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日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 12月 06日

報恩抄文段 上二


   一 当抄の題号

  ()の抄の題号は即ち二意を含む。所謂(いわゆる)(つう)(べつ)なり。通は(いわ)く、()(おん)報謝(ほうしゃ)の報恩抄、別は謂く、師恩報謝の報恩抄なり。

  初めの四恩報謝の報恩抄とは(まさ)に知るべし、此の抄の四恩は(すこ)しく(じょう)()に異なる。

謂く、一には父母の恩、二には師匠の恩、三には三宝(さんぽう)の恩、四には国王の恩なり。
 故に下巻二十二に云く「是れは・
ひと()へに父母の恩・師匠の恩・三宝の恩・国恩をほう()ぜんがために身をやぶ()(いのち)()つれども破れざれば・さでこそ候へ」等云云。

  問う、御抄第四十、四恩抄(つぶさ)に四恩を明かす。(いわ)く、一には父母の恩、二には衆生の恩、三には国主の恩、四には三宝の恩なり。何を(もっ)(ことさら)(いま)師匠の恩を(いだ)して、衆生の恩を(ぼっ)するや。

  答う、師恩(しおん)報謝(ほうしゃ)(ため)(べっ)して当抄を(じゅつ)する故に、梵網経(ぼんもうきょう)の意に()り師恩を開出(かいしゅつ)するなり。故に梵網経に云く「孝は父母・師僧・三宝に(したが)うなり」等云云。

与咸(よかん)註に云く「(しょ)(こう)(きょう)に三有り。一には父母生育(しょういく)の恩、二には師僧訓導(くんどう)の恩、三には三宝救護(くご)の恩」等云云。(すで)に師匠の恩を開出する故に、衆生の恩を合して父母の恩の中に()き、以て四恩と()すなり。心地(しんじ)(かん)(ぎょう)に云く「故に六道(ろくどう)の衆生は(みな)是れ我が父母なり」等云云。
 法蓮抄十五・十四に云く「
(しか)るに六道()(しょう)の一切衆生は皆父母なり。()の父母に孝養(こうよう)(はた)さずんば仏と()らず」等云云。

(すなわ)ち此の文意なり。

 次に別は(いわ)く、師恩報謝の報恩抄とは、総結の文に云く「されば花は根にかへり真味(しんみ)は土にとどまる、此の功徳(くどく)故道(こどう)善房(ぜんぼう)聖霊(しょうりょう)御身(おんみ)にあつまるべし」と云云。
 学者、(まさ)に知るべし、(いま)所述所行の辺に約すれば、即ち(つう)(べつ)の両意有り。
 若し能述(のうじゅつ)の辺に約すれば、(ただ)れ師恩報謝の為に別して当抄を述ぶるなり。



 つづく


報恩抄文段上 目次


by johsei1129 | 2015-12-06 15:28 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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