第二料簡の下 十月七日
第十五段 総じて問答料簡す
一 疑って云く設い正法等文。
是れより大段の第二、料簡なり。此の下は巻訖るまで十二問答あり、分ちて二段と為す。
初めの十一番は正像に就いて料簡し、第十二番は末法に就いて料簡するなり。初めの十一番の中に初めの一番は是れ総なり。後の十番は是れ別なり。云う所の総別とは第一の問に総じて四難を挙げ、正像未弘を疑う。
四難と云うは、一には機に約し、二には竜樹等に約し、三には天台に約し、四には伝教に約す。而して第一の答の中には但機に約するの難のみを会して、未だ後の三難を会せず。故に第二已下は別して問答料簡するなり。
別の中にも亦三あり。初めの八番は竜樹等の未弘に就いて料簡し、次の第九番は天台に就いて料簡し、三に第十番は伝教に就いて料簡するなり。
初めの八番を亦二と為す。前の五番は正しく未弘を明かし、後の三番は夫れに就いて難を遮するなり。
是れ略して大意を示す。後に文に随って之を明かさん。
一 最上の上機なり文。
上の九紙に、竜樹・天親等は此の義を宣べずと云う。故に今疑って正法は上機なり等と云うなり。
問う、既に巻の始めには仏教は機に依らずして但時に依ることを明かす。今何ぞ亦之を疑うや。
答う、上は在世に約し、且其の相を明かす。故に今は滅後に約して亦此の疑を起すなり。
一、真諦三蔵の相伝文。
法華伝の一・十八云云。竜樹も法華論を作る。未だ此の土に渡らざるなり。
一 覚徳比丘等文。
会疏の五・五十五。
つづく
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