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日蓮大聖人『御書』解説

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2015年 11月 15日

撰時抄愚記 上三四  三大秘法の謂れを知らずして蒼蠅(そうよう)・碧蘿(へきら)となるなかれ


一 
(ただ)(せん)不審(ふしん)なる事

(ここ)に於て句を切れ、下に連綿すること(なか)れ。(まさ)に知るべし、此の答の中に二段あり。所謂(いわゆる)、結前・生後なり。(しか)も其の答の意は、天台・伝教は未だ文底秘沈の「最大深秘(じんぴ)の大法」を弘めざるが故に、広宣流布に非ざるなり云云。

一 最大の深秘の()法経文の(おもて)顕然(現前)なり

即ち是れ文底秘沈の三()の秘法なり。故に「最大深秘の大法」と云うなり。是れ則ち先聖()()の深法なり。

問う、若し(しか)らば何ぞ「経文の面に顕然(けんねん)」と云うや。

答う、若し文底の(いわれ)を知れば、即ち三箇の秘法は経文に顕然なり。()れ知と不知とは雲泥(うんでい)万里ならんか。

()し仏法の(いわれ)を知らざれば仏法は(なお)是れ世法なり。名利(みょうり)の僧()の仏法を以て渡世(とせい)の橋となすが如しとは是れなり。

若し仏法の謂を知れば世法は即ち是れ仏法なり。深く世法を()れば即ち是れ仏法なり。「治世(じせ)()(ごん)資生(ししょう)業等、皆正法(しょうほう)に順ぜん」とは是れなり。

若し法華経の謂を知らざれば法華も(なお)是れ()(ぜん)の経なり。権教の人の法華経を読誦(どくじゅ)するが如きは是れなり。栴檀(せんだん)を焼いて(すみ)()すが如し。

若し法華経の(いわれ)を知れば爾前も即ち是れ法華経なり。宗祖の「此の(さと)立ちて後は、阿含(あごん)即ち法華経」と云うは是れなり。瓦礫(がりゃく)を変じて(こがね)と為すが如きなり。

若し本門の謂を知らざれば本門は(なお)是れ迹門なり。本迹一致の(たぐい)の如きは是れなり。

若し本門の謂を知れば迹門も即ち是れ本門なり。吾が()の方便を読誦(どくじゅ)する如きは是れなり。

若し文底の謂を知らざれば文底は仍是れ熟脱なり。諸門徒(しょもんと)の三箇の秘法を談ずるが如きは是れなり。

若し文底の(いわれ)を知れば熟脱も即ち是れ文底の秘法なり。即ち当文の如きは是れなり。

(たと)えば()()(あらたま)の如し。知らざれば(すなわ)ち玉を以て石と為す。(これ)を知れば則ち石を以て玉と為す。(あに)知と不知とは雲泥万里に非ずや。又、虞坂(ぐはん)塩車(えんしゃ)の如し。胡曽の中五。

問う、若し(しか)らばその(いわれ)は如何。

答う、宗祖云く「此の経は相伝に非ずんば知り難し」等云云「塔中(たっちゅう)及び蓮・興・(もく)」等云云。是れ知る所に非ざるなり。

若し(しか)らば如何(いかん)

答う、蒼蠅(そうよう)(へき)()云云。()

問う、前に「三箇の秘法は経文に顕然(けんねん)」云うは如何。

答う、()依義判文抄の如し。


注:蒼蠅(そうよう)(へき)()

  蒼蠅とは青バエのこと。碧蘿とは緑色のつたかずら。(へき)は緑または青色。()はつたかずら。どちらもとるに足りない者凡夫(ぼんぷ)の意。

「蒼蠅驥尾(きび)()()万里松頭(しょうとう)(かか)千尋(せんじん)()」。立正安国論の御文。ただのハエも万里をゆく馬の尾につけば自由自在となり、かずらの切れはしも成長する松の先にかかれば虚空の広さを味わえる。しかし三大秘法の(いわ)を知らなければ、蒼蠅・碧蘿のままである。()


つづく


撰時抄愚記上 目次



by johsei1129 | 2015-11-15 11:16 | 日寛上人 御書文段 | Trackback | Comments(0)


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