此の義は、(けん)には礼儀(れいぎ)にもはずれ、(みょう)には(ぶつ)()にも(かな)ふまじとなり。

一 外典(げてん)(こう)(きょう)

 孝経大義三十七。註の八・五に之を引く。師弟も亦(しか)なり。守護章の中上九。亦(きょう)(きょう)とよむべし。啓蒙(けいもう)八・四十六、往いて見よ。

一 内典(ないてん)の仏経に云く等。

 林の三十・二十二に(しょう)信士度人(しんしどにん)(きょう)を引く云云。

一 ()(かん)が王に(したが)わずして等

 啓蒙の四・十五、註の三・十七、見るべし。

一 (しっ)()太子(たいし)

 (とう)()二・十四、兄弟抄十六・十二。

一 三界(さんがい)第一の孝の主なりし是れなり

 法蓮抄十五・十三に云く「教主釈尊をば大覚(だいかく)()(そん)(ごう)したてまつる、世尊と申す尊の一字を乃至孝と(くん)ずるなり、一切の孝養の人の中に第一の孝養の人なれば世尊と(ごう)し奉る」等云云。

 此の文意なり。

(かき)(のは)二・九に大般若(だいはんにゃ)経を引いて云く「一切世間に恩を知り恩を報ずること、仏に()ぎたるは無きが故に」と文。


つづく



報恩抄文段上 目次



by johsei1129 | 2015-12-09 22:24 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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