日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 11月 23日

撰時抄愚記 下六

十五日

  第二十三段 真言の弘法(こうぼう)を破す


一 弘法大師

 釈書の一・二十七、往いて見よ。種々の怪異(けい)の事を明かす。報恩抄の下十五云云。玄の三・四十一に云く「名利(みょうり)(もと)めて見愛を増す」等と。(せん)二・十二に云く「(なお)理に(かな)わず」等と云云。

一 さはぐらせ給はざりける

 「さはぐらせ」等とは、(ただ)是れさばく義なり。常に「事を取りさばく」等と云う(ことば)なり。興師の御消息に云く「(そもそも)代も替りて候。聖人よりも後も三年は過ぎ行き候に、安国論の事、御沙汰何様(いかよう)なるべく候らん。鎌倉にては定めて御さはぐり候らん」等云云。

目師の御消息に云く「義科(ぎか)よく読みしたためて二三月下り候わば、これにて(わか)御房達とも論議あるべく候。年がよりて仏法さはぐりがたく候。今年も四月より九月二十日(ごろ)まで、(けつ)(じつ)無く御書を()()て候」云云。此等の御文言は皆さばく義なり。

一 ()の如き乗乗等

是れ(ほう)鑰論(やくろん)下終の文なり。十住心論(じゅうじゅうしんろん)、宝鑰論は只是れ広略の異なり。弘法(こうぼう)は此の中に十住心を明かせり。(いま)初学の為に其の名相(みょうそう)を示さん。

   第一 異生(いしょう)(てい)(よう)(しん)  凡夫

   第二 愚童持(ぐどうじ)(さい)(しん)  施心

   第三 (よう)童無畏(どうむい)(しん)  外道(げどう)

   第四 唯蘊(ゆいうん)無我(むが)(しん)  声聞(しょうもん)

   第五 抜業因(ばつごういん)(しゅ)(しん)  (えん)(がく)

   第六 ()(えん)大乗(だいじょう)(しん) 法相(ほっそう)

   第七 (かく)(しん)不生(ふしょう)(しん)  三論

   第八 如実一(にょじついち)道心(どうしん)  天台

   第九 (ごく)無自性(むじしょう)(しん)  華厳(けごん)

   第十 秘密(ひみつ)荘厳(しょうごん)(しん)  真言

(ほう)(やく)の意は、初めの三心は是れ世間の心なり。第四已後(いご)は出世の心なり。出世の中に唯蘊、抜業は小乗教なり。第六他縁已後(いご)は大乗教なり。大乗の中に第六・第七は菩薩乗なり。第八・第九は仏乗なり。()くの如き乗々、自乗に仏名を得れども、(のち)に望むれば()(ろん)と成る等云云。故に知んぬ、第十・第九に望むれば、天台の法華経は戯論の法なることを等云云。

一 又云く、無明(むみょう)辺域(へんいき)

  宝鑰の下十四の文なり。

  問う、何ぞ天台の仏界(ぶっかい)を以て無明の辺域と為すや。

  答う、東寺流の義に(いわ)く「釈尊成道の上に於て()の相を習うべし。(いわ)く、一切(いっさい)()成就(じょうじゅ)菩薩(ぼさつ)は六年の苦行の(のち)、菩提樹下に至って金剛座に坐し、()ず一道無為心に住して是れを()(ごく)と為す。(しか)るに()()の如く諸仏虚空に現前して、(いま)汝が住する所は是れ至極に非ず。其の外に(なお)最極(さいごく)究竟(くきょう)、至極の秘密の法有りと驚覚したまう。()の時、釈尊の心地の一重進む処を極無自性心と()うなり。而して密乗の三密に悟入したもう処を秘密(ひみつ)荘厳(しょうごん)心と云うなり。(しか)れば則ち第八の住心は最初に一道無為心に住する処なり。天台の仏界は是を至極と為す。(なお)第九華厳の仏界に及ばず。(いわん)や第十の真言の極仏に及ばんをや。故に無明の辺域(へんいき)と云うなり。此れは是れ守護経の意なり」等云云。

  安然(あんねん)、教時義の一に此の義を破して云く「(かい)和尚(わじょう)は判じて無明の辺域と為す。是れ義釈の文に(たが)う。義釈に云うが如きは、此の経の本地の身は即ち是れ妙法蓮華の最深秘(さいじんぴ)の処なり」。又云く「彼れ諸法実相を説く、即ち是れ此の経の心の実相なり。而るに具惑(ぐわく)の仏と為さんや乃至天台の妙覚を(おと)しめて具縛(ぐばく)の凡夫と為す。和尚は仏にも非ざるに、何ぞ後学を(まど)わすや」等云云。

  宗祖云く「守護経に対すれば無明の辺域と申す経文は一字一句も候はず」等云云。空海(くうかい)胸臆(くおく)に任せて、守護経の()(しゃく)に法華の大海を入る。(あに)至極の僻見(びゃっけん)に非ずや。

                 
                   つづく
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by johsei1129 | 2015-11-23 08:20 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)
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